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第十六話 鑑定
しおりを挟む「うわっ!」
入れが鑑定を発動すると、脳が焼けるような痛みにおそわれた。すぐさま俺は鑑定を解除した
クッソ、もしかして、鑑定するのにも激しい頭痛が伴うのか? それにしても痛すぎじゃないか? 頭痛の範疇を明らかに逸脱していたと思うんだが。
そして一番ムカつくのは、こんなにも代償が大きいっていうのにも関わらず、この鑑定スキルを使わないと今、俺が受注している依頼をクリアできないってことなんだよな。
本当にあのジジイ、次会った時が最後だ。
「ん?」
いや、待てよ? 俺はさっき、地面全体に向けて鑑定を使ったよな? もしかしてそれが原因だったりする?
それは再び俺が鑑定を使おうとした時だった。鑑定というものは大体一つの対象に向けて使うものである、ということを思い出したのだ。
だって、この世界を鑑定なんてできるかもしれないが、それこそ脳が焼き切れそうだ。もしかして、地面一帯に鑑定を発動したために脳の処理が追いつかず、あの頭痛が発生したとすれば……
俺は適当に落ちている草をむしり取って、手のひらに乗せた。
「【鑑定】」
すると、さっきの痛みがまるで嘘のように感じられず、俺の目の前にはその鑑定結果が表示された。
▪︎スベリヒユ:どこにでも生えている群生種。雑草とよく言われているが、この世には雑草なんて草は存在しないと思っている。食用可能でおひたしにすると美味しい。
あ、そうなんだ。なんか鑑定にしてはとても主観が混ざっているというか、この雑草は存在しないと思ってるのは誰なんだ? このスペリヒユなのか?
まあ、いいや食用って書いてあるし、とりあえず持っておこう。非常食くらいにはなるかもしれないしな。
だが、お目当ての薬草ではない。一つ一つ鑑定すれば大丈夫ということが分かったから、これからは地道に作業していこう。あとは、薬草を見つけるまでの辛抱だ。
それから俺はただただ鑑定を続けて行った。雑草と呼ばれていそうな草にはほとんど「この世には雑草なんて草は存在しないと思っている」という一文があった。
うん、俺はお前らの名前を知ったからちゃんと成仏して欲しい。
そして、遂に長きに及んだ鑑定地獄から抜け出せる時がきた。
▪︎オウレン草:独生種で見つけるのが大変である。薬草として利用されるため価値が高い。見た目ではわかりにくいが、似た見た目をした毒草エグレン草と混同しないよう、注意する。
こいつだー! 遂に見つけたぞ! これで帰ればお金ももらえて、宿にも泊まれるはずだ!
ん、ちょっと待った。この薬草ってどれだけ採ってくればいいんだっけ? もし、ギルドに戻って足りませんとか言われた日にはもう、やる気が完全消滅していることだろう。それだけは避けなければ……
そんな不安に襲われた俺はその後も日が完全に落ちるまで採取を続けた。
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