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『罰は一生、それが彼女の糧に』
しおりを挟む勝負をしよう。君が彼らと会話しなかったら、君の勝ち。声をかけたら君の負け。
勝てば君の安住を約束しよう。
さて君は何をかける?
私の一生を。
よかろう。
美味しいご飯を食べているはずなのに、彼の一挙手一投足が私に緊張を走らせた。ナイフとフォークを器用に使い、皿に盛り付けられたステーキを口へと運ぶ。肉の分厚さがここの家の裕福さを表している。
テレビから地球が密かに他惑星と交流をしていたというビッグニュースが大々的に報道されていた。
私も口いっぱいに肉を頬張る。なんて美味いのだろうと感動を覚えたのも束の間、
「こら、行儀が悪いぞ。何回言えばわかるんだ。まったく」
彼の叱責で、私は食欲を失せてしまった。
「いいじゃないですか、まだ子どもなんだし、ここの暮らしや生活はまだ慣れてないからですよ」
彼女は微笑んでくれた。彼は眉間に皺を寄せ
まっく君はいつも甘やかしてばかり・・・と彼がぼやいていた。
まだ皿の上にある料理をさらい、私はそそくさとその場を後にした。
どうだい?
何が?
生活だよ。
まあまあ・・・・・・。
こっちに帰りたくなったかい?
いや、口うるさいが、生活に困らないよう配慮してくれている。
では残り1週間楽しんでくれ。
「おーい、出かけるぞ~」
「はーい。もうちょっと待って支度が終わるから。こらこら嫌がらない」
そう言いながら私を着替えさせる。鬱陶しいったらありゃしない。
ピンポーンとインターフォンが鳴り響いた。
「あら、玄関には主人がいるのにどうしたのかしら」
そう言って声の方に彼女は向かっていった。
ーーあなた!!
彼女の叫び声で私も走り出した。彼が倒れていたのだ。
救急車に運ばれ、病院へ着くと彼はすぐに息を引き取ってしまった。
病室から彼女の啜り泣きが、外にいる私のところまで聞こえた。夜空に流星群が降り注いだ。
どうだ? こちらに帰りたくなったんじゃないか?
・・・・・・。
なんだい、思ってた以上にここの生活に馴染んでるんだね。目的を忘れてしまったのかい?
いや覚えてるよ。
もう明日で君は撤退だよ。君の調査の結果、ここは我々が住みやすい星だ。侵略開始はこの地球のトップ達との会談終了後だ。
それで賭けは君の勝ちだ。
「おやおや、どこに行ってたんだい? お友達と談笑してたのかい? ご飯ができてるよ。お食べ」
皿に盛り付けられた料理。
彼が亡くなってから彼女はめっきりとやせ細っていった。私は彼女の裾を引っ張り、無理やりテーブルに座らせ、その横で私は料理を食べた。
「そうね、あなたがいるものね・・・ありがとう」
「どういたしまして」
そう彼女に伝えると、とても驚いていた。
今日は我が同胞達が地球に侵略を開始する。
私は彼女に逃げるようと促す。
「しゃべるワンちゃんがいっぱいくるなんて素敵な話よ」
と言って軽く流されてしまった。
侵略が始まった。地球に住む人間に各一匹、我々が寄生し人間に至れりつくせりの生活をさせてもらう。我々は働かずにして食・住を与えられ気分がよけば話相手になってあげるといったもの。
人間側はすぐにOKした。何せ彼らの問題は圧倒的なまでの交配不足。少子化が一層深刻になり、高齢化社会は肥大するばかりである。高齢者の独り身生活が増え、介護の人員不足により、サポートが追いつかない。この問題をどう解決しようかと悩んでいたところへのプロキオンαに住む知的生命体との共存(地球人類はそう思っている)による介護サポートを提案し同意した。
高齢者は犬達の面倒を必死にみることを受け入れる。我々を家族として迎え入れ、その寄生を許した。
かくいう私もそうだ。
あれから、行く日にも彼女と過ごしている。
ゲームは私の負け、友人は自星に帰り、私の地位や住処を貰い受けているみたいだ。
私は負けた罰として、この高齢の彼女と共に生きていくことを決めた。
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