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27 戻ってきた日常
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「飛ばされなくて良かったな!」
怖いことをみみずく先輩は平気で言ってくる。
「随分と絞られてたなぁ!」とからかうようにがっちり肩を組んで新米ネズミの頭をガシガシと撫でた。
これが彼なりの優しさなんだと、胸が温かくなって少しこそばゆくなり笑って誤魔化した。
今日の朝一番に新米ネズミはリーダーに呼び出され、昨日の事を散々絞られて来たのだった。
昨日は病院から帰ってすぐに何の報告もせずに家に帰って寝てしまったのだ。
その為、廃棄処分予定の報告を受けていたリーダーは工場でずっと待っていたらしい。
電話をかけても出ないので、どうやら心配してくれていたようなのだ。
そのリーダーの心配をよそに翌朝、新米の方がスッキリした顔で通勤してくるので、さすがのリーダーも爆発したのだった。
全てはこちらに否がある、、、。
今考えるとここ数日、考えなしの行動ばかりでまわりには随分と迷惑をかけていたに違いない。
とても面目無い思いである。
それでも、リーダーは最後には
「まぁ、荷物がちゃんと届いたのならそれでいい。」
「次はきちんと報告するように!!」
とだけで、言いたいことをぶち撒けたらスッキリしたようでさっさと持ち場に戻ってまた電話をかけていた。
何気に出来た上司だったんだな、と見直した瞬間だった。能天気にもネズミは上司のそれを見て「自分も頑張るぞっ!」と前にも増してやる気を出したのだった。
みずむし先輩にも会い、顔を見るなり駆けてきて「おつかれ様だったね」と缶コーヒーを新米ネズミに握らせた。
自分が気が付いてないだけで、周りに沢山心配をかけてるんだなぁ、、と今回の事で改めて感じていた。
さて!今日から久し振りの通常業務だ。
がたがた…ぴー……ぷるん!
いつもの耳馴染みのある音が心地良い。
ベルトコンベアーで温かいハートが運ばれてくる。
それをひとつ、またひとつとネズミ達がダンボール箱に詰めていく。
新米ネズミの受け取った今日の荷物の届け先はどんぐり村の『ルルさん』宛、、、
(あ、、!どんぐり村って、、。)
いつかみずむし先輩から聞いた姉妹の住んでいる村の名前だ。
少し胸が高鳴る。
不安と期待とが入り混じる気持ちを抱えながら
フンっ!と気合を入れた。
荷物をバイクの荷台に乗せて、新米ネズミは勢いよくペダルを踏み込んだ。
ブルンッ!、、、ブォーン、、、、、、
エンジンがかかり、前進するバイクを肌寒くなった風が押してくれるように、スピードはどんどんと上がっていった。
__________________________________
どんぐり村は、並木の中の何軒かまばらに家のある、開けた野原だった。
家々はまばらだが、それぞれが似たような造りの家が多く見える。
その中の可愛らしい一軒の家に『ララ』の文字を見つける。
しばらく進んで、少し離れた所に『ルル』の文字のある家を見つけた。
新米ネズミは少しホッとしてドアをノックした。
「はぁーい」
中から返事が聞こえる。
、、ガチャッ。
ドアが開いて赤いリボンを付けた若い女の娘ネズミが顔を出した。
「キモチハート工場です。」
「じゃぶじゃぶ池のチュー実さんからお届け物です。」
「ルルさんですか?」
「いいえ、違うわ。」
(えーー?!間違えた?!)
新米ネズミは愕然とする。
「ルル~!」
新米ネズミはドキドキしながら、先輩ネズミの話を思い出していた。
平静を装う中、家の中からよく似た顔の緑色のリボンのネズミが出て来た。
「はーい。ごめんなさい。」
ルルらしき彼女はニッコリとこちらに笑顔を向ける。
二匹が並んでいる姿はリボンが無ければ本当に見分けがつかない。
(、、、二匹共よく似ている。これじゃあ本当に、どっちがどっちか分からないよ~)と新米ネズミは苦笑いをした。
「る、ルルさんにお届け、ものです。」
まだ動揺して少し引きつりながらも荷物をルルに手渡した。
(それより、二匹は、、、仲が悪くなったんでは?)
いろんな疑問が浮かびつつも、少し立入った質問をしてみる。
「来る前に、ララさんのお家もおみかけしたのですが、今は二匹で一緒に住んでらっしゃるんですか?」
ルルが答える。
「いいえ、でもあの事からかえって仲良くなっちゃって」
ねー、と二人で顔を見合わせていたずらっぽく微笑んだ。
ララが被せるように話し出す。
「むしろ良かったのよ。」
「あんな最低なやつだってわかったから!」
ルルも言う。
「あの時はショックだったけど、今は本当の事が分かって良かったって思ってるの。」
「配達員さんに感謝したいぐらい!」
ララも横で頷いている。
「そうですか、、先輩に伝えておきます。」
ルルとララが「フフフッ、お願いねっ!」と新米ネズミの手を取ってぶんぶんと上下に振った。
そうこうしてお話好きの彼女達を相手に、なんとか無事に配達を済ませることが出来たのだった。
________________________________
お昼を食べに工場に戻ると、新米ネズミは早速みずむし先輩を探した。
休憩所に入るとちょうど先輩が自販機でコーヒーを買っているところだった。
呼びかけて、今日の姉妹とのやり取りを一通り話した。
みずむし先輩は全て聞き終えると、「分からないもんだな。」と言って苦い顔をして笑っていた。
「こちらもあの一件で、以前よりも念入りに確認する癖がついてしまいましたし、、。
、、そういう意味では、私もあの姉妹には感謝しなければいけませんね。」
先輩はそう言ってコーヒーをゴクリと一口飲むとすぐに「じゃあ、また。」と言うと休憩所を去って行く。
その時の先輩の横顔は少し嬉しそうに見えた。
怖いことをみみずく先輩は平気で言ってくる。
「随分と絞られてたなぁ!」とからかうようにがっちり肩を組んで新米ネズミの頭をガシガシと撫でた。
これが彼なりの優しさなんだと、胸が温かくなって少しこそばゆくなり笑って誤魔化した。
今日の朝一番に新米ネズミはリーダーに呼び出され、昨日の事を散々絞られて来たのだった。
昨日は病院から帰ってすぐに何の報告もせずに家に帰って寝てしまったのだ。
その為、廃棄処分予定の報告を受けていたリーダーは工場でずっと待っていたらしい。
電話をかけても出ないので、どうやら心配してくれていたようなのだ。
そのリーダーの心配をよそに翌朝、新米の方がスッキリした顔で通勤してくるので、さすがのリーダーも爆発したのだった。
全てはこちらに否がある、、、。
今考えるとここ数日、考えなしの行動ばかりでまわりには随分と迷惑をかけていたに違いない。
とても面目無い思いである。
それでも、リーダーは最後には
「まぁ、荷物がちゃんと届いたのならそれでいい。」
「次はきちんと報告するように!!」
とだけで、言いたいことをぶち撒けたらスッキリしたようでさっさと持ち場に戻ってまた電話をかけていた。
何気に出来た上司だったんだな、と見直した瞬間だった。能天気にもネズミは上司のそれを見て「自分も頑張るぞっ!」と前にも増してやる気を出したのだった。
みずむし先輩にも会い、顔を見るなり駆けてきて「おつかれ様だったね」と缶コーヒーを新米ネズミに握らせた。
自分が気が付いてないだけで、周りに沢山心配をかけてるんだなぁ、、と今回の事で改めて感じていた。
さて!今日から久し振りの通常業務だ。
がたがた…ぴー……ぷるん!
いつもの耳馴染みのある音が心地良い。
ベルトコンベアーで温かいハートが運ばれてくる。
それをひとつ、またひとつとネズミ達がダンボール箱に詰めていく。
新米ネズミの受け取った今日の荷物の届け先はどんぐり村の『ルルさん』宛、、、
(あ、、!どんぐり村って、、。)
いつかみずむし先輩から聞いた姉妹の住んでいる村の名前だ。
少し胸が高鳴る。
不安と期待とが入り混じる気持ちを抱えながら
フンっ!と気合を入れた。
荷物をバイクの荷台に乗せて、新米ネズミは勢いよくペダルを踏み込んだ。
ブルンッ!、、、ブォーン、、、、、、
エンジンがかかり、前進するバイクを肌寒くなった風が押してくれるように、スピードはどんどんと上がっていった。
__________________________________
どんぐり村は、並木の中の何軒かまばらに家のある、開けた野原だった。
家々はまばらだが、それぞれが似たような造りの家が多く見える。
その中の可愛らしい一軒の家に『ララ』の文字を見つける。
しばらく進んで、少し離れた所に『ルル』の文字のある家を見つけた。
新米ネズミは少しホッとしてドアをノックした。
「はぁーい」
中から返事が聞こえる。
、、ガチャッ。
ドアが開いて赤いリボンを付けた若い女の娘ネズミが顔を出した。
「キモチハート工場です。」
「じゃぶじゃぶ池のチュー実さんからお届け物です。」
「ルルさんですか?」
「いいえ、違うわ。」
(えーー?!間違えた?!)
新米ネズミは愕然とする。
「ルル~!」
新米ネズミはドキドキしながら、先輩ネズミの話を思い出していた。
平静を装う中、家の中からよく似た顔の緑色のリボンのネズミが出て来た。
「はーい。ごめんなさい。」
ルルらしき彼女はニッコリとこちらに笑顔を向ける。
二匹が並んでいる姿はリボンが無ければ本当に見分けがつかない。
(、、、二匹共よく似ている。これじゃあ本当に、どっちがどっちか分からないよ~)と新米ネズミは苦笑いをした。
「る、ルルさんにお届け、ものです。」
まだ動揺して少し引きつりながらも荷物をルルに手渡した。
(それより、二匹は、、、仲が悪くなったんでは?)
いろんな疑問が浮かびつつも、少し立入った質問をしてみる。
「来る前に、ララさんのお家もおみかけしたのですが、今は二匹で一緒に住んでらっしゃるんですか?」
ルルが答える。
「いいえ、でもあの事からかえって仲良くなっちゃって」
ねー、と二人で顔を見合わせていたずらっぽく微笑んだ。
ララが被せるように話し出す。
「むしろ良かったのよ。」
「あんな最低なやつだってわかったから!」
ルルも言う。
「あの時はショックだったけど、今は本当の事が分かって良かったって思ってるの。」
「配達員さんに感謝したいぐらい!」
ララも横で頷いている。
「そうですか、、先輩に伝えておきます。」
ルルとララが「フフフッ、お願いねっ!」と新米ネズミの手を取ってぶんぶんと上下に振った。
そうこうしてお話好きの彼女達を相手に、なんとか無事に配達を済ませることが出来たのだった。
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お昼を食べに工場に戻ると、新米ネズミは早速みずむし先輩を探した。
休憩所に入るとちょうど先輩が自販機でコーヒーを買っているところだった。
呼びかけて、今日の姉妹とのやり取りを一通り話した。
みずむし先輩は全て聞き終えると、「分からないもんだな。」と言って苦い顔をして笑っていた。
「こちらもあの一件で、以前よりも念入りに確認する癖がついてしまいましたし、、。
、、そういう意味では、私もあの姉妹には感謝しなければいけませんね。」
先輩はそう言ってコーヒーをゴクリと一口飲むとすぐに「じゃあ、また。」と言うと休憩所を去って行く。
その時の先輩の横顔は少し嬉しそうに見えた。
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