新しい世界で何をしよう?

ライドリア

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最初の出会い

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「よう、目が覚めたんだな。」

 二人組のうちの青年が気さくに話しかけてくる。

「あ、はい。お陰様です。」

 昨晩の記憶からこの人たちが僕のことを拾ってくれたのはなんとなく察しがつく。多分気絶したまま森に放り出されたんだと思う。

「まずは自己紹介といこうか。俺の名前はアッシュ。見りゃ分かるだろうが冒険者をやってるよ。」

 アッシュと名乗った男性は笑顔でそう名乗った。見れば分かると言うのでアッシュさんのことをよく見てみる。髪の毛は橙色で若干逆立っている。動きやすい服装の上に鉄製の胸鎧、小手、膝当てなどを装備しており背中には大きな大剣を装備している。顔は一言で言えば爽やかなイケメン青年って感じだ。

「次は私ね。私はライラ。アッシュと組んで一緒に冒険者をやってるわ。」

 アッシュさんと一緒にいたもう一人の女性が名乗った。ライラさんは深い紫色の髪色で顔立ちも大人っぽく色気を感じさせる。アッシュさんと同じように動きやすそうな冒険服の上に深い緑色のローブを纏っており腰に杖を引っ掛けている。

「僕はコウキっていいます。昨晩はありがとうございました。」

 助けてもらったはずなので名乗った後に忘れずに礼を言う。

「いいってことよ。子供を見捨てるなんて後味が悪いしな」

「それにしても浜辺でコウキ君が倒れてるのを見てお姉さんたちびっくりしちゃったよ。もしかして君って遭難者?」

 ん?今聞き捨てならないことが聞こえたような…。

「あの、それってどういうことでしょう…」

「状況からして君は海で溺れて流れ着いたってところね。」

「…………………………!?」

(ちょっと女神様!?流石にそれはないですよ!転生して早々溺死とかシャレになってないですからね!?)

 これは流石にない。死んで生き返らされてまた死ぬとか拷問かなんかですか。てか拷問よりも酷い。

「はぁ……」

 転生直後で散々な目に遭い自然と頭を抱え溜息が出てしまう。

「まあまあ、生きていただけ儲けものさ。溺死寸前だったんだぜ?」

「そうね、脈も弱かったし呼吸もほぼしてなかったわ。私たちが助けなかったら確実に死んでたわね。」

「そういうこった。まあ、命さえあればこれからなんてどうにでもなるさ。そう落ち込むなって。」

 二人とも僕を励まそうと笑顔で言ってくれる。別にこれからが心配で溜息を吐いたわけじゃないんだけどね…。でも気遣ってくれる気持ちは凄く嬉しい。それにこれからどうするかも考えなきゃいけないんだ。

「ところでコウキ、お前の両親は居ないのか?」

 困ったな。なんて答えればいいだろう。転生したのだから両親なんているわけないし。ええと、確か浜辺に流れ着いてたってことは…。

「あの、その、えっと…、両親は船の沈没で…」

 一気に場の雰囲気が暗くなった。ヤバイ。地雷踏んだかも。

「そうか…。お前も大変だったんだな…。もし行く当てが無いならこの森を抜けたすぐの所に街があるからまずはそこを目指すといいぜ。」

「本当は送ってあげたいんだけど私たちも依頼を受けててね、急いでいるの。ごめんね。」

 ライラさんが申し訳なさそうに言った。

「だ、大丈夫です!助けてもらった上にさらに迷惑を掛けるわけにはいきませんよ!」

「まだ小さいのにしっかりしてるのね。アッシュがあなたと同じくらいの時なんて挨拶すらちゃんとできなかったのに。」

 そう言ってライラさんは僕の頭を撫でてくれた。照れ臭いけどすごく落ち着く。自然と口元がにやけてしまう。ライラさんの後ろではアッシュさんがバツが悪そうに笑っていた。

「それじゃあ僕はもう行こうと思います。色々とお世話になりました。」

 一通り話をしたのでそろそろ行こうと思う。二人にもう一度お礼を言ってから僕は森の出口の方角へと向かった。

「ちょっと待ってくれ!」

「ん?」ガッ「痛いっ!?」

 呼び止められて振り向いた瞬間にテニスボールくらいの大きさの物体が勢いよく頭に当たって地面に落ちる。」

「あ、すまん!」

「ちょっとアッシュ!あんたなにしてんのよ!」

 離れたところで二人が揉めている声が聞こえる。頭すごい痛い…。地面に落ちた物を見ると四角い箱だった。この角が当たったみたいだ。道理で痛いわけだ。

「そいつは俺からの贈り物だ!受け取ってくれ!」

「コウキ君!またどこかで会いましょうねー!」

 二人が手を振って見送ってくれている。

「はいー!本当に何から何までありがとうございましたー!」

 二人に届くように出来る限り大きな声を出して別れの言葉を言い、僕は二人と別れた。

________________________________________

「良かったの、アッシュ?あの箱の中身って貴方の最初の装備でしょ。思い入れとか有ったんじゃないの?」

「いいんだよ。使わずに腐らせるよりも後進の役に立てた方が道具も報われるってもんだ。それにここらは強くないが魔物が出る。子供一人で丸腰じゃすぐに死んじまうよ。」

「それなら使ってないもっと良い装備があったじゃない。何でわざわざ。」

「いやな、コウキは俺の後進になりそうな気がしてな。それなら今の実力に合った装備を渡してそこから自分の力で強くなって欲しい。そう思ったんだ。」

「なるほどね。それにしてもコウキ君が後進ね…。それって”勇者”の勘ってやつかしら?」

「そういうことになるかな。あと俺は勇者じゃない。周りがそう囃し立ててるだけの冒険者さ。」

「格好つけちゃって。貴方がいくら否定してもいずれは魔王を討った勇者として名を広めることになるんだから。」

「へいへい、その話はもういいよ…。」

 コウキと正反対の方向へと二人は歩みを進める。
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