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成功報酬と盗聴
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ケヴィンの揺動とミアの身体を使った壁により、シンのスキルは護衛の者達に感知されることなく発動することができ、事前にVIPルームに忍ばせていたカメラからジークベルトと最も近いテーブルの下にできる影に狙いを定める。
シンの影から室内のテーブルの影へと移動したカメラは、人目に付かぬところで蜘蛛の形へと変わる。カメラの仕込みは終わった。シンとミアはゆっくりと立ち上がることで、作戦が上手くいった事をケヴィンに伝える。
彼が二人からの合図を受け取り安堵していた頃、丁度護衛の者によるスキルチェックも終了した。チェックを行っていた護衛は、その後すぐに周辺のスキル使用を感知する結界を再び貼り始める。
「ご協力、感謝致します。大司教にお伝えしてきますので、少々お待ちください」
「分かりました、お願いします」
会話を終えた護衛が部屋の中へと入り、暫く待っていると彼が部屋から出てきて大司教から言い渡された言葉をケヴィンに伝える。
「お待たせしました。申し訳ありません、大司教は今大事な話の最中だということで、すぐにはお会いできないとの事でした」
「そうでしたか・・・。いえ、急用でもありませんので大丈夫です。お忙しい中、感謝します」
VIPルームへの潜入は叶わなかったが、目的は達成された。ケヴィンはシンとミアに声を掛けると、護衛の者達に会釈をし三人は会場へと何食わぬ顔で戻っていった。
カメラは遠隔でも操作は可能。実際にケヴィンがVIPルームへ潜入することで、より容易にジークベルトの衣服へカメラを仕掛けられるという算段だったが、そこまで上手く行くことはなかった。
「流石二人とも私が見込んだ通りだった!素晴らしい演技でしたよ」
「そりゃどうも」
「カメラは仕込んだけど、ここからどうするんだ?」
「遠隔操作で大司教の衣服に忍ばせます。私はシンさんが仕掛けたカメラの映像を元に移動させますので、お二人は部屋のカメラを使って大司教の様子を教えて下さい」
会場へ戻る廊下で今後の話を進める一行は、そのまま見ている映像を切り替え各々の見ているVIPルームの様子と大司教の様子を共有する。
映像を確認しながら会場へ戻ってきた三人は、クリスの待つテーブルへと戻る。彼らのいない間にテーブルが綺麗に片付けられている。ウェイターに頼んで冷めてしまった料理なども持っていって貰ったのだろう。
戻ってきた三人を見つけると、彼は手を上げて合図を送っている。
「お帰りなさい。どちらへ行かれてたんですか?」
「あぁ~・・・そうだったな、えぇっと・・・」
戻ってきたら事情を話すという約束だったが、どこまで話したものかとミアとシンはケヴィンに視線を送り、彼に返答を求める。それを察したケヴィンは、何も後ろめたいことなど無いかのように行ってきた事をクリスに話した。
「大司教へ御目通りに掛かろうとしていたんですよ。ですが多忙なようで叶いませんでしたけど・・・」
「そうだったんですか。もしよろしければ、私からマティアス司祭にお願いしてきましょうか?」
「いえ、お気遣いなく。大した用事でも無いので」
全く動じる事なく、肝心なところは隠したまま自然に語るケヴィンを見て、シンとミアはこの男がどこまで計算して動いているのかと、その演技力に感心させられていた。
役割を終えたクリスは三人に挨拶を済ませると、テーブルから離れ元々の自分の仕事へと戻っていった。クリスの姿を見送った後、三人は席につき先程仕掛けてきたカメラの操作と監視を始める。
「大司教はまでテーブルの近くに?」
「あぁ、まだ誰かと話し込んでるな。暫く移動する様子もなさそうだが・・・」
「大司教達の元に近づく人物の見当たらない。今ならいけるんじゃないか?」
「分かりました。ではテーブルクロスを伝って移動を開始します」
ケヴィンは手元に別のデバイスから発せられたホログラムパッドを操作して、VIPルームに送り込んだカメラの操縦を始める。カメラの搭載された頭部部分を伸ばし、テーブルクロスの下から外の様子を覗き込むと、周りの目がこちらに向いていない隙に表へと姿を表す。
テーブルクロスを伝い、大司教の衣服に最も近い位置にまで移動すると、そのまま彼の衣服へ飛び掛かり、会話を聞き取り易いように大司教が羽織っている上着へと登っていくと、身を隠すための隙間を見つけ内側へと潜り込む。
「ふぅ・・・これで完了です。お二人とも、ありがとうございました」
彼の言葉で緊張感から解放されたシンとミアは、一気に全身の力が抜け椅子の背もたれへともたれ掛かる。
「お約束通り、そちらはお二人に差し上げます。連動するカメラは別の物をお使いする事も可能ですよ。もしカメラも必要でしたら、明日の式典の片付けの頃に回収しておきますので、その時にお渡しすることもできますが?」
「あぁ、じゃぁそうしてくれ」
「緊張したから、お腹が空いてきた・・・」
「ははは。お疲れ様です。では先程の彼にオススメの料理でも持ってきてもらいましょうか?」
「あ!そうだった!すっかり忘れてたぜ」
適当な冗談のつもりで言っていたと思っていたミアのクリスに対する発言だったが、どうやら彼女は本気だったようだ。席を立ちクリスの元へ向かった彼女を見送り、テーブルに残されたシンは先程からじっと資料を手に取り集中するケヴィンに何をしているのかと問う。
すると彼は、先程大司教に仕掛けたカメラからの音声を聞いていたと語る。手に持っていたのはその話題に上がる資料なのだという。静かに席を立ったシンはケヴィンの横にやってくると、彼の持つ手元の資料を覗き込む。
そこには、アルバの現音楽監督であるフェリクスと、グーゲル教会で見かけた大司教が連れてきたという、アルバの新しい音楽監督に任命される予定のアルミン・ニキシュという人物の資料があった。
「どうやら教会で話していたのは、アルバの音楽監督の交代の話のようですね・・・。それであの時、教会からアルミン・ニキシュが出てきたのか・・・」
シンが忍び込んだグーゲル教会にケヴィンがやって来たのは、飛び出すようにその場を去ってしまったフェリクスを追って出て行ったマティアス司祭と、それに続いて音楽学校の生徒へ挨拶へ行くと教会を出て行ったアルミンの後だった。
故に彼は教会でどんな話し合いが行われていたのかを、ここで初めて知ることになる。会話の内容に合わせ資料に目を通していくケヴィンは、遅れてシンが覗いていることに気がつく。
「会話の内容に興味がおありで?」
「いや、まぁ・・・教団の話も聞けるかと思って」
「それなら先程の映像を、大司教に仕掛けたカメラに変えて差し上げましょうか?そうすれば貴方にも音声が聞こえてきますよ」
「そうだな・・・することもないし、そうしてもらえるか?」
ケヴィンはシンの取り付けているイヤホン型のデバイスに接続し、カメラの映像を切り替える。操作が完了したことをシンに伝え、彼は再び会話に集中し始める。
邪魔してしまった席に戻ったシンは、彼に切り替えてもらった映像と音声をBGM代わりに聞き流すことに。映像は真っ暗なままだが、音声は先程までの部屋の隅に仕掛けられていたものとは違い、鮮明にジークベルト大司教の声を拾っていた。
シンの影から室内のテーブルの影へと移動したカメラは、人目に付かぬところで蜘蛛の形へと変わる。カメラの仕込みは終わった。シンとミアはゆっくりと立ち上がることで、作戦が上手くいった事をケヴィンに伝える。
彼が二人からの合図を受け取り安堵していた頃、丁度護衛の者によるスキルチェックも終了した。チェックを行っていた護衛は、その後すぐに周辺のスキル使用を感知する結界を再び貼り始める。
「ご協力、感謝致します。大司教にお伝えしてきますので、少々お待ちください」
「分かりました、お願いします」
会話を終えた護衛が部屋の中へと入り、暫く待っていると彼が部屋から出てきて大司教から言い渡された言葉をケヴィンに伝える。
「お待たせしました。申し訳ありません、大司教は今大事な話の最中だということで、すぐにはお会いできないとの事でした」
「そうでしたか・・・。いえ、急用でもありませんので大丈夫です。お忙しい中、感謝します」
VIPルームへの潜入は叶わなかったが、目的は達成された。ケヴィンはシンとミアに声を掛けると、護衛の者達に会釈をし三人は会場へと何食わぬ顔で戻っていった。
カメラは遠隔でも操作は可能。実際にケヴィンがVIPルームへ潜入することで、より容易にジークベルトの衣服へカメラを仕掛けられるという算段だったが、そこまで上手く行くことはなかった。
「流石二人とも私が見込んだ通りだった!素晴らしい演技でしたよ」
「そりゃどうも」
「カメラは仕込んだけど、ここからどうするんだ?」
「遠隔操作で大司教の衣服に忍ばせます。私はシンさんが仕掛けたカメラの映像を元に移動させますので、お二人は部屋のカメラを使って大司教の様子を教えて下さい」
会場へ戻る廊下で今後の話を進める一行は、そのまま見ている映像を切り替え各々の見ているVIPルームの様子と大司教の様子を共有する。
映像を確認しながら会場へ戻ってきた三人は、クリスの待つテーブルへと戻る。彼らのいない間にテーブルが綺麗に片付けられている。ウェイターに頼んで冷めてしまった料理なども持っていって貰ったのだろう。
戻ってきた三人を見つけると、彼は手を上げて合図を送っている。
「お帰りなさい。どちらへ行かれてたんですか?」
「あぁ~・・・そうだったな、えぇっと・・・」
戻ってきたら事情を話すという約束だったが、どこまで話したものかとミアとシンはケヴィンに視線を送り、彼に返答を求める。それを察したケヴィンは、何も後ろめたいことなど無いかのように行ってきた事をクリスに話した。
「大司教へ御目通りに掛かろうとしていたんですよ。ですが多忙なようで叶いませんでしたけど・・・」
「そうだったんですか。もしよろしければ、私からマティアス司祭にお願いしてきましょうか?」
「いえ、お気遣いなく。大した用事でも無いので」
全く動じる事なく、肝心なところは隠したまま自然に語るケヴィンを見て、シンとミアはこの男がどこまで計算して動いているのかと、その演技力に感心させられていた。
役割を終えたクリスは三人に挨拶を済ませると、テーブルから離れ元々の自分の仕事へと戻っていった。クリスの姿を見送った後、三人は席につき先程仕掛けてきたカメラの操作と監視を始める。
「大司教はまでテーブルの近くに?」
「あぁ、まだ誰かと話し込んでるな。暫く移動する様子もなさそうだが・・・」
「大司教達の元に近づく人物の見当たらない。今ならいけるんじゃないか?」
「分かりました。ではテーブルクロスを伝って移動を開始します」
ケヴィンは手元に別のデバイスから発せられたホログラムパッドを操作して、VIPルームに送り込んだカメラの操縦を始める。カメラの搭載された頭部部分を伸ばし、テーブルクロスの下から外の様子を覗き込むと、周りの目がこちらに向いていない隙に表へと姿を表す。
テーブルクロスを伝い、大司教の衣服に最も近い位置にまで移動すると、そのまま彼の衣服へ飛び掛かり、会話を聞き取り易いように大司教が羽織っている上着へと登っていくと、身を隠すための隙間を見つけ内側へと潜り込む。
「ふぅ・・・これで完了です。お二人とも、ありがとうございました」
彼の言葉で緊張感から解放されたシンとミアは、一気に全身の力が抜け椅子の背もたれへともたれ掛かる。
「お約束通り、そちらはお二人に差し上げます。連動するカメラは別の物をお使いする事も可能ですよ。もしカメラも必要でしたら、明日の式典の片付けの頃に回収しておきますので、その時にお渡しすることもできますが?」
「あぁ、じゃぁそうしてくれ」
「緊張したから、お腹が空いてきた・・・」
「ははは。お疲れ様です。では先程の彼にオススメの料理でも持ってきてもらいましょうか?」
「あ!そうだった!すっかり忘れてたぜ」
適当な冗談のつもりで言っていたと思っていたミアのクリスに対する発言だったが、どうやら彼女は本気だったようだ。席を立ちクリスの元へ向かった彼女を見送り、テーブルに残されたシンは先程からじっと資料を手に取り集中するケヴィンに何をしているのかと問う。
すると彼は、先程大司教に仕掛けたカメラからの音声を聞いていたと語る。手に持っていたのはその話題に上がる資料なのだという。静かに席を立ったシンはケヴィンの横にやってくると、彼の持つ手元の資料を覗き込む。
そこには、アルバの現音楽監督であるフェリクスと、グーゲル教会で見かけた大司教が連れてきたという、アルバの新しい音楽監督に任命される予定のアルミン・ニキシュという人物の資料があった。
「どうやら教会で話していたのは、アルバの音楽監督の交代の話のようですね・・・。それであの時、教会からアルミン・ニキシュが出てきたのか・・・」
シンが忍び込んだグーゲル教会にケヴィンがやって来たのは、飛び出すようにその場を去ってしまったフェリクスを追って出て行ったマティアス司祭と、それに続いて音楽学校の生徒へ挨拶へ行くと教会を出て行ったアルミンの後だった。
故に彼は教会でどんな話し合いが行われていたのかを、ここで初めて知ることになる。会話の内容に合わせ資料に目を通していくケヴィンは、遅れてシンが覗いていることに気がつく。
「会話の内容に興味がおありで?」
「いや、まぁ・・・教団の話も聞けるかと思って」
「それなら先程の映像を、大司教に仕掛けたカメラに変えて差し上げましょうか?そうすれば貴方にも音声が聞こえてきますよ」
「そうだな・・・することもないし、そうしてもらえるか?」
ケヴィンはシンの取り付けているイヤホン型のデバイスに接続し、カメラの映像を切り替える。操作が完了したことをシンに伝え、彼は再び会話に集中し始める。
邪魔してしまった席に戻ったシンは、彼に切り替えてもらった映像と音声をBGM代わりに聞き流すことに。映像は真っ暗なままだが、音声は先程までの部屋の隅に仕掛けられていたものとは違い、鮮明にジークベルト大司教の声を拾っていた。
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自筆です。
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