『アルマンドの騎士1』“魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ”

大輝

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第3章 ギルドの仲間と騎士団の仲間

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【ギルド・レ・シルフィード】

「アッサムさん、他人の気を感じてるって?」

「これは本当に気なのか?こんなもの今迄感じた事が無かったので、良くわからんが」

「俺ならわかるんだけどなー」

「バジルのように、修行を積んだ武闘家ならわかるかも知れんが、私は気を練った事も無いからな」

「それにしても、今ここに居ない人の気を感じるというのは、おかしな話しだよ」

そう言うと、バジルは、私の鼻先まで近づいて来た。

「俺だって、このぐらい近寄るか、触れるかしなければ、他人の気を感じられないからな」

本当に不思議な話しだが、感じるのだ…確かに。

今もずっと居る。

「だから言ったでしょ、魂の伴侶だ、って。私が師匠の所で読んだ本に、ちゃんと書いて有ったもの」

コリアンダーは、この手の話しが好きだからな…

「今日のタロットでも出てたわよ「恋人たち」のカード」

「わー、アッサムさん。新しい恋の始まりですね」

ミントまで、こんな事を言っている。

新しいも何も、私はまだ本当の恋というものをした事が無い。

騎士たる者、神に敬意をはらい、ご婦人方の保護に努めなければならぬ。

女性との出会いなどいくらでも有るが。

私は…本当に昔から誰かを探していた。

「アッサムさん。今日の依頼本当に受けるんですか?遠征まで後3日しかないのに」

「ああ、受ける」

「アッサムなら大丈夫よ。いつもギルドの仕事で魔獣と戦ってるから、他の騎士達とは違うわよ。彼らは、魔物と戦いながら国境まで行くのも大変でしょうね」

「今日は、俺達も一緒だから心配無いよ、ミント」

今日の依頼は、武具屋のオレガノと一緒に、東の洞窟で鉱物の採取だ。

ランスより小回りが利く剣を持って行く方が良いだろう。

「コリアンダー。本当に付いて来るのか?」

「行くわよ、勿論。洞窟にはアンデッドも居るし、私が居た方が良いでしょ?」

「コリアンダーさ、いっそギルドに入っちゃったら?」


ギルドを出ると、オレガノが待っていた。

「今日は、3人も付いて行ってくれるのかい?これは心強い」

「最近東の洞窟には、ワイバーンが住み着いているらしいからな。俺たちも一緒に行く」

【東門】

「通してくれ」

「ナイト・アッサム。どうぞお通り下さい」

「開門!」

【東門の外】

丘を下って行った先に洞窟が有る。

私達は、丘の魔物と戦いながら洞窟へと向かった。

【東の洞窟】

ここには、大コウモリや大蛇などの魔物の他に物の怪も多数居る。

私達は、魔物達と戦い、鉱物を採取しながら奥へと進んだ。

「ああ、大コウモリは厄介だな」

「私は、蛇が嫌だわ。貴方、良く素手で触れるわね」

「俺は、蛇ぐらいどうって事無いぜ」

「済まないね。もう少し採取したら、先に行こう」

物の怪には、コリアンダーのお札が効く。

私は、剣で大コウモリと戦っている。

「ここは、これぐらいだな。先へ行こうか」

魔物や物の怪と戦いながら先へ進むと、バジルが走り出した。

「奥に、デッカい卵が有るぞ」

【洞窟の奥】

「この卵。親が温めてたのかしら?」

「何か、羽ばたいてる音が聞こえるぞ」

「ワイバーンのお出ましか」

巨大なモンスターが姿を現した。

どうやら雌のワイバーンらしい。

「気をつけて。卵を守る雌は気が立ってるから」

「大丈夫だぞ~、お前を倒した後は、この卵をちゃんと食べてやるからな~」

「いったい何人分の卵焼きが出来るのよ」

そんな事を言いながら戦っていた。


仲間が居ると余裕は有るが、敵も最後の力を振り絞って攻撃してくる。

私は、空中から体当たりして来るワイバーンの心臓に、剣を突き刺した。

「やったか?!」

翼で卵を隠すように、ワイバーンは倒れた。

「何だか可哀想ね」

コリアンダーが、そう言った。

私も、今度ばかりは後味が悪い。

「卵、持って帰って食うぞ」

バジルは、本気で食べるつもりだ。

彼ならやりかねない。

オレガノは、鉱物を採取している。

私は、ワイバーンから、使えそうな素材を剥ぎ取った。

「おかげで沢山取れたよ。そろそろ帰ろうか」

【ギルド・レ・シルフィード】

「結局卵を持って帰ったけど…」

「焼いて食うか?茹でるか?」

「そんな大きなフライパンや鍋が、どこに有るのよ」

「ミント。タイムを呼んで来てくれ」

「はい、マスター」

「どうしたの?」

「タイム。こいつを見てくれ」

「わー…何の卵?」

「ワイバーンが守っていた」

「じやあ、ワイバーンの卵ね」

「お前にこの卵を預けようと思うんだが、どうだ?」

「卵をかえすって事?やってみる」

「えー食わないの?」

「諦めなさい。私もタイムに預けた方が良いと思うわ」

【騎士団】

今日は、騎士団が北の国境に遠征に出る日だ。

「アッサム。お前のお父上が、元騎士団長だからと言って、簡単に出世出来ると思うなよ」

「何が仰りたい?ナイト・キャラウェイ」

「我が国では、騎士の出世は功績が全てだ。いくら国民に人気が有っても、手柄を立てなければ無意味だと言っているのだよ」

出世だと?

ハナから出世など考えておらんわ。

私はただ、市民の日々の暮らしの安全だけを考えて毎日暮らしているだけだ。


「気にするなアッサム」

「ルバーブ」

「キャラウェイ殿は正騎士6年目だ。お前が1年目から、星のカーニバルで、パレードの先導を務めているのが気に入らんのだろう」

「やりたくてやっているわけではないが」

「ああ、やりたくてやれる物ではない。あれは、城下町の投票で決まるからな」

「……」

「いつも市民と接しているお前だ。選ばれて当然だよ」

「出発するぞ」

「はっ!」

【北門】

「開門!」

草原を過ぎ、川を渡り、山を越えれば、国境の町ジーグだ。

【川】

魔物と戦いながら川まで来た。

私は、魔物とは戦い慣れているが、他の騎士達は苦戦していた。

ここでこれでは、先が思いやられる。

日の暮れまでには、山に入りたいが…

【山】

山に入った頃には、すっかり日が暮れていた。

これ以上進むのは危険だ。

だが、指揮をとっているのは、あのキャラウェイだ。

「今日中に、進める所まで進むぞ!」

やはりか…

騎士団は、山の奥まで入って行った。

頂上付近に差し掛かると、騎士達は疲れを見せ始めていた。

「もう少しで頂上だ」

「他に道は無いのか?」

「頂上まで行かなければ、山は越えられんのか」

「もうすぐ北へ下りる道が有る」

その時だった。

樹々の鳥達が羽ばたく音と共に、一斉に飛び立って行った。

何か来る。

「暗くて良く見えんぞ」

「たいまつで照らせ!」

いかん!

たいまつの炎が、モンスターを一層刺激した。

「こっちに向かって来るぞ!」

モンスターの翼が風を起こす。

「怯むな!」


やはり、ドラゴンか。

赤いドラゴンが、その巨大な姿を現した。

「ええい、何をしておる、ドラゴン如きに怯えるでないわ!」

キャラウェイが怒鳴る。

軽めのランスにして良かった。

これなら小回りが利く。

だが、騎士達が前に居てかえって邪魔だ。

「お前達!本気で戦っているのか!」

キャラウェイが怒鳴ったその時だった。

ドラゴンがキャラウェイを咥えて飛び去ってしまった。

「ミューズ」

「ヒヒーン」

ミューズには、行き先がわかっているようだ。

私とミューズは、頂上に向かった。

【頂上】

ドラゴンの気配がする。

私は、馬を降りてランスを構えた。

「アッサム、た、助けてくれ」

木の上から声がした。

キャラウェイは、無事のようだ。

しかし…

彼の声を聞いて、ドラゴンがこちらに近づいて来た。

「声を出さないで、静かにしていて下さい」

私1人でこのドラゴン相手に戦えるだろうか…?

こういう敵を相手にする時は、いつも仲間が居てくれた。

そんな事をふと思った私に、彼女のエネルギーが反応した。

心配…しているのか?

不思議だ…私の感情がわかると言うのか。

では、彼女自身にも、私の感情が伝わっていると?

まさかな…

修道院から無事を祈ってくれているのだった。

これが本当にあのローズマリーと言うシスターのエネルギーなのか、今はまだわからないが、確かに彼女は、私の無事を祈ってくれている。

「フッ、こんな所で命を落とすわけにはいかんな」

無事戻れたら…確かめたい事が有る。

戻れたら…いや、無事に戻らねば…

ドラゴンが間合いに入った。

ランスで一突きすると、奴は舞い上がり、炎の玉を吐いてきた。

それを盾で受けて、奴が低空飛行で襲いかかって来たところを突くと、落下した。

私は、ドラゴンの翼を何度もランスで突いた。

翼が傷つき、奴は飛べなくなったようだ。

地上での睨み合いとなった。

「アッサム!」

「ルバーブか!」

「援護する!」

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