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第二十一話 最後の一手
しおりを挟む「これで、988本目っ……」
バタっ
く、くそ、足が完全に棒みたいになってしまったじゃねーか。広範囲に何回も何回も鑑定を使いすぎたせいで、頭ぶっ壊れそうだし、もう、帰って寝たい。
でも、せっかくここまできたんだ。後、十二本くらい……
「ガルぅぅ」
「えっ!?」
音のした方向に反射的に顔を向けると、そこには狼の群れがいた。どうやら俺は薬草の為にかなり森の奥深くまでやってきてしまっていたようだ。
こんな状態で薬草を探すことすら厳しいのに、狼の群れなんて万事休すどころか、億、いや兆は軽く超えて無理だろ、今までなんだかんだ頑張ってきたつもりだが、ここでとうとう終わりを迎えるというわけか。
くそ、あと一日でも早く仕事を始めていればこんなことにはならなかったのにな。もう、これで確実に終わりだな。第二の人生もそれなりには楽しかったぞ。
そう思い、もう諦めようとした時、俺は閃いてしまった。
「そうだ、どうせなら最後に一回ガチャを引こう」
どうせダメ元なんだ、たわしとかそこらへんのクソ武器、いや武器とも呼べないものが出てくるだろうが、まあ、どうせ死ぬんだから絶望して死にたい。それだったら諦めもつくだろう?
「【ランダム武器生成】」
『ランダム武器:魔剣ドラグヴォグを生成しました』
「え? 何これ?」
俺の手に握らされた剣は、禍々しく、黒い炎が刀身にまとわりついており、握っているだけでどこからともなく力が湧いてくるようだった。
先程までの棒のような足が完全に治り、今すぐ目の前の狼どもをぶっ殺したい衝動に駆られる。
「あぁ、」
❇︎
俺の記憶はここで途切れていた。俺が何を言ったのかも分からず、気づくと狼に見つかった場所に独り立っていた。全身に狼の返り血を浴びたまま。
「は?」
いや、まあ生きてたのはいいけどさ、今のなんなの? 魔剣ドラグヴォグ? なんじゃそりゃ! くそチート武器じゃねーかよ!
しかも記憶飛ぶとか絶対に呪われているだろあれ、いやーちゃんと消えてくれる仕様で良かったー。そうじゃ無かったら今頃どうなっていたかなんて考えたくもないぞ。
はあー、今のは当たりなのか? あたりなら分かりやすく聖剣エクスカリバーとかにしてくれよ全く。あのジジイはどこまで捻くれてんだよ。
まあ、助けてくれたからいいんだけどさ。でも、絶対に礼とかはしないからな。
ザザっ
「い、今の何……?」
音のした方向にまたも反射的に振り向くと、そこには怯えた顔をした一人の男の子が立っていた。
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