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混乱を招く身体強化曲
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いざ戦場への道が整うと、ブルースはツクヨに後のことを任せて教会のオルガンへと向かっていく。依然としてオルガンで演奏し続ける霊体のバッハは、ブルースの接近など気にも止めずに謎の人物達を生み出し、戦場へと送り出していく。
一体の取り巻きがブルースの前に飛び出してくるも、すぐにバルトロメオの召喚する腕が伸びてきて、ブルースの前に立ちはだかる障害を掴み上げ取り除く。
目で合図を送り合う二人。戦いのコンビネーションはバッチリのようだ。この事からも、普段からブルースは自ら戦闘を行うのだということが窺える。
ブルースがオルガンに到着するまでに、数秒も掛からなかった。瞬く間に演奏するバッハの背後に辿り着いたブルースは、拳をその背中に触れそうな位置で構えている。
すると次の瞬間、とてつもない衝撃が彼の拳から放たれ、オルガンとそれを演奏するバッハを飲み込む範囲を円形状に吹き飛ばした。教会に置かれた立派なオルガンは一瞬にして粉々になり、それまで椅子に座り演奏をしていたバッハは、彼の放った衝撃と共にその場から姿を消した。
「えっ・・・ブルースさんって音楽家じゃ・・・」
「ウチの大将は何度も命を狙われてきたんだ。自己防衛できるくらいの手段は当然持ってるんだよぉ!」
何故か本人ではなくバルトロメオが誇らしげに、思わず漏れた独り言に返事を返す。
今の技は、相手との距離が極端に近い状態から発せられる発勁と呼ばれる武術の一つで寸勁、或いはワンインチパンチと呼ばれる技だった。ブルースのその一撃に魔力が込められていたのかはツクヨには判断出来なかったが、彼は当初の作戦通りその場に留まり演奏していた霊体の気配を探っている。
「来るぞッ!」
彼の声と同時に、オルガンのあった位置の上空に突如青白い煙のようなオーラが渦を巻くように集まると、先程の見ていた姿よりも大きくなった、禍々しい姿のバッハが現れた。
床を転がりバッハとの距離をあけて、相手を正面に捉えるように体勢を整えるブルース。新たな姿となって出現したバッハは、上半身のみの姿で宙に浮いたまま自身の身体の前で大きく腕を振り抜く。
するとバッハの前に鍵盤が現れ、徐にその場で演奏を始める。狂気じみた演奏はハイテンポな曲を奏でる。同時にグーゲル教会でシンとニノンが受けた時と同じ、身体が活性化し通常以上の移動速度と攻撃力を得るバフ効果が、教会にいる一行に付与された。
「あぁ?何だぁ!?すげぇ力が漲ってくるぜぇぇぇ!?」
「これは一体・・・!?」
凄まじい速度と破壊力で、バルトロメオの召喚した腕が周囲の物を粉々に粉砕しながら振るわれる。本人でも制御出来ないその力は、教会の床に倒れる椅子を粉々に吹き飛ばし、ブルースやツクヨのいる方に破片を吹き飛ばしてしまう。
「うわッ!!」
「バルトッ!!」
「すッすまねぇ!そんなつもりじゃッ・・・」
まるで弾丸のように飛んでくる瓦礫の欠片を、飛び込むようにして回避するツクヨ。しかし彼もまた、想定していた移動距離以上に転がってしまい、まるで大きな力で吹き飛ばされたかのように壁の方まで転がっていってしまう。
「うッ・・・!?」
「何だ・・・皆何をしている?」
突然掛けられたバフ効果により混乱する一行。その効果は教会の入口付近で戦況を見定めていたゾルターンとアカリにも効果を及ぼしており、何もせずとも込み上げてくる力が身体を活性化させ、徐々に疲労感を与え始めてくる。
「えっ・・・何?身体が凄く疲れてく・・・」
「君の香料の効果ではないのか?」
「いえ、私が焚いているのは疲労回復や魔力の回復を促進する効果のあるものであって、このような効果は・・・」
離れた位置で前線で戦うツクヨやブルースらをサポートしていたアカリとゾルターンだったが、どちらとも味方を強化するような能力やスキル、アイテムなどは使用しておらず、突然付与された強化バフに困惑した様子だった。
タチが悪いのは、それが強化バフであるという事だった。まさか相手を強化するような能力やスキルを使うなどとは誰も予想していなかった為、その原因に気がつくのが一歩遅れてしまう。
想定していた攻撃とは違った角度からの攻撃に、通常の速度で襲ってくる謎の人物と戦うバルトロメオは翻弄され、移動すれば教会の柱や壁にぶつかり、攻撃をすれば辺りの瓦礫を吹き飛ばし仲間を襲っていた。
「クソッ!!何だってんだこのパワーはッ!?」
「落ち着けバルトロメオ!何とかしてその強化状態に慣れるんだ!」
「慣れろっつったってッ・・・!加減しても加減しても、思ってる以上に攻撃が出ちまうんだよッ!」
ゾルターンは急遽、何体かの土人形を解除し、自身とアカリを守る為の防御壁を展開する。そしてバルトロメオやツクヨの奇行を目の当たりにして、一切バフの掛かっていない様子を見せるブルースは、仲間達の身に何が起きているのかを落ち着いて分析していた。
初めは突然の出来事に驚かされたが、考えてみればブルース自身や教会で謎の人物達と戦っているゾルターンの土人形をみれば、その原理は彼らを最初に襲った攻撃と同じ相手が対象であることが分かる。
一行に降り掛かった強化バフは、正体を現したバッハが演奏を始めてから掛けられたもの。そしてその効果は、本来の肉体を持たないブルースや作り物の土人形には掛かっていない。
異形な身体の構造をしているブルースなら、厄介な強化バフにも心臓の動きに直接変化を与える攻撃にも耐えうることが出来る。そうと分かれば、現状を打開できるのはブルースしかいない。
彼は迷いなく教会に響き渡る演奏の中へ飛び出していくと、バフ効果をばら撒いていると思われる演奏を止める為、腕部分に内蔵された魔力放出装置を起動し、今度は霊体のバッハに触れられるであろう攻撃を放つ。
一体の取り巻きがブルースの前に飛び出してくるも、すぐにバルトロメオの召喚する腕が伸びてきて、ブルースの前に立ちはだかる障害を掴み上げ取り除く。
目で合図を送り合う二人。戦いのコンビネーションはバッチリのようだ。この事からも、普段からブルースは自ら戦闘を行うのだということが窺える。
ブルースがオルガンに到着するまでに、数秒も掛からなかった。瞬く間に演奏するバッハの背後に辿り着いたブルースは、拳をその背中に触れそうな位置で構えている。
すると次の瞬間、とてつもない衝撃が彼の拳から放たれ、オルガンとそれを演奏するバッハを飲み込む範囲を円形状に吹き飛ばした。教会に置かれた立派なオルガンは一瞬にして粉々になり、それまで椅子に座り演奏をしていたバッハは、彼の放った衝撃と共にその場から姿を消した。
「えっ・・・ブルースさんって音楽家じゃ・・・」
「ウチの大将は何度も命を狙われてきたんだ。自己防衛できるくらいの手段は当然持ってるんだよぉ!」
何故か本人ではなくバルトロメオが誇らしげに、思わず漏れた独り言に返事を返す。
今の技は、相手との距離が極端に近い状態から発せられる発勁と呼ばれる武術の一つで寸勁、或いはワンインチパンチと呼ばれる技だった。ブルースのその一撃に魔力が込められていたのかはツクヨには判断出来なかったが、彼は当初の作戦通りその場に留まり演奏していた霊体の気配を探っている。
「来るぞッ!」
彼の声と同時に、オルガンのあった位置の上空に突如青白い煙のようなオーラが渦を巻くように集まると、先程の見ていた姿よりも大きくなった、禍々しい姿のバッハが現れた。
床を転がりバッハとの距離をあけて、相手を正面に捉えるように体勢を整えるブルース。新たな姿となって出現したバッハは、上半身のみの姿で宙に浮いたまま自身の身体の前で大きく腕を振り抜く。
するとバッハの前に鍵盤が現れ、徐にその場で演奏を始める。狂気じみた演奏はハイテンポな曲を奏でる。同時にグーゲル教会でシンとニノンが受けた時と同じ、身体が活性化し通常以上の移動速度と攻撃力を得るバフ効果が、教会にいる一行に付与された。
「あぁ?何だぁ!?すげぇ力が漲ってくるぜぇぇぇ!?」
「これは一体・・・!?」
凄まじい速度と破壊力で、バルトロメオの召喚した腕が周囲の物を粉々に粉砕しながら振るわれる。本人でも制御出来ないその力は、教会の床に倒れる椅子を粉々に吹き飛ばし、ブルースやツクヨのいる方に破片を吹き飛ばしてしまう。
「うわッ!!」
「バルトッ!!」
「すッすまねぇ!そんなつもりじゃッ・・・」
まるで弾丸のように飛んでくる瓦礫の欠片を、飛び込むようにして回避するツクヨ。しかし彼もまた、想定していた移動距離以上に転がってしまい、まるで大きな力で吹き飛ばされたかのように壁の方まで転がっていってしまう。
「うッ・・・!?」
「何だ・・・皆何をしている?」
突然掛けられたバフ効果により混乱する一行。その効果は教会の入口付近で戦況を見定めていたゾルターンとアカリにも効果を及ぼしており、何もせずとも込み上げてくる力が身体を活性化させ、徐々に疲労感を与え始めてくる。
「えっ・・・何?身体が凄く疲れてく・・・」
「君の香料の効果ではないのか?」
「いえ、私が焚いているのは疲労回復や魔力の回復を促進する効果のあるものであって、このような効果は・・・」
離れた位置で前線で戦うツクヨやブルースらをサポートしていたアカリとゾルターンだったが、どちらとも味方を強化するような能力やスキル、アイテムなどは使用しておらず、突然付与された強化バフに困惑した様子だった。
タチが悪いのは、それが強化バフであるという事だった。まさか相手を強化するような能力やスキルを使うなどとは誰も予想していなかった為、その原因に気がつくのが一歩遅れてしまう。
想定していた攻撃とは違った角度からの攻撃に、通常の速度で襲ってくる謎の人物と戦うバルトロメオは翻弄され、移動すれば教会の柱や壁にぶつかり、攻撃をすれば辺りの瓦礫を吹き飛ばし仲間を襲っていた。
「クソッ!!何だってんだこのパワーはッ!?」
「落ち着けバルトロメオ!何とかしてその強化状態に慣れるんだ!」
「慣れろっつったってッ・・・!加減しても加減しても、思ってる以上に攻撃が出ちまうんだよッ!」
ゾルターンは急遽、何体かの土人形を解除し、自身とアカリを守る為の防御壁を展開する。そしてバルトロメオやツクヨの奇行を目の当たりにして、一切バフの掛かっていない様子を見せるブルースは、仲間達の身に何が起きているのかを落ち着いて分析していた。
初めは突然の出来事に驚かされたが、考えてみればブルース自身や教会で謎の人物達と戦っているゾルターンの土人形をみれば、その原理は彼らを最初に襲った攻撃と同じ相手が対象であることが分かる。
一行に降り掛かった強化バフは、正体を現したバッハが演奏を始めてから掛けられたもの。そしてその効果は、本来の肉体を持たないブルースや作り物の土人形には掛かっていない。
異形な身体の構造をしているブルースなら、厄介な強化バフにも心臓の動きに直接変化を与える攻撃にも耐えうることが出来る。そうと分かれば、現状を打開できるのはブルースしかいない。
彼は迷いなく教会に響き渡る演奏の中へ飛び出していくと、バフ効果をばら撒いていると思われる演奏を止める為、腕部分に内蔵された魔力放出装置を起動し、今度は霊体のバッハに触れられるであろう攻撃を放つ。
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