『勇者じゃないですけどそれが何か?』

大輝

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第7章 魚人族の村

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【山の麓】

「フー、やっと下山出来たねー。さすがに疲れたよー」

「俺は腹減ったぞ」

「全くお前は、他に言う事は無いのか?」

「アハハ、翔が食欲無かったら逆に心配だよ」

「俺は眠いぞ」

「司もまた始まったか。全くお前達は」

「だりぃ、眠い、休みたい」

「もう少し先に魚人族の村が有るよ」

「竜宮城みたいに海の中に有るのかしら?」

「海じゃなくて湖だよ。湖の上に家か浮いてるんだ」

「ほう、水から上がれるのか?それは興味深い」

「おおっ、見えて来たよー。本当だー。浮いてる浮いてるー。湖に家か浮いてるー」

【湖】

「あそこに居るの人魚じゃないかな?」

「おお、あの後ろ姿からすると相当の美人か」

「あら、イヤミもそういう期待をしてるわけー?」

あれあれ?

沙羅先生ちょっと不機嫌な言い方じゃない?

妬いてる感じ?

《湖に浮いた村の通路に上半身は人間で下半身は魚の魚人族の女性らしき姿が有る》

「醜女のおじちゃーん!」

「おや、虎の坊や。おじちゃんじゃなくて、おばちゃんとお言いって、いつも言ってるだろ?」

「うわっ、どこが相当の美人だよ?イヤミ」

「前言撤回する」

「だりぃ、オネエの人魚か」

「ちょっと、何よこの人達?失礼ね」

「人間の国で俺を助けてくれたんだ」

「ふーん。あんたやっぱり人間の国に行ってたんだ。獣人族の長老が心配してたわよ」

「長老はエルフの村に行ったんだろ?」

「ここじゃ皆んなを匿えないし、アタシ達と違ってエルフ達なら魔族が来た時戦えるからね」

「ここに戦える者は居ないのですか?」

「エルフは弓を使うけど、アタシ達は武器は持たないよ」

「じゃあ、魔族達が来たらどうするんです?」

「水の中に逃げるのさ。泳ぎなら負けやしないからね」

「あれ?何だか焦げ臭いよ」

「何も臭わねえぞ」

「この子鼻が良いのよ」

「ああ、確かに焦げ臭い」

「イヤミも鼻が良いよねー?」

「井山です!」

「あそこ見て!」

《小虎が水上の家の一角を指さす》

「あら、大変煙りが出てるじゃないの!」

《醜女が慌てて建物の方へ行く》

「ボヤか?まあ、心配いらんだろう。ここなら水はいくらだって有るしな」

「まあな、いざとなりゃ湖に飛び込むだろ」

「僕達はさっさと小虎を獣人族の長老に届けて元の世界に帰るとしよう」

「だりぃ、とっとと行くぞ」

連君達はああ言ってるけど、大丈夫かな?

【魚人族の住居】

「ちょっと、あんた達、火事、火事よ!早く逃げなさい!」

「わー、大変だ。皆んな!火事だぞ!」

「何で火事になんか…」

【湖の畔】

《大河達が先を急いで行こうとしたその時》

「ギャーーー」

「何だ?どうした?」

「おばちゃんの声だ。醜女のおばちゃん!」

「行ってみよう」

《大河がそう言うと小虎が先に走る》

「小虎君、何が有るかわからないから、一人で先に行っちゃ危ないよ」

《大河達が醜女の悲鳴が聞こえた建物に近づくとドカーーーン!】

「わぁ!キャー!何だ?」

びっくりした。

「皆んな大丈夫?醜女さん?魚人族の皆さん?」

「ま、魔族がぁ…」

「何だと?」

「優里香先生けが人の手当て宜しく」

「ええ、気をつけて」

「皆んな行こう」

「おう!」

「大河が仕切るな」

「良いじゃねえか、イヤミ」

「いつも控え目な大河だけどー、たまには仕切らせてあげなよー」

《沙羅先生はけがの治療をする優里香先生を手伝いながら、先へ行く大河、翔、司、連の背中にそう言った》

「(そうね、あの子誰かが傷つく事が一番許せないのだわ)」

【建物の裏】

「居やがった」

「ほう、こいつらか」

「連君気をつけて、炎の魔法を使って来るから、炎系のスキルは効かないかも」

「そんなものやってみなければわかるまい」

「だいたいゲームとかじゃそうじゃん」

「だりぃな。ガタガタ言ってねえでさっさと倒すぞ」

《4人はカプセルから装備を取り出す》

【通路】

「あの子達大丈夫かしら?(早くこの人達の治療を終えてあの子達の所へ行きたい。ヒールかけてあげないと、あの子達…)」

「醜女さーん。けが人はこれだけー?」

「その筈よ。あら?虎の坊やが居ないわ」

「あら、本当ー」

「おばちゃーん!こっち、こっち!」

「おや、そこにまだ誰か居るのかい?」

「居るよ。間違い無い。臭いがするもん」

「この柱が邪魔だね。よっしゃ、どけるよ」

「うー、うーん」

「もっと力を入れられないのかい?男の子だろ?」

「頑張る」

「せーの、おりゃー!!」

《ドスーン!》

「おばちゃんすげー、やっぱり男だ」

「バカお言いでないよ。こういうのを家事馬の馬鹿力って言うんだよ」

「ふーん」

「ほらほら、関心してないで、向こうに運ぶよ」

《2人はけが人を優里香先生達の所へ運ぶ》

「もうこの人で最後ー?」

「うん、たぶん。もう人の臭いはしなかった」

「小虎ちゃん偉いわ。良くこの人をみつけてくれたわね」

「小虎?」

「俺の名前だよ。この人が付けてくれたんだ」

「へー、そうかい。良かったじゃないか」

【建物の裏】

《大河達は苦戦していた》

「イヤミ、偉そうに言ってだけど、お前のファイヤーボール効かねえじゃねえか」

「ああ、耐性が有るようだな」

「「だな」ってな。向こうは炎の魔法で攻めて来やがる、ったあく、だりぃな」

「うおっ、熱ち、火傷した」

「翔、大丈夫?」

「このぐらい大した事ねえよ。大河は心配性だな」

あんな事言ってるけど、ダメージ大きいよね。

くそう!

僕はガーディアンなのに、ちゃんと仲間を守れてない。

くそう!くそう!くそう!!!

「おおっ、大河。ついにスキル覚えるか?」

「え?」

あ、僕の盾が青く光ってる。

盾についている青い宝石が光り輝いてるんだ。

何だか頭の中に言葉が浮かぶ。

「水の盾!!」

《大河そう言うと水面から水の壁が立ち昇る》

「見ろよ、奴らの炎の魔法が、皆んな水の盾に当たって消えて行くぜ」

「ハハハ、「ジュッ」っと音をたてて小さな煙りになって消えるぞ」

「情けねえ。笑える。だりぃ」

「良し、一気に畳み掛けるぞ」

「おう、イヤミに仕切らせてやるぜ」

「いや、僕のファイヤーボールは効かない。ここはお前達の範囲攻撃で一気に倒すぞ」

「おう、了解。連射、矢の雨!」

「俺だって!薙ぎ払い!」

「ぐわぁー…」

《全ての魔族を一掃した》

「皆んな~大丈夫?ケガは?」

「先生達か」

「俺火傷がヒリヒリする」

「翔君、診せてご覧なさい」

「うぁっち、痛てて」

「大変な火傷だわ。醜女さん、綺麗な流水が必要なんですけど有りますか?」

「すぐそこに滝が有るよ。あそこの水なら綺麗だ。アタシ達が飲むんだからね」

【滝】

《翔は服を脱ごうとする》

「翔君待って。服を着たままゆっくり水に入りなさい」

「え?おう、わかった」

「何でだ?」

「火傷で皮膚に着ている物がくっついているかも知れないからよ」

「冷てー」

「滝に当たらないようにね」

「翔…ごめんね、ちゃんと守れなくて」

「何言ってんだよ。大河の水の盾のおかげで助かったんじゃねえか」

「へー、大河。スキル覚えたんだー」

「うん。僕のは攻撃スキルじゃないけど」

「イヤミー。ジェムを回収した?」

「これです」

「あたしが預かっとくわねー」

「それって、何に使うんだ?」

「おや、面倒臭がりの司が、知りたいー?」

「ゲームとかじゃ、ガチャに使うだろ?」

「これは何に使うか、それはー、あたしの独断と偏見で決まるのよー」

なんだそりゃ?

「独断と偏見かよ?」

でもまあ、沙羅先生の事だから任せておけば良いと思うけどね。

「翔君、もう上がりなさい」

「ほーい」

「精油を塗るわね、じっとしてるのよ」

《醜女が小走りに来る》

「あんた達ー。これから森に入るのは危ないし、今夜はアタシ達の村に泊まってお行きよ」

「有難いのですけれど、ご迷惑じゃないですか?」

「村の皆んなも、助けてくれたお礼がしたいって、ご馳走用意して待ってるよ」

《グ~っと翔のお腹の虫が鳴る》

「腹減った」

「坊や、食べる元気が有るなら心配いらないやね」

「こいつはどんな時も腹だけは減るんです」

「さあさ、早くおいでよ」

「ありがとうございます。もうこの子の治療が終わりますので、お言葉に甘えさせて頂きます」

【獣人族の村】

《翔を気遣う優里香先生》

「翔君大丈夫?」

「まだヒリヒリするけど、こんなのメシ食えば治るぜ」

「さあさ、中にお入り。皆んな待ってるよ」

【酒場】

ここって、酒場?

益々RPGの世界だよね。

本当に異世界に来ちゃったんだよな、僕達。

「こちらがアタシ達の長老だよ」

「良く来たね、あんた達が来てくれて本当に良かったよ。ワシらの村を救ってくれて、何と礼を言ったら良いか。さあさ、そこへ座りなさい。大したもんは無いが皆んなで用意した料理だ。食べてくれ」

《大河達は醜女に案内されてテーブルに着く》

「酒も有るぞ、じゃんじゃん呑んでくれ」

「ありがとうございます。せっかくですけれど、この子達は未成年なので遠慮させて頂きます」

「未成年?何だそりゃ?呑めねえのか?」

「絡むのはおよしよ。人間達の事情だろうよ」

「僕達の世界では20歳になるまでお酒を呑んではいけないんです」

「そうかい。でもここはあんた達の世界じゃねえし、黙ってりゃ良いだろ?」

「私達がついていて、呑ませるわけには参りません」

「あんた、この子達の親か?にしては若いが」

「俺たちの先生だよ、おっちゃん」

「先生がなんぼのもんじゃい、呑め呑め」

「絡むのはおよしったら」

「あたしが頂きますー」

「おっ、そうかい。じゃあ」

《獣人族の男は沙羅先生にお酒を注ぐ》

「どうだい、旨いだろ?

「うーん、本当。美味しいー」

「坊主達は酒が呑めねえなら食え食え」

「いっただきまーす」

「翔、もっとゆっくり食べろ」

「イヤミはうるせえな、いつもいつも」

本当に、翔の事だから、食べたら火傷も治りそうだね。

「魚料理ばっかりだな」

「司兄ちゃんは魚嫌いなの?」

「いや、骨が面倒くせえだけだ」

「魚人族が魚って、共食いじゃね?」

「翔君、失礼よ」

「アハハ、確かにそうだね。アタシ達だって肉も野菜も食べるけどさ、ここの湖には美味しい魚が沢山居るんだよ」

「そうさね。海の中じゃ、魚が魚食ってるだろ?俺たち魚人族が魚食ったっておかしかねえさ」

《そして翌日》

「翔君、火傷はどう?痛む?」

「あーん、昨日よか良い」

「精油を塗るわね」

「あんた達、もう行くのかい?」

「はい。早く小虎君を長老さんの所へ連れて行ってあげたいし」

「僕達も帰らないと、学校が有りますから」

「学校か、だりぃ。こっちの世界の方がおもしれぇぞ」

「司、そんな事行ってると置いて帰るわよー」

「弁当作ったから持ってお行き」

「おおっ、ありがとよ、醜女さん」

「あんたは本当に食いしん坊だね」

「お世話になりました」

「森は危険だから、気をつけて行くんだよ」

【エルフの森】

《森に入ると連の顔が強張る》

「何だか薄暗いな」

「うん、それにちょっと肌寒いね」

「連ちゃーん。怖いなら手ー繋いであげようかー?」

「こ、怖くなんかない」

《沙羅先生は連と手を繋ぐ》

連君何だかんだ言って、沙羅先生の手を離さないね。

小さい頃怖い思いをしたって言ってた。

普段夜一人で出歩かないけど、街中ではこんなに怖がらないよね。

《顔を見る大河に気づいて連が口を開く》

「四つの時だった。家族で別荘に行ったんだ。一人で山に入って迷子になった。捜索隊に見つけてもらうまで2日だ」

「そうなのか。怖かっただろうね」

「飯はどうしたんだよ?2日も」

「最初は野いちごを食べたりしたが、その後は水を飲んで過ごした」

「はあん?見ろよ。森の奥から煙りが上がってるぞ」

「あっちはエルフの村の方だよ」
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