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新しい世界線の目覚め
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周りの騒がしさと身を包む布団の温もりと気持ち良さの中目を覚ますシン。同室のツクヨやミア達は既に起きていた。部屋の外から薄っすらと聞こえる人の声が気になり、シンがベッドから身体を起こすとそれを全く意に介せずのんびりしていたツクヨが声を掛ける。
「お目覚めかい?随分と疲れていたようだけど」
「あぁ、おはよう・・・。外で誰か話してるのか?何か騒がしいようだけど」
「さぁ?暫く前に護衛隊の人が来て、ニノンとケヴィンが事情を聞きに行ったんだけど、それっきりなんだよね。部屋を出ようとしても、今暫くお待ち下さいって言われちゃって、まだ出れないんだ」
どうやら時間軸が、宮殿内で謎の人物達が襲撃を行う前に戻っているようだ。勿論彼らにその事実を知る術はない。
コレまで宮殿内と外で起きていた、クリストフが巻き起こしていた騒動の一切の記憶が彼らにはない。だが彼らが戦った事実は、別の世界線で確かに存在している。
そこで自分以外の全ての者を消し去り、シンとの勝負に勝利したクリストフは、先祖の残した月光写譜をバッハの霊体達に演奏させると、その世界線と共に消えていった。
それにより何が起こるのかまでは定かではないが、クリストフ曰く月光写譜によってクリスティアン・バッハに奪われた音楽の能力と才能が、本来あるべき場所へと戻った世界線へと向かうのだと言う。
今シンが目覚めたこの世界線が、クリストフの言う目的地となっているのか。それは自ずと彼らの周りに起こる新たな展開によって明らかになるのだろう。
「取り敢えず顔でも洗って来たら?何か連絡が入れば私達が対応するから」
「そうだな、説明好きのケヴィンが表に出てるんだ。嫌でも後で色々と聞かされそうだ」
小言を言うシンに、いつもの調子である事を感じ取ったツクヨは笑みを浮かべて彼を見送る。部屋では各々が各自の時間を過ごしていた。
ツバキはアルバで購入した道具を利用して、何やら新たなガジェットを組み立てている。アカリもまた、アルバの物流の多さにあやかり多くの薬草を購入していたようだ。
それらの調合を、リナムルで学んだ知識と掛け合わせながら、紅葉の世話をしている。ミアも銃の手入れと魔弾の精製で、何が起きても対応できるように準備を整えているようだった。
宮殿内では依然変わりなく事件は起きているようで、今日もまた新たな遺体が見つかるのではないかという緊張感があった。
ツクヨに言われた通り、洗面所で顔を洗ったシンはすっかり眠気も一緒に洗い流し身支度を整える。そうしている間に、外での話にひと段落ついたのか、ケヴィンが部屋へと戻って来た。
ドアノブの音に皆が一斉に視線を送る。最初に開口したのはミアだった。不謹慎ではあるものの、誰もが気になっていた今日の犯人の犯行について。要するに犠牲者が現れたのかどうかについて尋ねる。
「随分と長かったな。それで?今日は何があったんだ?」
「それがその・・・拍子抜けなんですが・・・」
彼の表情は事件を前にした緊張感があるものでも、全くの平和そのものの反応でもなく、何とも納得のいっていないようなハッキリとしないものだった。
まず初めに彼が話したのは、今日は誰かが殺されたというものはなかったという報告だった。ただ単に発見できなかっただけなのではないかとツバキが突っ込むも、教団の派遣した護衛隊や宮殿の警備の人数を考えて見ても、到底探しきれないという事はなさそうだ。
そしてその後にケヴィンが語った事に、一同は驚きの反応を見せる。なんとこの数日間の間に起きた一連の事件の犯人が見つかったのだと彼は口にしたのだ。
「犯人が見つかった!?」
「えぇ、現在犯人への聴取と事件との関係性の調査が行われているそうです。彼の聴取と事件との関係性が認められれば、今回の一件は解決の方向へ向かうでしょう」
事件が解決となれば、宮殿で足止めを食らっていた音楽家達やシン達も解放される。彼らにとっては実に喜ばしい事だったのだが、どうにもケヴィンの表情が曇っている事が気になったシンは、その理由を彼に尋ねた。
「どうしたんだ、浮かない顔をして。事件の解決が嬉しくないのか?」
「いえ、まぁ事件が解決に向かうのは良い事なのですが、如何にも納得のいかない事が多くて・・・」
「と、言うと?」
「これまで全く尻尾を見せなかった犯人が、今日になって急に犯行現場を抑えられたのもおかしいですし、これまでの緻密な計画性や手口がまるで嘘だったかのように解決されるのが、如何にも引っ掛かるんですよね・・・」
「他に真犯人がいると?」
「どうでしょう。それは今後の調査によって証明される事でしょうけど、私としては別に犯人がいる方がしっくりとはきますかね」
犯人は音楽学校で働く職員だったのだという。式典の準備を担当していたという彼は、教団とのやり取りも担当しており、その際にジークベルト大司教やオイゲンらの情報を得て犯行の準備を進めていたらしい。
彼は音楽業界に強い恨みを持っていたらしく、それに加担していたと思われる教団の一部の人間をアルバに誘い、まとめて殺害する計画を立てていたようだ。
犯人の名前は“ヨルダン・クリストフ・ベルツと名乗る男だったそうだ。
「お目覚めかい?随分と疲れていたようだけど」
「あぁ、おはよう・・・。外で誰か話してるのか?何か騒がしいようだけど」
「さぁ?暫く前に護衛隊の人が来て、ニノンとケヴィンが事情を聞きに行ったんだけど、それっきりなんだよね。部屋を出ようとしても、今暫くお待ち下さいって言われちゃって、まだ出れないんだ」
どうやら時間軸が、宮殿内で謎の人物達が襲撃を行う前に戻っているようだ。勿論彼らにその事実を知る術はない。
コレまで宮殿内と外で起きていた、クリストフが巻き起こしていた騒動の一切の記憶が彼らにはない。だが彼らが戦った事実は、別の世界線で確かに存在している。
そこで自分以外の全ての者を消し去り、シンとの勝負に勝利したクリストフは、先祖の残した月光写譜をバッハの霊体達に演奏させると、その世界線と共に消えていった。
それにより何が起こるのかまでは定かではないが、クリストフ曰く月光写譜によってクリスティアン・バッハに奪われた音楽の能力と才能が、本来あるべき場所へと戻った世界線へと向かうのだと言う。
今シンが目覚めたこの世界線が、クリストフの言う目的地となっているのか。それは自ずと彼らの周りに起こる新たな展開によって明らかになるのだろう。
「取り敢えず顔でも洗って来たら?何か連絡が入れば私達が対応するから」
「そうだな、説明好きのケヴィンが表に出てるんだ。嫌でも後で色々と聞かされそうだ」
小言を言うシンに、いつもの調子である事を感じ取ったツクヨは笑みを浮かべて彼を見送る。部屋では各々が各自の時間を過ごしていた。
ツバキはアルバで購入した道具を利用して、何やら新たなガジェットを組み立てている。アカリもまた、アルバの物流の多さにあやかり多くの薬草を購入していたようだ。
それらの調合を、リナムルで学んだ知識と掛け合わせながら、紅葉の世話をしている。ミアも銃の手入れと魔弾の精製で、何が起きても対応できるように準備を整えているようだった。
宮殿内では依然変わりなく事件は起きているようで、今日もまた新たな遺体が見つかるのではないかという緊張感があった。
ツクヨに言われた通り、洗面所で顔を洗ったシンはすっかり眠気も一緒に洗い流し身支度を整える。そうしている間に、外での話にひと段落ついたのか、ケヴィンが部屋へと戻って来た。
ドアノブの音に皆が一斉に視線を送る。最初に開口したのはミアだった。不謹慎ではあるものの、誰もが気になっていた今日の犯人の犯行について。要するに犠牲者が現れたのかどうかについて尋ねる。
「随分と長かったな。それで?今日は何があったんだ?」
「それがその・・・拍子抜けなんですが・・・」
彼の表情は事件を前にした緊張感があるものでも、全くの平和そのものの反応でもなく、何とも納得のいっていないようなハッキリとしないものだった。
まず初めに彼が話したのは、今日は誰かが殺されたというものはなかったという報告だった。ただ単に発見できなかっただけなのではないかとツバキが突っ込むも、教団の派遣した護衛隊や宮殿の警備の人数を考えて見ても、到底探しきれないという事はなさそうだ。
そしてその後にケヴィンが語った事に、一同は驚きの反応を見せる。なんとこの数日間の間に起きた一連の事件の犯人が見つかったのだと彼は口にしたのだ。
「犯人が見つかった!?」
「えぇ、現在犯人への聴取と事件との関係性の調査が行われているそうです。彼の聴取と事件との関係性が認められれば、今回の一件は解決の方向へ向かうでしょう」
事件が解決となれば、宮殿で足止めを食らっていた音楽家達やシン達も解放される。彼らにとっては実に喜ばしい事だったのだが、どうにもケヴィンの表情が曇っている事が気になったシンは、その理由を彼に尋ねた。
「どうしたんだ、浮かない顔をして。事件の解決が嬉しくないのか?」
「いえ、まぁ事件が解決に向かうのは良い事なのですが、如何にも納得のいかない事が多くて・・・」
「と、言うと?」
「これまで全く尻尾を見せなかった犯人が、今日になって急に犯行現場を抑えられたのもおかしいですし、これまでの緻密な計画性や手口がまるで嘘だったかのように解決されるのが、如何にも引っ掛かるんですよね・・・」
「他に真犯人がいると?」
「どうでしょう。それは今後の調査によって証明される事でしょうけど、私としては別に犯人がいる方がしっくりとはきますかね」
犯人は音楽学校で働く職員だったのだという。式典の準備を担当していたという彼は、教団とのやり取りも担当しており、その際にジークベルト大司教やオイゲンらの情報を得て犯行の準備を進めていたらしい。
彼は音楽業界に強い恨みを持っていたらしく、それに加担していたと思われる教団の一部の人間をアルバに誘い、まとめて殺害する計画を立てていたようだ。
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