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26 お母さん
急いで二匹が処置室に駆け込むと、ぐったりしていても幸せそうに我が子を抱く奥さんの姿がベッドにあった。
それを見て二匹はまたエンエンと手を合わせて号泣する。
奥さんはそれを見て全部理解したように頷き、クスクスと笑いながら
「いつの間にそんなに仲良しになったの?」
と片方の握った手を自分の口にあてて笑った。
チュー太郎はふと気付いて、
「その手に持っているのは何?」
と尋ねた。
見れば奥さんは封筒のような物を持っていて、そのままいきんだせいか握った部分がクシャクシャになっていた。
「あ、、、これは、、、」
奥さんも今気が付いたようで、
「お母さんから園長先生への手紙。」
「チュー太郎さんにすぐに読んでもらいたくって、そのまま持って来ちゃった。」
「、、、こんなにクシャクシャに、、。」
申し訳無さそうに奥さんは、封筒のシワを伸ばしながら中から手紙を出してチュー太郎に手渡した。
チュー太郎その手紙を受け取ると、ゆっくりと開いた。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
『園長先生へ』
毎日、お暑い中 子供達を見てくださって本当に有り難うございます。
今日、病院の窓の木枠に一匹蝉がとまっていました。
夏の終わりだからでしょうか、鳴き声が少し弱々しく感じます。
私はこの頃は、体調があまり優れないせいか、すぐに弱気になってしまいます。
どうしてあの時、我が子を手放してしまったのだろうと後悔する事もあります。
けれど もしあの時に、こども園にあの子の事をお願いしていなかったら今こうして我が子が元気でいる姿を見ることは出来ていなかったと思うのです。
ですから園の皆様には本当に、感謝しても仕切れない思いでいっぱいになります。
私はチュー太郎の事を今日まで一日だって忘れた日はありません。
心からあの子の事を大切に思っています。
本当は毎日頭を撫でてあげたり、思い切り抱きしめてあげたり 会えないけれどいつもあなたのことを思っていて、大好きだと いつか直接あの子に伝える事が出来たらと思うと本当に嬉しいのです。
これからもあの子のことをどうか宜しくお願い申し上げます。
まだまだ暑いので、皆様ご自愛下さい。
チュー子
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
その手紙を椅子に座って読み終えたチュー太郎はボロボロと涙を流して声にならずに肩を震わせていた。
奥さんはそっとチュー太郎の手を握っている。
ようやく少しだけ落ち着いて、
「俺は、、、、知らなかっただけで」
「ずっと今まで、、愛されてきたんだな。
一日だって、忘れられた事なんか、無かったんだ。」
「俺が恨んでいた日の分だけ、ずっと一人で」
「母さんは耐えてきたんだな、、、。」
「、、、、本当にすまなかったっ。」
悔しそうに下を向いて、まるで懺悔をしているように奥さんに言葉を懸命に吐き出した。
その後も何度も何度も「すまない」と、まるで母親に言うように、奥さんの手を握りながらチュー太郎は言い続けた。
その様子を見ながら新米ネズミは、奥さんにそっとお辞儀をすると処置室を出ていった。
外に出るとぽっかりと大きな月が真っ暗だった空を照らしている。
まるで自分達をずっと見守ってくれていたかのように、それは大きくて温かな月だった。
それを見て二匹はまたエンエンと手を合わせて号泣する。
奥さんはそれを見て全部理解したように頷き、クスクスと笑いながら
「いつの間にそんなに仲良しになったの?」
と片方の握った手を自分の口にあてて笑った。
チュー太郎はふと気付いて、
「その手に持っているのは何?」
と尋ねた。
見れば奥さんは封筒のような物を持っていて、そのままいきんだせいか握った部分がクシャクシャになっていた。
「あ、、、これは、、、」
奥さんも今気が付いたようで、
「お母さんから園長先生への手紙。」
「チュー太郎さんにすぐに読んでもらいたくって、そのまま持って来ちゃった。」
「、、、こんなにクシャクシャに、、。」
申し訳無さそうに奥さんは、封筒のシワを伸ばしながら中から手紙を出してチュー太郎に手渡した。
チュー太郎その手紙を受け取ると、ゆっくりと開いた。
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『園長先生へ』
毎日、お暑い中 子供達を見てくださって本当に有り難うございます。
今日、病院の窓の木枠に一匹蝉がとまっていました。
夏の終わりだからでしょうか、鳴き声が少し弱々しく感じます。
私はこの頃は、体調があまり優れないせいか、すぐに弱気になってしまいます。
どうしてあの時、我が子を手放してしまったのだろうと後悔する事もあります。
けれど もしあの時に、こども園にあの子の事をお願いしていなかったら今こうして我が子が元気でいる姿を見ることは出来ていなかったと思うのです。
ですから園の皆様には本当に、感謝しても仕切れない思いでいっぱいになります。
私はチュー太郎の事を今日まで一日だって忘れた日はありません。
心からあの子の事を大切に思っています。
本当は毎日頭を撫でてあげたり、思い切り抱きしめてあげたり 会えないけれどいつもあなたのことを思っていて、大好きだと いつか直接あの子に伝える事が出来たらと思うと本当に嬉しいのです。
これからもあの子のことをどうか宜しくお願い申し上げます。
まだまだ暑いので、皆様ご自愛下さい。
チュー子
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その手紙を椅子に座って読み終えたチュー太郎はボロボロと涙を流して声にならずに肩を震わせていた。
奥さんはそっとチュー太郎の手を握っている。
ようやく少しだけ落ち着いて、
「俺は、、、、知らなかっただけで」
「ずっと今まで、、愛されてきたんだな。
一日だって、忘れられた事なんか、無かったんだ。」
「俺が恨んでいた日の分だけ、ずっと一人で」
「母さんは耐えてきたんだな、、、。」
「、、、、本当にすまなかったっ。」
悔しそうに下を向いて、まるで懺悔をしているように奥さんに言葉を懸命に吐き出した。
その後も何度も何度も「すまない」と、まるで母親に言うように、奥さんの手を握りながらチュー太郎は言い続けた。
その様子を見ながら新米ネズミは、奥さんにそっとお辞儀をすると処置室を出ていった。
外に出るとぽっかりと大きな月が真っ暗だった空を照らしている。
まるで自分達をずっと見守ってくれていたかのように、それは大きくて温かな月だった。
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