転生したら○○だった件

とりむねにく

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転生した彼氏がスーツケースだった件

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 婚約する予定だった彼氏が交通事故で死んだのは2年前。その後親からの勧めで農家の現夫と結婚することになった。今ではそこそこ幸せだが、もし彼が蘇るというのなら、彼と結婚したい。

 ある日のこと、夫が旅行に行こうと言って大きめのスーツケースを二つ買ってきた。

 私は何故かそのうちの一つに懐かしいものを感じた。

 「これは私の彼だわ・・・転生したのね・・・」

 私は彼が転生したと思われるスーツケースを抱き抱えて泣いた。まさかこんな形で再会出来るとは思っていなかった。

 私はこの事実を夫に話すと、夫は激怒した。何故私のことを信じてくれないのだろうか。

 「私は貴方と別れて彼と結婚したい。スーツケースになっても愛はまだ彼にあるの」

 そう言うと夫は私を叩き倒し、「そんなわけないだろ」や、「どうかしている」と私と彼に対しての罵倒の言葉の連続であった。許せないので、いつも使っている包丁で首を刺して殺した。

 私はもうひとつあったスーツケースの中に夫をバラバラにして入れて、畑に埋めた。


 そして、いつも朝市に野菜を持っていく時に使っていた軽トラに乗り込み、私と彼は都会に出ることにした。

 これから警察に追われることになるかもしれない。でも、彼と一緒にいれればそれでいい。どんな形でも・・・

 そう思って夜道を走らせていたのだが、そろそろ疲れたので駐車場に車を停めて休憩していた。

 「私はあなたと一緒にいたいけど、警察にいつ見つかるかは時間の問題だわ」

 そんなことを考えていると、いきなり車の窓が割れ、黒ずくめの男が私に襲いかかってきた。

 「騒ぐな・・・俺はお前をバラバラにしたいだけだァ!」

 と言うと、刃物で私に切りかかってきた。

 「お願いだから、私をバラバラにしたら、そこの彼に入れてその辺に埋めて・・・」

 そして男は私のことをバラバラにし始めた。この時はとても痛くてしょうがなかったが、これから彼と永遠に入れると思うと、そんな痛み大したこと無かった。

 「これからは、ずーっと、ずーっと、一緒だよ・・・」

 私は彼ともう離れることは無いという喜びと、安心感で、彼の中で泣いた。











 『何故だ・・・何故あの女は俺に知らない男を入れて畑に埋めたのだ・・・!』

 俺は彼女の彼氏だ。事故で死んだあと、転生することが出来た。

 『せっかくスーツケースに転生して目の前に現れたのに・・・もうひとつのスーツケースと俺を間違えたのか・・・?』

  俺はこの知らない男と共に残りの人生・・・いや、スーツケース生を土の中で過ごさくてはならないという絶望に浸りながら、心の中で泣いた。

 
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