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現場保存と現状確認
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部屋を訪れた警備の者に、ケヴィンが報告の感謝を伝える。頭を下げゆっくりと扉が閉まった後、シンはケヴィンに調査はいいのかと尋ねた。
「事件が起きた際には、必ず現状保存というものがされます。警備隊や護衛が証拠保全や原因究明の為に、事件や事故の現場をそのままにしておくというものです。流石に私でも、それぐらいの分別はついていますよ」
「だがジークベルトの時は?あの時は鑑識も街医者のカールさんもいたけど・・・?」
「あの時は既に大半の作業を終えた後でしたので、現場の許可を得て入らせて頂きました」
ケヴィン曰く、現場の調査には暫く時間が掛かるとのことらしい。二日に渡り連続して事件が起きてしまったことで、宮殿内もさぞかし混乱していることだろう。
まだジークベルト大司教の件も済んでいない中での、最も犯人として疑われていたルーカス司祭の死亡事件。鑑識や調査を行なっている者達への負担も増える。
そうなれば調査の時間も伸びてしまう事だろう。ならば余計なことはせず、彼らの指示に従っていた方が事が早く済むとケヴィンは語った。
しかし、どうやら彼の思惑通りには事は進まなかったらしい。宮殿内で隔離されているそれぞれの部屋に、先程の警備隊が二つ目の事件を順次報告して回っているのだろう。
一体どこの部屋かはすぐには分からなかったが、どうやら廊下方から何者かの怒号のようなものが聞こえてくる。
「騒がしいな」
「ちょっと様子を見てみましょうか」
気になったシンとケヴィンは、再び入口のロックを解除し扉を開ける。
「どうされました?許可が降りるまで部屋で待機していて下さい」
「何かあったんですか?」
彼らの部屋の前で警備と見張りを行なっていた警備隊に事情を伺うケヴィン。だが内心では、あらかた想像はついていた。要はいつまで宮殿に留めておくつもりだと抗議しているのだろう。
無論、昨日の時点でそのような意見が出ていたのも事実。誰しもが長期のスケジュールを空けてやって来ている訳ではない。一日くらいならなんとかなるかもしれないが、こうも立て続けて事件が起き、尚且つ解決の糸口も見えないまま監禁されていたのでは納得も出来ないというものだろう。
「テメェらの警備がザルだからこんな事が起きてんだろ!?いい加減、解放しろや!」
「そういう訳にはいかないのです。大人しく部屋でお待ち下さい!」
「大体こっちは得体の知れねぇ奴らと相部屋になってんだ。こんな四六時中監視の目がある中で、どうやって殺したってんだぁ!?あぁん!?」
警備隊に頭を下げながらも、廊下へと身を乗り出し騒いでいる声の聞こえる方を見てみると、どうやら抗議していたのは昨日シン達と廊下ですれ違った際に喧嘩を売ってきた“ブルース・ワルター“という音楽家のところの護衛である、バルトロメオという男だった。
「アイツは確か・・・」
「ブルース氏のところの護衛で、バルトロメオという人物ですね。余計な事は控えてもらいたいものですね・・・。彼のところには確か、大司教のところの護衛隊長がいた筈ですが?」
見張りの警備隊に、ブルースと相部屋になっている人物で先程もケヴィンが言ったように、大司教が連れていた護衛隊の隊長であるオイゲンがいた筈だと尋ねる。
すると警備隊の話によると、現場を指揮しているのはあくまで教団側であり、オイゲンもまた現場へと駆り出されることも多かったようだ。その間は護衛隊の別のメンバーが彼に代わり、ブルースらと行動を共にしていたのだという。
「それじゃぁオイゲンにも、十分犯行は可能じゃないか?だってその間、自由に動けるんだろ?」
「いえ、如何に教団の騎士であっても例外ではありません。ですが現場において彼の指揮が必要になるのも事実。その時は別のグループから彼の見張り役として数名選抜されていたようです」
つまり、オイゲンが別行動を取るたびに共に宮殿内を出歩いていた人物がいる事になる。例え動機が明るみになっていなくとも、それだけで十分犯行を行うことが可能なのではないかと思える。
「まぁバルトロメオ氏の言葉にも一理ありますがね・・・。確かに我々は室内では割り当てられたグループ内で監視し、部屋の外では貴方達によって行動を制限されている。それに客室は、ルーカス司祭を隔離している部屋とは遠いと聞きました。ジークベルト氏の件はまだしも、ルーカス氏の件に関しては無関係と言っても過言ではないと思いますがねぇ・・・」
「我々に言われても・・・。とにかく今は指示に従ってください」
やれやれと言った様子で引き下がるケヴィンと共に、シンも一緒に室内へと戻っていく。流石に騒がしかったのか、部屋の中では既にツクヨが目を覚まし、朝の身支度をしていた。
「何か騒がしかったけど、何かあったの?」
「ツクヨ、起きてたのか」
「そりゃぁあれだけ騒がしければね」
「シンさん、私から説明しましょう。貴方も身支度を整えた方が・・・」
ケヴィンの指摘で初めてシンは、自らの服装や寝癖に気がついた。どちらにせよまた待機が命じられてしまった以上、必要以上に部屋を出る事はできないのだ。
先程警備隊の者から報告された事の説明をケヴィンに任せ、ツクヨと入れ替わるようにして洗面所へと向かったシンは、今までの事が現実であるかを確かめるように顔を洗い始めた。
「事件が起きた際には、必ず現状保存というものがされます。警備隊や護衛が証拠保全や原因究明の為に、事件や事故の現場をそのままにしておくというものです。流石に私でも、それぐらいの分別はついていますよ」
「だがジークベルトの時は?あの時は鑑識も街医者のカールさんもいたけど・・・?」
「あの時は既に大半の作業を終えた後でしたので、現場の許可を得て入らせて頂きました」
ケヴィン曰く、現場の調査には暫く時間が掛かるとのことらしい。二日に渡り連続して事件が起きてしまったことで、宮殿内もさぞかし混乱していることだろう。
まだジークベルト大司教の件も済んでいない中での、最も犯人として疑われていたルーカス司祭の死亡事件。鑑識や調査を行なっている者達への負担も増える。
そうなれば調査の時間も伸びてしまう事だろう。ならば余計なことはせず、彼らの指示に従っていた方が事が早く済むとケヴィンは語った。
しかし、どうやら彼の思惑通りには事は進まなかったらしい。宮殿内で隔離されているそれぞれの部屋に、先程の警備隊が二つ目の事件を順次報告して回っているのだろう。
一体どこの部屋かはすぐには分からなかったが、どうやら廊下方から何者かの怒号のようなものが聞こえてくる。
「騒がしいな」
「ちょっと様子を見てみましょうか」
気になったシンとケヴィンは、再び入口のロックを解除し扉を開ける。
「どうされました?許可が降りるまで部屋で待機していて下さい」
「何かあったんですか?」
彼らの部屋の前で警備と見張りを行なっていた警備隊に事情を伺うケヴィン。だが内心では、あらかた想像はついていた。要はいつまで宮殿に留めておくつもりだと抗議しているのだろう。
無論、昨日の時点でそのような意見が出ていたのも事実。誰しもが長期のスケジュールを空けてやって来ている訳ではない。一日くらいならなんとかなるかもしれないが、こうも立て続けて事件が起き、尚且つ解決の糸口も見えないまま監禁されていたのでは納得も出来ないというものだろう。
「テメェらの警備がザルだからこんな事が起きてんだろ!?いい加減、解放しろや!」
「そういう訳にはいかないのです。大人しく部屋でお待ち下さい!」
「大体こっちは得体の知れねぇ奴らと相部屋になってんだ。こんな四六時中監視の目がある中で、どうやって殺したってんだぁ!?あぁん!?」
警備隊に頭を下げながらも、廊下へと身を乗り出し騒いでいる声の聞こえる方を見てみると、どうやら抗議していたのは昨日シン達と廊下ですれ違った際に喧嘩を売ってきた“ブルース・ワルター“という音楽家のところの護衛である、バルトロメオという男だった。
「アイツは確か・・・」
「ブルース氏のところの護衛で、バルトロメオという人物ですね。余計な事は控えてもらいたいものですね・・・。彼のところには確か、大司教のところの護衛隊長がいた筈ですが?」
見張りの警備隊に、ブルースと相部屋になっている人物で先程もケヴィンが言ったように、大司教が連れていた護衛隊の隊長であるオイゲンがいた筈だと尋ねる。
すると警備隊の話によると、現場を指揮しているのはあくまで教団側であり、オイゲンもまた現場へと駆り出されることも多かったようだ。その間は護衛隊の別のメンバーが彼に代わり、ブルースらと行動を共にしていたのだという。
「それじゃぁオイゲンにも、十分犯行は可能じゃないか?だってその間、自由に動けるんだろ?」
「いえ、如何に教団の騎士であっても例外ではありません。ですが現場において彼の指揮が必要になるのも事実。その時は別のグループから彼の見張り役として数名選抜されていたようです」
つまり、オイゲンが別行動を取るたびに共に宮殿内を出歩いていた人物がいる事になる。例え動機が明るみになっていなくとも、それだけで十分犯行を行うことが可能なのではないかと思える。
「まぁバルトロメオ氏の言葉にも一理ありますがね・・・。確かに我々は室内では割り当てられたグループ内で監視し、部屋の外では貴方達によって行動を制限されている。それに客室は、ルーカス司祭を隔離している部屋とは遠いと聞きました。ジークベルト氏の件はまだしも、ルーカス氏の件に関しては無関係と言っても過言ではないと思いますがねぇ・・・」
「我々に言われても・・・。とにかく今は指示に従ってください」
やれやれと言った様子で引き下がるケヴィンと共に、シンも一緒に室内へと戻っていく。流石に騒がしかったのか、部屋の中では既にツクヨが目を覚まし、朝の身支度をしていた。
「何か騒がしかったけど、何かあったの?」
「ツクヨ、起きてたのか」
「そりゃぁあれだけ騒がしければね」
「シンさん、私から説明しましょう。貴方も身支度を整えた方が・・・」
ケヴィンの指摘で初めてシンは、自らの服装や寝癖に気がついた。どちらにせよまた待機が命じられてしまった以上、必要以上に部屋を出る事はできないのだ。
先程警備隊の者から報告された事の説明をケヴィンに任せ、ツクヨと入れ替わるようにして洗面所へと向かったシンは、今までの事が現実であるかを確かめるように顔を洗い始めた。
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