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第三十一話 平穏と不安
しおりを挟む「ふわぁーー」
いやー今日も今日とて良い天気だなー。最高の二度寝日和だったから気持ちよく二度寝をしてしまったぜ。
ずっとこのまま寝ていられたらどれだけ幸せだろうか。
そんなことを思って手持ちのお金を確認してみると、なんと65250Gもあった。ついでに領収書みたいなものもあったのでそれをみてみると、報酬が60000、指名料が1000G、で更に早期達成料で5000Gも貰っていた。
差額は今日の宿代だな。
ってあれ、もしかして俺ってば金持ちって話する? だって前回はこの宿に十日間くらいしか滞在できなかったのに、今回は百日間くらいは住めるんだぞ? これはもしかしなくても勝ち組なんじゃないか?
ってことはもっとランクの高い所に住むことだって夢じゃねーな。そんなことも視野に入れてみても良いかもしれない。
「……」
いや、落ち着け。別に俺は今この宿に不満はない。ってことはわざわざこの上のランクに行く必要はないってことだ。今、俺の欲求としては良い場所に住むことよりも、だらだら肢体の方が上回っている。
ということはだな、俺がすべきなのは高望みじゃなくて、ここでぐーたらすることだよな。よし、三度寝でもするか。
いやいやいやいや、それもダメだ。もしそんなことしてたら百日間は良いかもしれないが、百一日後に地獄をみることになる。それは昨日までの自分が身を持って体験したことだ。
それに、あんなことを体験した後では、ぐーたらしてるだけだと休むに休まれないだろう。だから、適度に働いて適度に休む必要がある。
よし、まずは三日に一回、いや二日に一回働いてみることにしよう。毎回薬草を採取するだけでも稼げるんだから、その一回で二日分の宿料以上を稼げるようにしよう。そうすれば貯金も貯まっていくから不安も解消されるだろう。
それでやってみて思ったより稼げたり稼げなかったりしたら、改めて考えなすとしよう。
ってことは今日は、、、働くかぁ。
あ、そーいえば疲れててあんまり聞いてなかったんだが、受付の人がなんか言ってたよな。どっかに来て欲しいだが行って欲しい、みたいな。
まあ、取り敢えずもう一回受付行ってみるか。面倒くさいが俺の平穏なる安らぎの為だ、仕方がない。
❇︎
「あ、タロウさん! 来てくださったんですね!」
いや、別に貴方の為に来た訳じゃないのでそんなに喜ばなくてもいいんじゃないのか?
「それで用件はなんだったか? 昨日来た時に何か言ってただろう、もう一度教えてくれないか?」
「昨日? あぁ、依頼主さんの件ですね。指名依頼を達成したら是非とも我が家に来て欲しいと仰ってましたので、一度伺ってみてはいかがですか?」
「それは必ず行かないといけないものなのか?」
「いえ、そういうわけではありませんが、タロウ様からしても悪い話はないと思いますよ? ギルドからしても文句を言われる可能性があるのでできれば行って欲しいのですが……」
あぁ、だからさっきはああして喜んだのか。合点がいったな。でも、そんなことでギルドに文句を言う奴と会いたくはないよなぁ。非常に面倒臭そうだ。
だがまあ会ってみてから考えるとするか。もしかして良い人の可能性も無きにしも非ずだからな。
「じゃあその場所を教えてくれ。取り敢えず行ってみる」
「本当ですか!? ありがとうございます! では案内いたしますね!」
おぉ、案内までしてくれるのか気が利くな。だか、そこまでするってことは逆に何かありそうで怖いな。
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