702 / 1,646
お手並み拝見
しおりを挟む
小型のモンスターの進行をやり過ごす術はない。そこでシンは、新たに別のアイディアを思いつく。高速道路で、WoF内と同じようにスキルが撃てることは証明された。
「俺に考えがある」
「ほぅ?是非とも教えを乞いたいものだね。そんな方法があるなら、なんでもっと早くやらなかったのかね」
皮肉まじりにシンの考えを聞き出そうと促す朱影。だがシンが思い切れなかったのは、相手の情報量があまりにも少なかったからだ。しかし、今となっては朱影のおかげである程度相手の動き方が分かるようになってきた。
このタイミングで打ち明けたのは、今なら十分対処が可能だと判断したからだろう。
「俺達が汚水に浸かる必要はない。奴らに水中へ戻ってもらうんだ」
「アイツらを水の中に?どうやって・・・?近づけば俺達の居場所を感知され、何処までも追ってくるぞ。お前も追われてみれば分かるぞ、どんなにしつこいか・・・」
朱影のいう通り、小型のモンスターは陸だろうが壁だろうがお構いなく突き進んでくる。匂いの届く範囲に入れば、一目散に二人のところへ向かってくるだろう。
「俺のスキルは、影に物体を入れて移動させることが出来る。だがそれは、一度実際に肉眼で見たことのある場所に限られるが・・・」
「それで奴らをどっかに飛ばそうってのか?」
「地上まででは距離がある。それに蓋も閉めてきてしまったから、外に送り出すことは出来ない」
一度通ってきた道でも、遠くの場所や遮蔽物で阻まれてしまっていると、それを貫通させることは難しい。WoF内でシンが見せた壁抜けや床抜けは、近場であり尚且つ、薄い物で区切られた隣り合わせや直ぐ上下の空間であったから。
他のクラスやスキルでも言えることだが、距離や遮蔽物が間に多く広くあると、それだけスキルの効果や能力はそれに比例して、弱体化してしまう。シンのスキルも例外ではなく、遠く離れればマンホールの蓋すら通り抜けるのも難しくなる。
「だから水の中なんだ。匂いで追ってきているのなら、自ら汚水の臭いに塗れれば、こっちの匂いも一時的に分からなくなる筈・・・」
「その隙に俺が始末するって・・・そんなところか?」
黙って頷くシン。しかし水中に小型モンスターを移動させても、そこを狙い撃つのは簡単なことではないと伝える朱影。もちろんシンも、水の中に直接影を落とし込むつもりはなく、水面に近い壁に繋げ、なるべく音を立てないようにすると彼に伝えた。
「貫く方にも技術がいる・・・。大きな音は立てられない。なるべく細く鋭い一撃で倒していってもらいたい」
大型のモンスターに気付かれて仕舞えば、混戦状態となり小型モンスターが手に負えなくなってしまう。心配するシンに、朱影はそんな事にはならないと笑って答える。
「俺に言ってんのか?なら心配はいらねぇ。そんなヘマはしねぇからよ。気付かれず殺すのは俺達の十八番だろうが」
直ぐに準備に取り掛かるシンと朱影。小型モンスターの現在位置を確認したシンは、手を合わせ自身の影を通路に忍ばせる。幸いこれだけ暗ければ、いくらでも仕掛ける場所はある。
それにある程度の暗さがあれば、視覚で見極めるのも難しくなる。小型のモンスターに視力があるとは思えないが、可能性の芽は摘めるだけ摘んでおいて損はないだろう。
一方の朱影は、シンが指さした場所に狙いを定め、投擲に使うのであろう槍を準備し始める。それまで使っていた獲物とは違い、今度の槍は少し短めで細い物になっていた。
シンの言っていた、あまり音を立てずに確実に仕留められる槍を、彼なりに選別したのだろう。それを何本か出現させ、壁に立てかけると手の周りでくるくると回し、シンが小型モンスターを移動させるのを待っていた。
そしてモンスターの足が、自身の影を忍ばせた影を踏んだ時、先頭を進んでいたモンスターは足場を失ったように影の中へ落下していった。それはあまりにも静かで一瞬の出来事。
後続のモンスター達が気づく間も無く、シンの影はモンスターを捉え、水路へと移動させた。影の濃い水路の縁付近から、先程の小型モンスターが姿を現す。
胴体が影から現れたその刹那。閃光のような一瞬の衝撃がモンスターを貫いた。と、同時に通路の影を踏もうとしていた後続のモンスターの一匹が、もの凄い速さで水路上の天井にくじ刺しになった。
朱影は今の一瞬で二段攻撃を仕掛けていたのだ。二本の槍を放ったのか、投擲の途中で分離したのかは分からないが、水路の縁に一匹目のモンスター。天井にもう一匹のモンスターを、シンに明言した通り限りなく小さな音で仕留めて見せたのだ。
「俺に考えがある」
「ほぅ?是非とも教えを乞いたいものだね。そんな方法があるなら、なんでもっと早くやらなかったのかね」
皮肉まじりにシンの考えを聞き出そうと促す朱影。だがシンが思い切れなかったのは、相手の情報量があまりにも少なかったからだ。しかし、今となっては朱影のおかげである程度相手の動き方が分かるようになってきた。
このタイミングで打ち明けたのは、今なら十分対処が可能だと判断したからだろう。
「俺達が汚水に浸かる必要はない。奴らに水中へ戻ってもらうんだ」
「アイツらを水の中に?どうやって・・・?近づけば俺達の居場所を感知され、何処までも追ってくるぞ。お前も追われてみれば分かるぞ、どんなにしつこいか・・・」
朱影のいう通り、小型のモンスターは陸だろうが壁だろうがお構いなく突き進んでくる。匂いの届く範囲に入れば、一目散に二人のところへ向かってくるだろう。
「俺のスキルは、影に物体を入れて移動させることが出来る。だがそれは、一度実際に肉眼で見たことのある場所に限られるが・・・」
「それで奴らをどっかに飛ばそうってのか?」
「地上まででは距離がある。それに蓋も閉めてきてしまったから、外に送り出すことは出来ない」
一度通ってきた道でも、遠くの場所や遮蔽物で阻まれてしまっていると、それを貫通させることは難しい。WoF内でシンが見せた壁抜けや床抜けは、近場であり尚且つ、薄い物で区切られた隣り合わせや直ぐ上下の空間であったから。
他のクラスやスキルでも言えることだが、距離や遮蔽物が間に多く広くあると、それだけスキルの効果や能力はそれに比例して、弱体化してしまう。シンのスキルも例外ではなく、遠く離れればマンホールの蓋すら通り抜けるのも難しくなる。
「だから水の中なんだ。匂いで追ってきているのなら、自ら汚水の臭いに塗れれば、こっちの匂いも一時的に分からなくなる筈・・・」
「その隙に俺が始末するって・・・そんなところか?」
黙って頷くシン。しかし水中に小型モンスターを移動させても、そこを狙い撃つのは簡単なことではないと伝える朱影。もちろんシンも、水の中に直接影を落とし込むつもりはなく、水面に近い壁に繋げ、なるべく音を立てないようにすると彼に伝えた。
「貫く方にも技術がいる・・・。大きな音は立てられない。なるべく細く鋭い一撃で倒していってもらいたい」
大型のモンスターに気付かれて仕舞えば、混戦状態となり小型モンスターが手に負えなくなってしまう。心配するシンに、朱影はそんな事にはならないと笑って答える。
「俺に言ってんのか?なら心配はいらねぇ。そんなヘマはしねぇからよ。気付かれず殺すのは俺達の十八番だろうが」
直ぐに準備に取り掛かるシンと朱影。小型モンスターの現在位置を確認したシンは、手を合わせ自身の影を通路に忍ばせる。幸いこれだけ暗ければ、いくらでも仕掛ける場所はある。
それにある程度の暗さがあれば、視覚で見極めるのも難しくなる。小型のモンスターに視力があるとは思えないが、可能性の芽は摘めるだけ摘んでおいて損はないだろう。
一方の朱影は、シンが指さした場所に狙いを定め、投擲に使うのであろう槍を準備し始める。それまで使っていた獲物とは違い、今度の槍は少し短めで細い物になっていた。
シンの言っていた、あまり音を立てずに確実に仕留められる槍を、彼なりに選別したのだろう。それを何本か出現させ、壁に立てかけると手の周りでくるくると回し、シンが小型モンスターを移動させるのを待っていた。
そしてモンスターの足が、自身の影を忍ばせた影を踏んだ時、先頭を進んでいたモンスターは足場を失ったように影の中へ落下していった。それはあまりにも静かで一瞬の出来事。
後続のモンスター達が気づく間も無く、シンの影はモンスターを捉え、水路へと移動させた。影の濃い水路の縁付近から、先程の小型モンスターが姿を現す。
胴体が影から現れたその刹那。閃光のような一瞬の衝撃がモンスターを貫いた。と、同時に通路の影を踏もうとしていた後続のモンスターの一匹が、もの凄い速さで水路上の天井にくじ刺しになった。
朱影は今の一瞬で二段攻撃を仕掛けていたのだ。二本の槍を放ったのか、投擲の途中で分離したのかは分からないが、水路の縁に一匹目のモンスター。天井にもう一匹のモンスターを、シンに明言した通り限りなく小さな音で仕留めて見せたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は“料理人”。
だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。
地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。
勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。
熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。
絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す!
そこから始まる、料理人の大逆転。
ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。
リアルでは無職、ゲームでは負け組。
そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる