ループ執愛症候群~初対面のはずなのに、執着MAXで迫られてます~

たぴおか定食

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第6話 お茶会に差す影

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「改めてまして、ご挨拶を。ルル坊っちゃまの専属メイドをしております、サナベルナ・ロザフィーネと申します。サナとお呼びください。」

スカートの裾をチョンと持ち、深々と挨拶をするサナ。

そして、ノアはそれに答えるように胸の真ん中に手を置き深々とお辞儀をする。

「こんにちは、ノアゼル・セイランディアと申します。以後お見知りおきを。」

おお……!なんか乙女ゲーム感が強い!!

ってかずっと思ってたけど、ノアって多分うちの姉ちゃんの推しなんだよな。

姉から一方的にされたノアに関する話を思い出そうと頭をフル回転させる。


──────────────────


「弟ーーーー!!!」

「なに?姉ちゃん。」

「あんた、『薔薇園の貴公子』って乙女ゲーム知ってる?」

今日も今日とて元気な姉がスマホの画面に映るゲームのタイトル画面を、家を出るために靴を履いている俺の眼前に突きつけてくる。

「なんで俺が知ってると思ったんだよ。」

「まあ、知らないだろうね。優しい優しいお姉さまが無知なあんたに教えてあげる。」

「はあ?俺、今から学校で……」

「学園が舞台の乙女ゲームで、そこに通ってる私の推しのノアっていうキャラがいるんだけど、小さい頃に友達が死んじゃったせいで最初はめっちゃ塞ぎ込んでるの!でも、ヒロインが根気強く話しかけて、やっと心を開いてくれる高難易度なキャラでね!そこも可愛いんだけど、そこだけじゃなくて実は……」

そんな凄まじい勢いのマシンガンオタクトークに耐えられなくなった俺は姉ちゃんの言葉を遮って

「あー、もうわかったから!!!」

なんて言いながら、逃げるように家から出た。

そしてこの後轢かれた。笑える。

──────────────────


「ルル、どうしたの?考え事?」

俺がボーッとしているのを見ていたようで、ノアが心配そうに覗き込んでくる。

「ちょっとね。大したことじゃないよ、大丈夫。そんなことよりサナ、今日はなんのお菓子があるの?」

「本日はオレンジのカヌレとイチゴのタルト、紅茶のスコーンでございます。」

「わっ!すごい!ノアの予想、2つともあってるよ!!」

「たまたまだよ…全部美味しそうだね。」

「うん!座ろ座ろ!!」

引いてもらった椅子に座り、丸いテーブルを2人で挟む形になる。

テーブルの真ん中に置いてあるケーキスタンドのそれぞれの段にはキラキラと輝くスイーツたち。

「すごい綺麗…!それに、美味しそ~。」

「でも、クッキーはなかったね。」

「あら?坊っちゃま、クッキーをお召し上がりになりたかったのですか?」

「うん。でも乗ってるお菓子見て、気分変わった!」

「明日は、クッキーを用意しておきますね。」

その時、遠くからサナの名前を呼ぶ声が聞こえた。

「サナ。」

あれは……セシルか。

ふと、ノアの顔を見るとなぜかサナよりも驚いていてこっちもびっくりする。

「ノア、そんなに驚いてどうかした?」

「い…や……大丈夫。」

ほんとに?そう言おうとしたが、すぐそこまでセシルが来ていたため断念する。

「サナ、奥様がお呼びです。ここには私が残りますので。」

「承知しました。申し訳ありません、坊っちゃま方。少しの間席をあけます。」

お辞儀をして去っていくサナに手を振っているとノアが口を開いた。

「わざわざセシルが来てくれるなんて。もしかして、暇だったの?」

そんな皮肉たっぷりな口調で聞くもんだから、セシルがノアを迎えに行った道中で何かあったんじゃないかと心配になる。

「尊き血筋の方を護衛もなしで中庭に放っておく訳にもいけませんからね。」

「ふーん。」

皮肉を笑顔で返したセシルの返答を頬杖をつきながら興味無さそうにいなす。

えっ、ほんとに大丈夫そう?喧嘩でもした?

オロオロしている俺を見て、気を使ったのか、いないのかノアは俺の方に向き直り屈託のない笑顔で口を開いた。

「ルル、食べよ。紅茶も冷めちゃう。」

「う、うん。」

なんだか気まずい空気のまま、食べるお茶とスイーツはなんだかいつもよりも味が薄かった。
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