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第三十話 珍妙な夜
しおりを挟む「はっ!」
ここは……どうやら宿のベッドのようだ。あぁ、このフカフカのベッドが俺を優しく包み込んでくれる。
よし、もう一度寝よう。今まで寝れて無かったんだ。それを回収しなきゃ話にならないよな。
「はっ!」
って、まだ昼か。せめて暗くなってくれないと寝れないじゃないか。普通夜に寝るもんだろ? だから夜まで寝ないとな。うん、、、
「はっ!」
夜だ。外は真っ暗、完全に皆が寝静まっている時だ。ここで残念なお知らせがある。只今、一切の眠気がございません。おかしいな、なぜ昨日の夜寝たはずなのにまだ眠く無いんだろうか?
もしかして朝方なのか? 朝方の暗い時間帯なのか? 時計が無いからイマイチわかんないだよな。
でも、この静まり方はいくらなんでもおかしすぎるだろ? 日付を超えてない夜なら酒飲みとかが騒いでてもおかしく無い時間帯だ。ってことは深夜2~4時らへんか?
とりあえず外に出てみようか。なんだか夜風に当たって軽く体を動かしたい気分だ。
外に出て適当にほっつき歩いてみる。うん、とっても静かだ。まるでこの街に誰もいないみたいだな。そしてそのまま歩き続けてみると開けた場所に出た。
「ん、ここはどこだ?」
風が吹き抜けとても心地が良い。暑くも寒くもなく、涼やかな空気が広がっている。あぁ、ずっとこのままが良いな、朝なんて迎えずに、明日なんて来なくていい。
そのまま適当に当てもなく歩いていると、そこには一つの石碑のようなものがあった。
「ん、これはなんだ?」
随分と苔むしていてわかりづらいが表面に文字が書いてある。その文字をなぞりながら読んでみると、
「R、I、P? R.I.P!? ってことはここは墓地じゃねーか!」
その事実を認識した途端、急に薄気味悪くなった。心地よかった風が神経を逆撫でるような風に変わり、全身を悪寒が駆け巡った。
か、帰ろう。今すぐあの平穏なベッドの上に戻るんだ。そう思って後ろを振り返ると、
ガシャり、
そこには馬に乗った首無しの騎士がいた。
「ぎゃあああああ!!」
俺は全力で逃げた。無我夢中で逃げた。だが、後ろから馬の足音がパカラッパかラと一定のリズムを保ったまま聞こえてくる。まずい、このままじゃいい疲れてしまう。こうなったらアレを使うしかない!
「【ランダム武器生成】!」
『ランダム武器:爆弾を生成しました』
きたー! ここにきての当たりだ。こうなったらできる限り生成しまくって……
「これでもくらえ!」
俺は大量に抱えた爆弾を今にも襲ってきそうな敵に向かって全て投げつけた。
ッドッカーーン!!
「はっ!」
気づくと俺はベッドの上に横たわっていた。外は明るく、陽の光が差し込んでいる。どうやら俺は夢を見ていたようだ。
ビッショリと汗をかいており今すぐシャワーを浴びたい気分だ。
それにしても夢でよかったな。妙に生々しかったが、あの量の爆弾を抱えていたらたとえ現実であっても死んでいただろう。
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