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第十四話 受付
しおりを挟む「タロウ・ヤマダ様ですね、かしこまりました。では次に得意武器欄と、その他のしよう武器についての記入をお願いします」
な、なぜだ、なぜこうなった。
俺は、とてもカッコいい苗字と名前を考えていたんだぞ? それなのに、それなのに焦って、急いで、もうこれにしてしまえとなってしまったこの名前。恐らく頭がショートでもしてしまったのだろう。
はあ、こんな名前じゃやる気が出るものも出ないぞ……初めて改名したい人の気持ちが分かった気がする。自分の気に食わない名前を死ぬまで呼び続けられるなんて、ただの苦行でしかない。
「お客様?」
まずい、これ以上は本当にまずい。でも、得意武器とその他の武器って、一番俺に聞いちゃダメな部門だろ、俺も得意武器とか欲しいくらいだ。
でも、なんとか誤魔化さないと……
「あのー……スキルや魔法をメインで戦う人っていうのはなんて書けば良いですかね?」
「そういう事でございましたか、それならば空欄で構いませんよ。これはあくまで本人の特徴を記録するものですので、武器を何も持たずに戦うのであれば、空欄で大丈夫ですよ?」
「あぁ、そうですか……」
まるで俺への当て付けとさえ思えるようなシステムだな。そんなことは無いと知っているのだが、それでも意識してしまう。スキルや魔法だからといって、武器を持たぬとは限らないだろう?
わざわざ言わなくても良いとは思うんだが、まあ、これ以上言っても仕方ないか。不満はあのジジイいに次会った時に全て吐き出してやる。
「これでもし、武器変更とかあった場合には何か手続きは必要ですか?」
「いえ、大丈夫ですよ。本来は手続きに来てもらうのがベストですが、毎回武器を変えるたびにここに来い、というのもおかしな話ですからね」
「そ、そうですか、よかったです」
本当に良かった、これでギリギリなんとかなりそうだ。最悪、俺がバケツとか持っててもなんとか言い訳できるな。
……いや、バケツは武器って思われないか。
「ヤマダ様! 手続きが完了しました!」
そ、その名前を呼ぶなー! って、言いたいけど、そんなこと言えるはずもなく、従順に従う。
「こちらが身分を証明するギルドカードになります。紛失しますと再発行となり、代金をいただくのでお気をつけください。これであなたはもう冒険者です。自分の身は自分で守ってくださいね? では、容器冒険者ライフをお過ごしください!」
あっ、はい。自分の身は自分で守る、か。俺のスキルじゃ少し頼りないけど、頑張るしかねーよなー。
と、取り敢えず今日の宿を確保する為のお金を入手するために何か依頼を受けよう!
「何か、依頼ってありますか?」
俺は、今、終わったばかりの受付の人に、そう尋ねた。
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