⚪︎×探偵事務所

らいむこーら

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1 浮気じゃない浮気調査

彼氏の正体

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まずは依頼者と彼氏さんの情報を探すか、と暁さんはパソコンをかたかたし始めた。
分かったことは、依頼者が化粧品の大手企業で働いており、若いわりにはだいぶ出世しているようだ。いいなあ。お金持ちかあ。そして———問題の彼氏。え、うわあ、まじかよ…神崎組のお坊ちゃんかよ…。暁さんの手が止まった。

「ね、ねえ、まひ…杏子さん大手企業の社員なんだけど…彼氏…神崎組のお坊ちゃんだ…。」
「うん、知ってる。」
「⁉︎まひ超能力者だったの⁈」

暁さん、すまないがパソコンの画面が見えている。超能力者でもなんでもなく、見ただけだ。「まひすごい…。」…てかヤンキーどころかヤクザかよ。「まひ天才…。」……変に手を出したり、動いているのがバレたら、こちらの身が危ない。「まひやばい…。」………………………。

暁さんはいつまで僕のことを超能力者だと思ってるのかな⁈僕の回想めっちゃ邪魔されたわ。てか相馬さんはいつまで間抜けな顔をしているんだ。働いてもらわないと困る。僕は相馬さんの体を揺さぶった。

「相馬さん。生きてますか?」

「ん…え?あ、あぁ、生きてる。」

「そうですか。じゃあ働いてください。」

「あ、うん。」

めっちゃ間抜けじゃん。なんか「って勝手に人を殺すなあああああああああ!」とか叫んでいるけど無視無視。生存確認しただけだし。うん。まあ本調子が戻ったみたいでよかったわ。依頼者…めっちゃ大好きなんだろうなあ。アラサーの時の恋人だし、杏子さん自身は結婚するつもりなんだろうな。昨日見せられた写真にいた人たちは、全員、組の人間のようだ。今全員調べ終わった。

先ほど杏子さんは、仕事帰りに来てくれたようだ。だったら、今頃遊んでいるのではないか。というわけで杏子さんが別の女といるのを見たというところに来た…。来ました…。うん…。

ここ、ホステス街じゃん…なんというか…いかがわしいお店が立ち並んでいる…。この街の入り口付近で見かけたらしいが、それなら街の中にいるだろうという探偵2人の判断で中まで来た。ただ単に2人が来たかっただけじゃないか?とも思う。僕、高校生だし、帰るよ。なんて言えない。

くそ…嫌だ…もう帰りたい…お店の看板にライトつけすぎだろ…もはやライト多すぎて、眩しくて文字読めんわ…。

とりあえず僕たちはこの街を散策した。え、待って。これって散策って言えるの?ねえ、帰りたい…。
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