ドジな天使のせいで異世界転生したのでこの天使に仕返ししようとしたら幼馴染まで追いかけてきてこの世界で生き抜こうと思った件について

tai-bo

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第16話 ダンジョンからの脱出と絶望!?

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 ザァーと水の流れる音がする。冷たい微風が頬を撫でる。頬に当たる硬い感触と下半身の刺すような冷たい感触に「うっ」と呻き声をあげて琢磨は目を覚ました。
 ボーとする頭とズキズキする全身に眉根を寄せながら両腕に力を入れて何とか上体を起こした。

「痛っ~ここは・・・・・・どこだ?・・・・・・」

 ふらつく頭を抑えつつ記憶を辿りながら辺りを見渡す。
 周りは薄暗いが壁から生えてる鉱石の発光のおかげで何とか見渡せる。
 視線の先には川が流れていて琢磨の下半身が浸かっていた。上半身も見渡すと濡れていることから川を流されてこの場所にうち上がったのだろう。

「そうだ・・・・・・あの時火球が俺の目の前を直撃し橋が落ちたんだ。・・・・・・それで、ミノタウロスと・・・・・・」

 霧がかったようだった頭が回転してハッとして周りを見渡すもどうやらミノタウロスは近くにいないようだ。
 琢磨があんな高さから落ちていながら助かったのは全くの幸運だった。
 落下途中の崖にけっこう深い池があり、それが、下に向かって何か所もあり、その池をバウンドするように転げ落ち、結果的にそれが衝撃を吸収してくれたのだ。もっとも、気を失ってた琢磨はその身に起きた奇跡を理解していないが。

「全身痛いが何とか助かったことを喜ぶべきだな。・・・・・・はっくしゅん! さ、寒い~!」

 全身びしょ濡れのためすっかり体が冷えてしまっている。このままでは風邪をひいてしまう。急いで川から上がると、服を脱ぎ、絞って水気を取る。
 そして、パンツ一枚になると、火種になるものを探しすが、幸いすぐに見つかった。一緒に落ちたと思われる橋の残骸が転がっていたのだ。何個かは湿っていたが濡れてないものもある程度確保できた。
 残骸を集めると火の魔法で着火した。十分燃えたのを確認すると、火元で暖を取りつつ傍に脱いだ服を並べて乾かす。

「ここはどのあたりだ。・・・・・・まさか、転生してこんな目に遭うとわな。こんなことなら武器なんかより、チート能力を手に入れた方が良かったか・・・・・・」

 暖かな火にあたり気持ちが落ち着いて来ると、異世界転生までしたのにこんな目に遭うなんて泣きたくなってきた。

「いや、こんなところで死んでたまるか。地上に戻ってやる。そして、もし、あの火球が故意で俺を狙ったんだとしたら、あいつを絶対許さない!」
 自分に言い聞かせるように呟き、とりあえずここから生きて帰ることが先決だと決心するとジッと炎を見つめた。
 三十分ほど暖を取り服も十分乾いたので出発することにする。どの階層にいるかわからないがダンジョンの中にいる以上、どこに魔物が潜んでいてもおかしくない。琢磨は慎重に奥に繋がる通路に歩みを進めた。
 琢磨が進む通路は洞窟みたいでいたるところから岩や壁があちこちからせり出し通路自体も複雑にうねっていてとても歩きづらい。琢磨はせり出してる岩や壁を利用して隠れながら進んでいった。
 そうして、しばらく歩いて疲れを感じ始めた頃、遂に初めての分かれ道にたどり着いた。通路はY字に分かれている。琢磨は岩の陰に潜みながら、どっちの道に進むべきか逡巡《しゅんじゅん》した。
 しばらく考えていると、視界の端で何かが動いた気がして慌てて岩陰に身を潜める。
 そっと顔を出して様子を窺うと、琢磨から向かって右側の通路から蛇みたいに体をくねらせながら動いている魔物が見えた。やがて、通路から出てくると、全長五メートルはあろうかという胴体に竜のような顔をしている魔物だった。あれは、ギルドの手配書で見たことがある。ドラゴンスネークだ。口から飛ばす酸攻撃と雷属性の魔法を使うらしい。そんだけでも厄介なのに長い尻尾にも何かあるらしい。
 明らかにヤバい魔物なので、身を潜めつつ、もう一方の左側の通路に進もうと決める。
 琢磨は岩陰で息を潜めながらタイミングを見計らう。そして、ドラゴンスネークが琢磨の隠れている岩陰の前を通り抜けるのとタイミングを合わせるように背中を岩につけながら体を動かしドラゴンスネークがの反対から今だ! と飛び出そうとした。
 その瞬間、ドラゴンスネークの動きが止まり、周りをキョロキョロ見て警戒している。

(やばい! 気づかれたか)

 琢磨は岩陰に張り付くように身を潜めながらバクバクと脈打つ心臓を必死に抑える。どんな些細な音でも気づかれない保証はない。
 だが、ドラゴンスネークが警戒したのは別の理由のようだ。

「シャアァァァァァァッ!!」

 耳に響くような声と共に、蜘蛛のような魔物が左の通路からドラゴンスネーク目掛けて飛び出したのだ。
 その魔物は胴体が蜘蛛の形をしており全長三メートルぐらいありその中心から人間の女性のようなものが生えて上半身をなしている。間違いない、あの魔物はアラクネだ。
 再び岩陰から様子を確認する琢磨。様子を窺っていると、二体の魔物は睨み合っていて今にも戦闘を開始しそうだ。これはチャンスだと思い、二体の魔物が争ってるドサクサにこの場所から離脱しようと思い腰を浮かせた。
 だがしかし・・・・・・

「ギャォォォォォッ!!」

 咆哮を上げた直後、ドラゴンスネークが口から火を吹いた。その威力はすさまじく衝撃で足下がぐらつく。だが、その攻撃をアラクネは口から左側の壁に糸を飛ばし、その反動で飛びついて躱す。
 その直後、ダンジョンの壁が崩落した。このままでは、通路も塞がってしまう。どうにかしなければ。
 だが、琢磨は腰を浮かせたまま硬直する。アラクネが出したとも割れる蜘蛛の糸がいつの間にか琢磨が向かおうとしていた通路を完全にふさいでたのだ。何とかしなければと思うが直ぐには考えがまとまらない。
 そうこうしている間にも、ドラゴンスネークが次々放つ火を飛ばすが、アラクネがは蜘蛛糸を利用して躱しながらその反動でドラゴンスネークに接近するとそのまま鋭い爪を振り下ろす。ドラゴンスネークは尻尾を振り回しアラクネの爪と激突する。パワーはドラゴンスネークに軍配が上がったのかアラクネは後ろに吹っ飛ばされくるくる回転しながら着地する。その衝撃であちこちの壁や岩などに罅《ひび》が入る。
 これは付け入るスキがないと琢磨はもう少し様子を見る。
 アラクネと一定以上の距離ができるとドラゴンスネークは、グルルと唸りながら尻尾を逆立てる。すると、その尻尾がバチバチと放電を始めた。どうやらドラゴンスネークの固有魔法のようだ。

「グルゥア!!」

 咆哮と共に電撃がアラクネ目掛けて乱れ飛ぶ。
 しかし、高速で飛来してくる電撃をアラクネは蜘蛛の糸を利用しつつ華麗に躱す。何発か直撃するのもあったがそれらの電撃は悉《ことごと》く糸にさえぎられた。どうやら蜘蛛の糸はゴムのような材質でできてるのかまったく電撃を通さない。

「シャシャアッ!!」

 アラクネがあざ笑ってるような雄叫び? を上げている。その行動に切れたのかドラゴンスネークが今までの非じゃない炎の塊を放った。アラクネは虚を突かれたが慌てて蜘蛛の糸から飛び降り回避した。そして、蜘蛛の糸に直撃するとところどころ燃えて糸が垂れさがっている。どうやら火に弱いようだ。それを見たドラゴンスネークは攻撃方法を変えたようだ。そして、アラクネは一定の距離を取りつつ警戒している。今までのが嘘だったように膠着状態《こうちゃくじょうたい》になり静まり返っている。

(・・・・・・マジかよ。実はドッキリだったというわけないか)

 腕の痛みが嫌でもこれが現実だと安易に告げている。乾いた笑みを浮かべたまま脱出の機会を脱してしまった。やばいなんてもんじゃない。琢磨が苦戦したミノタウロスなんて赤ん坊なんじゃないかと思えてくる。それほど、この二体の魔物はけた違いに強い。今の琢磨じゃどう逆立ちしたって勝てはしない。
 琢磨は、気づかれたら絶対に死ぬと、表情に焦燥を浮かべながら無意識に隠れている岩にもたれ掛かってしまった。
 それが間違いだった。

 ガジャーン!!!

 その音はダンジョン内にやたらと大きく響いた。
 先ほどの戦いの余波と、ドラゴンスネークの攻撃が引き金になったのか琢磨の隠れていた岩が、もたれた拍子に大きな音を立てて砕け散ってしまったのだ。何てついてないのだろう。琢磨の額から冷や汗が噴き出る。砕けた岩に向けていた顔をギギギと正面に向けてアラクネとドラゴンスネークを確認する。
 二体ともばっちり琢磨を見ていた。
 二体とも琢磨を捉えた目を細めて警戒心むき出しだ。琢磨は蛇に睨まれたカエルのように体が硬直して動かない。
 やがて、アラクネが琢磨の方を向くと新たな敵と見定めたのか足をたわめ力を入れ、蜘蛛の糸を壁づ台に張り巡らし、糸の反動を利用し高速に近づいて来る。
 琢磨は恐怖を無理やりねじ込み迎え撃つ覚悟を決めた。
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