死神が僕にくれた、幸福な運命

風乃あむり

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第1章

黒猫のいく先

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 十数分後、黒猫を追ってたどりついたのは、住宅街の小道の奥にあるこ綺麗なマンションだった。

 そのエントランス――オートロックの扉の前に、影が丸くうずくまっている。

 膝を抱え込むように座り込んだ、中学生。

 プリーツスカートに顔をうずめて、ぴくりとも動かない。

「夏原さん……?」

 無造作に流れる黒い髪は、間違いなく彼女のものだ。

 十二月の夜は、体の芯を突き刺すように寒い。

 屋外で座り込んでいるなんて――呼びかけても返事がないだなんて、どう考えてもおかしい。

「ねぇ、夏原さん……!」

 最悪の想像に身を震わせながら、彼女のもとにしゃがみ込んだ。もう一度声をかけて抱き起こそうとすると、彼女はゆっくり顔を上げて、ぼんやりと僕を見た。

「……山丘くん?」

「よかった、生きてた……」

 一瞬の安堵の後、彼女の唇に全く色がないのに気づいて、僕は急いで自分の上着を彼女の肩にかけた。

「えっと……?」

 夏原さんは思考がはっきりしないようだ。寝ていたのかもしれない。

 こんな寒い夜に? 屋外で? でも、白く冷え切った彼女の頬を見れば、そうとしか思えなかった。

「このマンションが夏原さんの家? なんで帰らないの!?」

「え……あの、鍵をどこかに無くしちゃって……親が帰ってくるまで待とうと思ってたら寝ちゃって……ていうかどうして山丘君がいるの?」

 あぁ、もう。冬に外で寝るなんて。

「ばかっ!! 凍死したらどうするんだよ!」

 彼女は目を見開いた。バカにバカなんて言われて驚いたのかもしれない。でも今はそんなことに構っていられない。

「とにかく、体を温めないと! 家に入れないんだったら……そうだ、とりあえずファミレスに行くよ!」

「……はい」

 奇妙に行儀の良い返事をする夏原さんの腕を引っ張って、僕はずんずん歩き出した。



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