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16 弱ったネズミ

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 夕方の日が暮れる頃にもう一度、新米ネズミはチュー太郎宅を訪れていた。

 バイクを停めようと空き地に入ると



 ガチャーンッ!!

 チュー太郎の家の中から食器の割れるような音が聞こえ、何か聞き慣れない怒鳴り声がした。

 驚いてバイクのスタンドを下ろしながら部屋の窓の方に目をやると、ふらふらとしながらチュー太郎が奥さんを怒鳴っているところだった。
 どうやらお酒を飲んで酔っ払っているようだ。

 新米ネズミは初めて見るその光景に驚いてハラハラしながらしばらく様子を伺っていた。

 奥さんはただただ涙ぐんで、部屋の隅に小さくなって震えていた。


 チュー太郎は手は出さないがベロベロに酔っていて、何度も物を投げ飛ばしたり怒鳴ったりとひとしきりして、机に突っ伏してそのうちにブツブツいいながら寝てしまった。


 しばらくして奥さんはゆっくりと重そうにお腹を抱えて立ち上がり、チュー太郎の背中にそっとブランケットをかけて優しく手をあてた。

 
 新米ネズミは黙ってそれを見つめていた。



 雨がしとしとと降ってくる。
 自分には何も出来ずにただ受け入れるしかないのだろうか、、全身を覆う雨に打たれながら彼はとても悲しい気持ちになった。

 
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 今日も渡せなかった荷物を家に持ち帰った新米ネズミは、バイクを停めて箱を抱える。
 ガシャリ、、と聞き慣れた嫌な音がする。
 その音を聞く度に一日の疲れが押し寄せるようだった。
 
 フゥ、、、。

 不意に溜め息が出る。


 いつの間にか新米ネズミにとってはその荷物の箱が骨壷のように冷たく、雨でじっとりと濡れて重たくなっている。


 それを抱えて今日も家へと入って行くのだった。  
 
 

 
 
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