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幕間④
聖女が導くべき路①
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■ソフィア=アルベルティーニ視点
十年前、私は故郷の村の教会で、自分が[聖女]であると知った。
カロリング皇国の辺境にある村の貧しい家庭に育ち、一日たった一回だけの食事すらままならない生活を送っていた私だったが、八歳になった時に村の教会で行われる神託式の日、私の人生が一変した。
神父をはじめ、村中が[聖女]の出現に沸き、私は崇め讃えられた。
しばらくすると、ファルマ聖法国の神官とその一団が村にやって来て、私は村を出てファルマ聖法国へと連れて行かれることとなった。
その時は、八歳で両親やたった一人の姉と離ればなれになることをつらいと感じたが、神官から嬉しそうに袋を受け取った時の両親の顔を見てそんな気持ちも失せてしまったのを覚えている。
だって……私は売られたのだから。
それからの私は、ファルマ聖法国で[聖女]としての修行に明け暮れた。
ファルマ聖教の教義を学び、[聖女]が起こす“奇跡”という名の、職業としての能力の強化に勤しむ。
……いえ、[聖女]の能力を考えれば、それを“奇跡”と呼んでも間違いはないのかもしれない。
何故なら、たとえ瀕死の状態であったとしても生還せしめる【神の癒し】や様々な苦難から身を護る【加護】、全ての者を魅了し、導くことができる【先導】など、まさに[聖女]の“奇跡”としか思えないような破格な能力なのだから。
そして、そんな[聖女]としての情操教育を何年も続けてきた私は気づく。
人は、神の下に平等ではないのだと。
何故かって? 決まっている。
本当に平等であるというのなら、その職業は同程度の能力ではならない。にもかかわらず、職業には上位と下位があり、生まれながらにして差別化が図られているのだから。
貧富の差にしたってそうだ。
富める者は生まれながらにして永遠に裕福で、貧しい物は生まれながらにして永遠に貧しい。
唯一平等があるとするならば、それは人としての生を終える時のみ。
これだけは、どのような者であったとしても逃れることはできない。
ならば、[聖女]として生まれてきた私の使命は何なのだろうか?
【神の癒し】や【加護】を与え、全ての者をどこへ【先導】しろというのだろうか……。
分からない。
分からない、分からない、分からない。
そんな苦悩の日々を抱える中、十八歳を迎えた私は教皇より一つの真理を告げられた。
かの“アルグレア王国”には、『天国への階段』と呼ばれるものがある、と。
それは、人知を超えた、まさに神へと至るもの……人の身では決して触れることのできない、触れてはいけないものであると。
何故教皇が『天国への階段』を私に語ったのか、最初は理解できなかった。
だが、その後に教皇の真意を聞き、正しく理解した。
要は、この『天国への階段』によって人を等しく導き、救済したいのだと。
心が躍った。
こんなに興奮を覚えたのは、自分が[聖女]であると知ってから初めてだった。
「……『天使への階段』さえあれば、私は全ての人を神の下へと正しく導くことができる」
そう、私のこの[聖女]の力は、そのためにあったのだ。
そのために、私はこの世に生を受けたのだ。
それさえ分かれば、私のすべきことは簡単だ。
ただ、『天国への階段』を手に入れ、人々を導くだけ。
私は教皇と話し合った結果、『天国への階段』の存在を確認するため、アルグレア王国へと赴くこととなった。
アルグレア王国……特に国王は、私やファルマ聖法国が来たことに難色を示していたが、『天国への階段』のこと、私達の目的について丁寧に説明すると、しばらく考えた後、協力していただけることとなった。
それと同時に、この国について明るい現地の者を雇った。
それが、アルグレア王国の暗殺者ギルドの長である“ジャック”という男だった。
聞くところによると、この“ジャック”という男、教皇と既知の仲らしい。
なので、アルグレア王国に到着した際には協力を仰ぐようにと、教皇からは助言を受けていたのだ。
実際、このジャックさんは優秀な方で、王国に関するあらゆる情報や国王周辺の内情など、備に情報を伝えてくれた。
私達ファルマ聖法国としては、その分ジャックさんへの報酬も高額になるものと覚悟していたが、彼の要求は意外にも些細なものだった。
そんな中、国王の配下の者……この国の宰相と大臣が『天国への階段』を手に入れるための行動を起こした。
なんと、『天国への階段』を管理する貴族を賊の仕業と見せかけて襲ったのだ。
その話を聞きつけた私は、すぐさま国王に対し抗議した。
そんな短絡的な真似をして、『天国への階段』が入手できなくなってしまったらどうするのかと。
国王曰く対応に問題はないとは言うが、到底信用できない。
それから何の進展もなく、私は王都で悶々とした日々を過ごしていると、ある日突然、状況が動いた。
それが……壊れてしまった筈の、一人の少女の復活だった。
十年前、私は故郷の村の教会で、自分が[聖女]であると知った。
カロリング皇国の辺境にある村の貧しい家庭に育ち、一日たった一回だけの食事すらままならない生活を送っていた私だったが、八歳になった時に村の教会で行われる神託式の日、私の人生が一変した。
神父をはじめ、村中が[聖女]の出現に沸き、私は崇め讃えられた。
しばらくすると、ファルマ聖法国の神官とその一団が村にやって来て、私は村を出てファルマ聖法国へと連れて行かれることとなった。
その時は、八歳で両親やたった一人の姉と離ればなれになることをつらいと感じたが、神官から嬉しそうに袋を受け取った時の両親の顔を見てそんな気持ちも失せてしまったのを覚えている。
だって……私は売られたのだから。
それからの私は、ファルマ聖法国で[聖女]としての修行に明け暮れた。
ファルマ聖教の教義を学び、[聖女]が起こす“奇跡”という名の、職業としての能力の強化に勤しむ。
……いえ、[聖女]の能力を考えれば、それを“奇跡”と呼んでも間違いはないのかもしれない。
何故なら、たとえ瀕死の状態であったとしても生還せしめる【神の癒し】や様々な苦難から身を護る【加護】、全ての者を魅了し、導くことができる【先導】など、まさに[聖女]の“奇跡”としか思えないような破格な能力なのだから。
そして、そんな[聖女]としての情操教育を何年も続けてきた私は気づく。
人は、神の下に平等ではないのだと。
何故かって? 決まっている。
本当に平等であるというのなら、その職業は同程度の能力ではならない。にもかかわらず、職業には上位と下位があり、生まれながらにして差別化が図られているのだから。
貧富の差にしたってそうだ。
富める者は生まれながらにして永遠に裕福で、貧しい物は生まれながらにして永遠に貧しい。
唯一平等があるとするならば、それは人としての生を終える時のみ。
これだけは、どのような者であったとしても逃れることはできない。
ならば、[聖女]として生まれてきた私の使命は何なのだろうか?
【神の癒し】や【加護】を与え、全ての者をどこへ【先導】しろというのだろうか……。
分からない。
分からない、分からない、分からない。
そんな苦悩の日々を抱える中、十八歳を迎えた私は教皇より一つの真理を告げられた。
かの“アルグレア王国”には、『天国への階段』と呼ばれるものがある、と。
それは、人知を超えた、まさに神へと至るもの……人の身では決して触れることのできない、触れてはいけないものであると。
何故教皇が『天国への階段』を私に語ったのか、最初は理解できなかった。
だが、その後に教皇の真意を聞き、正しく理解した。
要は、この『天国への階段』によって人を等しく導き、救済したいのだと。
心が躍った。
こんなに興奮を覚えたのは、自分が[聖女]であると知ってから初めてだった。
「……『天使への階段』さえあれば、私は全ての人を神の下へと正しく導くことができる」
そう、私のこの[聖女]の力は、そのためにあったのだ。
そのために、私はこの世に生を受けたのだ。
それさえ分かれば、私のすべきことは簡単だ。
ただ、『天国への階段』を手に入れ、人々を導くだけ。
私は教皇と話し合った結果、『天国への階段』の存在を確認するため、アルグレア王国へと赴くこととなった。
アルグレア王国……特に国王は、私やファルマ聖法国が来たことに難色を示していたが、『天国への階段』のこと、私達の目的について丁寧に説明すると、しばらく考えた後、協力していただけることとなった。
それと同時に、この国について明るい現地の者を雇った。
それが、アルグレア王国の暗殺者ギルドの長である“ジャック”という男だった。
聞くところによると、この“ジャック”という男、教皇と既知の仲らしい。
なので、アルグレア王国に到着した際には協力を仰ぐようにと、教皇からは助言を受けていたのだ。
実際、このジャックさんは優秀な方で、王国に関するあらゆる情報や国王周辺の内情など、備に情報を伝えてくれた。
私達ファルマ聖法国としては、その分ジャックさんへの報酬も高額になるものと覚悟していたが、彼の要求は意外にも些細なものだった。
そんな中、国王の配下の者……この国の宰相と大臣が『天国への階段』を手に入れるための行動を起こした。
なんと、『天国への階段』を管理する貴族を賊の仕業と見せかけて襲ったのだ。
その話を聞きつけた私は、すぐさま国王に対し抗議した。
そんな短絡的な真似をして、『天国への階段』が入手できなくなってしまったらどうするのかと。
国王曰く対応に問題はないとは言うが、到底信用できない。
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それが……壊れてしまった筈の、一人の少女の復活だった。
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