2 / 4
転生した彼氏がスーツケースだった件
しおりを挟む
婚約する予定だった彼氏が交通事故で死んだのは2年前。その後親からの勧めで農家の現夫と結婚することになった。今ではそこそこ幸せだが、もし彼が蘇るというのなら、彼と結婚したい。
ある日のこと、夫が旅行に行こうと言って大きめのスーツケースを二つ買ってきた。
私は何故かそのうちの一つに懐かしいものを感じた。
「これは私の彼だわ・・・転生したのね・・・」
私は彼が転生したと思われるスーツケースを抱き抱えて泣いた。まさかこんな形で再会出来るとは思っていなかった。
私はこの事実を夫に話すと、夫は激怒した。何故私のことを信じてくれないのだろうか。
「私は貴方と別れて彼と結婚したい。スーツケースになっても愛はまだ彼にあるの」
そう言うと夫は私を叩き倒し、「そんなわけないだろ」や、「どうかしている」と私と彼に対しての罵倒の言葉の連続であった。許せないので、いつも使っている包丁で首を刺して殺した。
私はもうひとつあったスーツケースの中に夫をバラバラにして入れて、畑に埋めた。
そして、いつも朝市に野菜を持っていく時に使っていた軽トラに乗り込み、私と彼は都会に出ることにした。
これから警察に追われることになるかもしれない。でも、彼と一緒にいれればそれでいい。どんな形でも・・・
そう思って夜道を走らせていたのだが、そろそろ疲れたので駐車場に車を停めて休憩していた。
「私はあなたと一緒にいたいけど、警察にいつ見つかるかは時間の問題だわ」
そんなことを考えていると、いきなり車の窓が割れ、黒ずくめの男が私に襲いかかってきた。
「騒ぐな・・・俺はお前をバラバラにしたいだけだァ!」
と言うと、刃物で私に切りかかってきた。
「お願いだから、私をバラバラにしたら、そこの彼に入れてその辺に埋めて・・・」
そして男は私のことをバラバラにし始めた。この時はとても痛くてしょうがなかったが、これから彼と永遠に入れると思うと、そんな痛み大したこと無かった。
「これからは、ずーっと、ずーっと、一緒だよ・・・」
私は彼ともう離れることは無いという喜びと、安心感で、彼の中で泣いた。
『何故だ・・・何故あの女は俺に知らない男を入れて畑に埋めたのだ・・・!』
俺は彼女の彼氏だ。事故で死んだあと、転生することが出来た。
『せっかくスーツケースに転生して目の前に現れたのに・・・もうひとつのスーツケースと俺を間違えたのか・・・?』
俺はこの知らない男と共に残りの人生・・・いや、スーツケース生を土の中で過ごさくてはならないという絶望に浸りながら、心の中で泣いた。
ある日のこと、夫が旅行に行こうと言って大きめのスーツケースを二つ買ってきた。
私は何故かそのうちの一つに懐かしいものを感じた。
「これは私の彼だわ・・・転生したのね・・・」
私は彼が転生したと思われるスーツケースを抱き抱えて泣いた。まさかこんな形で再会出来るとは思っていなかった。
私はこの事実を夫に話すと、夫は激怒した。何故私のことを信じてくれないのだろうか。
「私は貴方と別れて彼と結婚したい。スーツケースになっても愛はまだ彼にあるの」
そう言うと夫は私を叩き倒し、「そんなわけないだろ」や、「どうかしている」と私と彼に対しての罵倒の言葉の連続であった。許せないので、いつも使っている包丁で首を刺して殺した。
私はもうひとつあったスーツケースの中に夫をバラバラにして入れて、畑に埋めた。
そして、いつも朝市に野菜を持っていく時に使っていた軽トラに乗り込み、私と彼は都会に出ることにした。
これから警察に追われることになるかもしれない。でも、彼と一緒にいれればそれでいい。どんな形でも・・・
そう思って夜道を走らせていたのだが、そろそろ疲れたので駐車場に車を停めて休憩していた。
「私はあなたと一緒にいたいけど、警察にいつ見つかるかは時間の問題だわ」
そんなことを考えていると、いきなり車の窓が割れ、黒ずくめの男が私に襲いかかってきた。
「騒ぐな・・・俺はお前をバラバラにしたいだけだァ!」
と言うと、刃物で私に切りかかってきた。
「お願いだから、私をバラバラにしたら、そこの彼に入れてその辺に埋めて・・・」
そして男は私のことをバラバラにし始めた。この時はとても痛くてしょうがなかったが、これから彼と永遠に入れると思うと、そんな痛み大したこと無かった。
「これからは、ずーっと、ずーっと、一緒だよ・・・」
私は彼ともう離れることは無いという喜びと、安心感で、彼の中で泣いた。
『何故だ・・・何故あの女は俺に知らない男を入れて畑に埋めたのだ・・・!』
俺は彼女の彼氏だ。事故で死んだあと、転生することが出来た。
『せっかくスーツケースに転生して目の前に現れたのに・・・もうひとつのスーツケースと俺を間違えたのか・・・?』
俺はこの知らない男と共に残りの人生・・・いや、スーツケース生を土の中で過ごさくてはならないという絶望に浸りながら、心の中で泣いた。
0
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる