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第二十二話 誤解
しおりを挟む怯えた少年は、俺と目が合った瞬間に腰を引かして逃げ出そうとした。
だが、あまりにも大きすぎる恐怖心のせいか、その足取りは重たく、まともに逃げることもできないまま、足はもつれ、そのまま膝をついてしまった。
少年は死を悟ったかのような目つきになり、うなだれて、天を仰いだ。
「……」
え、そんなに怖がることか??
俺、そんなに狂喜乱舞してたのか? 確かにチート武器の魔剣ドラグヴォグだっけ? を使って無意識のうちに狼達を狩り殺したのは事実だ。
でも別に人まで殺したわけじゃないし、そもそもこんなチート武器もう二度とでないぞ? そんなに怖がらなくてもいいだろ。
俺は、ずっと天を仰いでいる少年の誤解を解く為に、少年の元に歩き始めた。
「ひ、ひっ……!」
俺が近づいてくるのが、天を仰いだ状態のままでも分かったのか、更に怯えを大きくした。これは流石に不味いと、声をかけることにした。
「お、おーい」
俺は何も持たず両手を上げ、敵意が一切ないことをアピールした。
「う、うぅ……? え、え!? うそ! 僕、死なない、の?」
いや、だから殺す気はなからないんだって! まあ、俺の心の声が聞こえてないから仕方ないんだろうが、それにしても怯えすぎなんだよな。
まあ、パッとみたところ前世でいう小学生くらい、よくて高学年くらいの見た目だ。怖がるのも無理はないのか。
「大丈夫、か? 俺はお前を殺すつもりはない、安心して欲しい。信用できないだろうか、俺はこれ以上近づかない」
少年は見るからに、ほっ、という安堵の表情を浮かべた。
俺のことを殺人鬼と思ったなら、これくらいのことじゃ安堵しちゃダメだろ、とも思うが、まあ、そんなとこも子供なんだろう。
「あ、」
俺が急に声を出したから少年がビクッと反応した。
だが、そんなことよりも俺は重要なことを思い出した。そう、俺は指名依頼を受けている途中だったのだ。
今の薬草採取本数は988本、あと12本は見つけなきゃいけない。
「うっ……」
やるべきことを思い出すと、また頭が痛くなってきた。やばい、鑑定が使えそうにもない。それに、狼と戦う前の疲れがどっと襲ってきた。
あぁ、もうダメ、だ。
そこで俺は再び意識を手放してしまった。
❇︎
「う、うぅ」
「あっ、お、オジサン大丈夫、ですか?」
「はっ!」
俺は冷や水をかけられたのごとく飛び起きた。当たりを見渡すと俺が狼を倒し、少年と出会った森の中だ。そして、その少年もすぐ側にいる。意識を失う前となんら変わりはない。
ただ、大きく変わったところがある。そう、日が上っているのだ。
「え、えっ!?」
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