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神戸公演編
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見ればケイは厳しい目をしている。
容赦のない眼光は、トージが望んだ断罪の剣そのものではないか。
射竦められて、ますます体が強張る。
なのにどこかボーとしてしまう。
これはプライベートではまったくと言っていいほど見られないケイの表情でもあった。
見惚れずにいられるなら、吾妻統司と名乗る資格はない。
「ヤキモチを焼くってことはさ、裏返せば好きってことだよね」
そう言って一旦言葉を切り、ケイは表情を変えずトージの反応を窺った。
…息を詰めているわりに、こちらを怖がっている様子ではない。
さっきまでの落ち込み方を、地球の内核まで沈みこんだ、とたとえられるなら、今はマントルあたりまで浮上した感じだ。
――さすがにいつまで経っても落ち込んでるほどのバカじゃない、とケイは思った。
だがしかし、真剣に怒っている自分の顔に、今、ここで、トージが(ほんのちょびっとだろうと)不謹慎にもほにゃ~んとなっていることを知れば、どうなったことか。
別れ話はしない、きっと。
ただ血の雨は降る、絶対。
「俺的にはむしろ嬉しいけど」
知らないことは平和の証。
ケイの眼光は心なしか少し和らいだように見えた。
「ていうかなんでそこで別れるって話になるのかがわかんない」
わからないと言われて、半分くらい飛んでしまっていたトージの意識が引き戻された。
わからない…
確かに。
なんでだ?
何がどうなってそういう思考回路になったんだ?
改めて問われると、実はあんまりよく思い出せないことに気づく。
あれほど強固に別れるしかないと思っていたのに、今もう一度考えてみれば、そこに辿り着いた経緯が漠然としすぎていた。
ケイには間違っても言ってはいけないことだが、実は自分でも理解できないと認めたほうが逆に潔いくらいだ。
言えないから黙るしかないトージに、ケイはお構いなしに話を続ける。
「ぶっちゃけ俺だってトージの周りにヤキモチ焼くよ」
何を言われたのかわからず、トージが目をすがめる。
そして続くケイのバツが悪そうな呟きに、トージはマントルの中を漂っていられず、瞬時、地表まで躍り出た。
ケイの顔は拗ねていることを表している。
だけどその一枚の表情の下にあるのは、かつてトージが鏡の中で見た自分の顔にそっくり同じだった。
――だって、俺だけのトージなのに。
トージは内臓を鞭で打たれたかのような痛みを覚え、ぶるっと体が無意識に震えた。
言わせてはいけないセリフ。
抱かせてはいけない気持ち。
二人とも同じだったんだとか、ヤキモチ焼いてくれて嬉しいとか、そう自分を納得させられるほどトージの面の皮はぶ厚くない。
これはケイの言う「好きってことだよね」とは本質が異なる。
比べることすらできない次元の話だ。
容赦のない眼光は、トージが望んだ断罪の剣そのものではないか。
射竦められて、ますます体が強張る。
なのにどこかボーとしてしまう。
これはプライベートではまったくと言っていいほど見られないケイの表情でもあった。
見惚れずにいられるなら、吾妻統司と名乗る資格はない。
「ヤキモチを焼くってことはさ、裏返せば好きってことだよね」
そう言って一旦言葉を切り、ケイは表情を変えずトージの反応を窺った。
…息を詰めているわりに、こちらを怖がっている様子ではない。
さっきまでの落ち込み方を、地球の内核まで沈みこんだ、とたとえられるなら、今はマントルあたりまで浮上した感じだ。
――さすがにいつまで経っても落ち込んでるほどのバカじゃない、とケイは思った。
だがしかし、真剣に怒っている自分の顔に、今、ここで、トージが(ほんのちょびっとだろうと)不謹慎にもほにゃ~んとなっていることを知れば、どうなったことか。
別れ話はしない、きっと。
ただ血の雨は降る、絶対。
「俺的にはむしろ嬉しいけど」
知らないことは平和の証。
ケイの眼光は心なしか少し和らいだように見えた。
「ていうかなんでそこで別れるって話になるのかがわかんない」
わからないと言われて、半分くらい飛んでしまっていたトージの意識が引き戻された。
わからない…
確かに。
なんでだ?
何がどうなってそういう思考回路になったんだ?
改めて問われると、実はあんまりよく思い出せないことに気づく。
あれほど強固に別れるしかないと思っていたのに、今もう一度考えてみれば、そこに辿り着いた経緯が漠然としすぎていた。
ケイには間違っても言ってはいけないことだが、実は自分でも理解できないと認めたほうが逆に潔いくらいだ。
言えないから黙るしかないトージに、ケイはお構いなしに話を続ける。
「ぶっちゃけ俺だってトージの周りにヤキモチ焼くよ」
何を言われたのかわからず、トージが目をすがめる。
そして続くケイのバツが悪そうな呟きに、トージはマントルの中を漂っていられず、瞬時、地表まで躍り出た。
ケイの顔は拗ねていることを表している。
だけどその一枚の表情の下にあるのは、かつてトージが鏡の中で見た自分の顔にそっくり同じだった。
――だって、俺だけのトージなのに。
トージは内臓を鞭で打たれたかのような痛みを覚え、ぶるっと体が無意識に震えた。
言わせてはいけないセリフ。
抱かせてはいけない気持ち。
二人とも同じだったんだとか、ヤキモチ焼いてくれて嬉しいとか、そう自分を納得させられるほどトージの面の皮はぶ厚くない。
これはケイの言う「好きってことだよね」とは本質が異なる。
比べることすらできない次元の話だ。
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