ありがとう工場

天仕事屋(てしごとや)

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18 廃棄処分

 工場へと戻った新米ネズミは専務ネズミの部屋を訪れていた。
 
 天井の高いその部屋には、壁一面にびっしりと本やファイルが詰められている。

 専務が座るデスクの上には、処理途中の書類とファイルがキレイにまとめてある。

 ガタイの良いの専務ネズミはチェックのベストに赤いネクタイをしている。
 少し暗い部屋のせいか表情は良く見えないながらも細い眼に一瞬、鋭い光を感じる。

 
 新米ネズミは机の前に立ち尽くしていた。
 着ている服からはポタポタと雫が滴り落ちて、床を濡らしている。
 専務は目を細めながらその姿を静かに凝視していた。

 そして低い声で話す。
 「受け取りを、、、完全に拒否し続けているというのか。」
 「そうなると、、こっちは荷物を廃棄処分する事になる。」

 フゥ、、と専務は小さく息をつく。
 「、、その旨をお客様に速やかにお伝えしてきなさい。」
 「ひとまず、二日以内には返事をもらうように。」
 専務の目がまたギラリと光った様に見えた。

 「お客様に了承してもらったら、リーダーからの指示に従って処理をしてくれ。」

 「はい。」

 新米ネズミが静かに返事をすると、専務は目を細めながら手で『下がれ』のジェスチャーをした。
 それを見て新米ネズミは深く一礼をし、部屋を出ていった。


 ______________________________

 
 廃棄処分という響きは悲しい。けれど、勝手だがこれでようやく『方が付く』という気持ちもあって少しホッとしているところもあった。 
 

 翌朝、工場を出ると秋の風が近くの柿の木を揺らしていた。カラスが突いた柿の実の甘い香りがそこら中に漂ってくる。

 新米ネズミは荷物の乗ったバイクに跨り、工場を出た。


 通いなれてしまったチュー太郎宅へとネズミはバイクを走らせる。
 心には不思議と迷いは無かった。

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