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東京公演編
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しおりを挟む二年前。
断崖絶壁から今まさに飛び降りようとしていたところで、引き留めてくれた大切な役。
それを二年経って、再び演じることができるとは、これほど幸せなこともない。
前回、二十歳だった自分はがむしゃらに役と向き合って、舞台に臨んだ。今回はさらに一層、より深くキャラクターを掘り下げていかなければ、自分自身はもとより、観客も納得しないだろう。
役に対して毎日発見があって、その度にやることが増えていく。
それでも役に振り回されないように自身をコントロールし、けれどもいくらやっても追いつかなくて、足りなくて、気がつけば初日が迫っていた。
どうしようもなく焦りに囚われたとき。
自分の心が弱みをにじませたとき。
ふと周りが目に入った。
初演とは違う顔ぶれの仲間たち。
今回は若手をばかりがキャスティングされたため、一部のファンから風当たりが強いと聞く。
再演というプレッシャーは、初演が好評だった分だけ、新キャストの心と体に圧し掛かっていることだろう。
しかし弱音を吐く奴はいない。
みんなただただ舞台を成功させたくて、一生懸命だ。
初演より劣るなんて言わせない。ましてや「再演には再演のよさがある」なんていう甘えを、誰一人としてこの稽古場に持ち込む者はいなかった。
目に見えぬ気概が静かに燃え上がり、揺蕩う。
その中にトージは、二年前の自分の影が見え隠れしているように感じた。
――ああ、そうだ。
今は余計なことを考えるな。
ただ舞台とだけ向き合え。
芝居に正解というものはなくても、その時々に必要な答えは、必ずある。
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