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17 受取らない理由

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 翌日は朝から雨が降っていた。

 新米ネズミは雨空の下、深緑色のカッパを着てチュー太郎宅へと向かった。

 どんよりとしたアヒル池にはヒキガエルの鳴き声が深くこだましている。
 昨晩から降り続く雨がじとじとと、絡んでくる泥でバイクのタイヤを重くしていた。



 ようやくチュー太郎宅へと辿り着いたが、新米ネズミは相変わらず中に入ることもなく空き地にバイクを停めて様子を伺っていた。

 チュー太郎は朝からお酒に酔っているようで、部屋の椅子で寝ているようだった。

 新米ネズミは何だか疲れて体の力が抜けるのを感じて、その場にしゃがみ込むと体育座りをして雨の中動けなくなってしまった。

 雨は激しくもないがしとしとと降り続いている。



 どれくらいの時間が経っただろうか、、。
 
 ふと雨が止んでいる様な気がして見上げると、見慣れない花柄の傘が目に入ってきた。
 横にはチュー太郎の奥さんが傘をさして立っている。 

 新米ネズミは驚いて、突然の事で動けずにそのまま見ていると、奥さんが深くお辞儀をしてくる。
 つられて新米ネズミもお辞儀をした。

 「、、長い間、、何度も、すみません。」
 そう奥さんが言い、話を続けた。

 「先日、主人の母が亡くなりました。」
 新米ネズミはチュー太郎が以前、電話をしていたのを思い出す。

  (あぁ、あの時の電話か、、。)
 
 「主人は子供の頃の話は、あまりしたがりませんでした。」
 「お母さんが病気になられてからも一度も会う事も無かったので、、きっと、何か許せない事があったんだと思います。」

 (、、、それで荷物も受け取らなかったのか?)
 新米ネズミはその理由を聞いて、少しほっとしていた。

 空は未だ晴れることはなく、小さく雨が降り続いていた。

 「私にもどうしていいか、、、。」
 奥さんは不安そうな表情を一瞬浮かべた。
 「すみません、、、。」

 そう言うと、深々とお辞儀をしてまた家へと戻って行った。


 ハァ、、、、。

 新米ネズミは溜め息をついてからゆっくりと立ち上がり、バイクに跨るとエンジンをかけてその場を立ち去るのだった。



 
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