ありがとう工場

04 ルールのこと

　その言葉を聞いて、新米ネズミはみみずく先輩に訊ねた。
　「あのぉ、そんなにここのルールって大切なんですか？」
　新米ネズミは初めからずっと疑問に思っていたのだ。

　するとみみずく先輩は一瞬目を丸くしたかと思うと急に激しく怒りだし「当たり前だろうがっ！！」

　「ありがとうもごめんなさいも、早く届けないと意味が無いだろうがっっ！！」

　「そんなことも分からずに今までやって来たのかっ！！！」

　コノヤロー！とばかりに先輩はおもむろに新米ネズミの頬を思い切りボコッとパンチした。
　いきなり殴られた新米ネズミはその場に倒れ込み、
　「痛い、、、。」と頬を押さえてしばらく呆然としている。

　ハッとして、我に返ったみみずく先輩が慌てて
　「、、す、すまん、、、。」と言いながらネズミの体を起こしてくれた。

　「でも、ぜ、絶対に忘れるんじゃないぞ！」
　そう言い残して彼は気まずそうに工場へと立ち去った。
　

　残された新米ネズミはまだ何が起こったのか良く理解できないままに頬がじんじんと痛むのを感じていた。
　ゆっくりと立ち上がっても、なんで先輩があんなに怒ったのかわからないまま頬を擦り擦り工場へと入って行くのであった。