『アルマンドの騎士1』“魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ”

大輝

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第4章 北の国境遠征

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「気をつけろ、炎を吐くぞ」

「了解した」

薄っすらと夜が明けてきた。

ルバーブは、ドラゴンの背後に回り、尻尾を攻撃している。

ドラゴンは、炎の玉を吐いたり、噛み付いたりしてくる。

私は、盾で受けつつ頭を狙って突いた。

ルバーブが尻尾を切り落とすと、奴はバランスを崩した。

「たーっ!」

ランスでおもいっきり足を突くと、ドラゴンは倒れた。

私は、倒れたドラゴンに突進した。

「やったか?!」

「援護感謝する」

私は、ドラゴンから使えそうな素材を剥ぎ取った。

「お前は、いつもこんなモンスターと戦っているのか?」

「ああ、近頃は多いな」

「私達が戦うのは、せいぜいマンドレイクや化け狐ぐらいなものだ。こんな大物と戦ったのは初めてだぞ」

普段貴族に仕えている騎士は、こんな危険な場所に足を踏み入れる事はないからな。

私達は、木の上からキャラウェイを下ろし、騎士達の待つ所まで戻った。

「キャラウェイ殿。ご無事でしたか」

キャラウェイの治療を済ませ、山を下りた。

山の中腹まで来ると、日が暮れてきた。

「安全な場所で、休むぞ」

山に安全な場所など無いが…

騎士達は、交代で仮眠した。

幸い大型のモンスターは、現れなかった。

私も、少しは眠る事が出来た。

早朝、騎士団は出発した。

途中魔物と戦いながら進んだ。

「この程度の魔物、敵ではないわ!」

「皆んな、だいぶ慣れてきたようだな」

「ああ、口では言わんが、お前に習っているようだぞ」

気がつくと、私とルバーブが先頭していた。


夜には、麓の村ブーレに到着した。

【ブーレの村】

今夜は、ここの宿に泊まる事になった。

宿に着くと、彼女のエネルギーを感じた。

忘れていた…

「フッ、勝手なものだな、私は」

何かに夢中になっている時は、忘れている事が有る。

それでも確かに、彼女のエネルギーは居る

【丘の上の修道院】

〈祭壇の前、1人祈るシスターが居る〉

(マリア様。どうか、あの方をお守り下さい)

【ギルド・レ・シルフィード】

「アッサム達、無事に山を越えられたかしら?」

「頂上付近には、ドラゴンが住み着いている、って噂が有りますしね」

「マスターの事だ、大丈夫だろ」

「もう、のんきなんだから、バジルは」

「コリアンダーが、心配し過ぎなんだよ」

「物語じゃないんだから、蘇生の魔法なんて無いのよ。死んだら終わりなんだからね」

「ま、そりゃそうだ。そんなに心配ならついて行けば良かったじゃないか」

「ついて行けるもんなら、行きたかったわよ」

「本当は、俺も行きたかったぜ」

「私も。身の回りのお世話ぐらいしか出来ませんけど」

「私のヒーリングなんて、エネルギーチャージや、小さな傷を治すぐらいで、大ケガしたら、ちゃんと治療しなきゃいけないけど…」

「それでもヒーラーが居ると居ないとでは大違いだよな。コリアンダーなら、道具さえ有ればちゃんと治療出来るし」

「皆んな~ワイバーンの卵、順調に育ってるよ~」

「おう、かえるのが楽しみだぜ」

「マスター間に合うと良いなあ」

【ブーレの村】

朝になると、騎士団は村で装備を整えジーグの町へと向かった。

森を越え、草原の向こうがジーグの町だ。

夜までに着くと良いが…

森での魔物との戦いは苦戦したが、なんとか森を抜け、草原に出た。

【草原】

ここは、大型モンスターは滅多に姿を現さないが、南では見かけない魔物も沢山居る。

「ダメだ、毒にやられた」

「薬なら有るぞ」

「おお、アッサム。助かった」

荷物になるからと言うのに、コリアンダーに無理矢理持たされた解毒剤に助けられた。


ジーグの町が見えてきた。

急げば夜までには到着出来るだろう。

【ジーグの町】

町に着くと、宿屋に荷物を置き、酒場で夕食だ。

「まともな食事は、何日ぶりだろう?」

「ここは、川魚が美味いんだぞ。こっちには、俺の親戚が住んでるんだ」

こんな時も、自然と身分で席が分かれる。

宿屋に戻ると、国境の砦から使者が来た。

北の国サラバンドで、不穏な動きが見られるとの事だ。

「騎士様。まさか、サラバンドが攻めて来るんじゃないですよね」

「攻め込まれでもしたら、この町は終わりだ」

「お助け下さい」

町の人たちが怯えている。

騎士団は、すぐさま装備を整え北の砦に向かった。

「こんな夜に、砦に向かうのか」

「文句を言うな」

「もたもたしてる奴は、置いて行くぞ」

【北の砦】

「敵襲だ!!」

「夜襲だと?」

「騎士道も何も有ったものではないな」

「騎士団が到着したぞ!」

「戦闘配備につけ!」

私達は、砦に入り込んだ敵を片付けて、国境地帯に向かった。

【丘の上の修道院】

〈祭壇の前1人祈るシスターが居る〉

(どうか、あの方をお守り下さい)

「まだお祈りしてるの?」

「シスター・フェンネル」

「一晩中寝ないで祈るつもり?」

「祈らずにはいられないの」

【国境地帯】

我々の布陣は、川を背に弓兵と歩兵、その前に騎士団だ。

敵は…

「魔獣使いも居るぞ」

「敵兵は、任せた!私は魔獣を相手する!」

「ナイト・アッサム…了解した!」

「私も一緒に」

「行くぞルバーブ!」


敵の魔獣が2体近づいて来る。

地上からサラマンダー、空からはグリフォンだ。

上空のグリフォンに、弓兵が矢を射かけた。

「敵が前進して来るぞ!」

「魔獣は私達に任せて、応戦してくれ!」

「了解です!」

弓隊も、敵兵相手に切り替え攻撃を開始。

「どうする、アッサム。あのモンスター達」

「敵の魔獣使いは、こちらへは来れまい。2体を戦場から引き離す!」

「了解!」

私は馬で走り、魔獣達を仲間の部隊から引き離した。

地上からは、サラマンダーが突進して来る。

上空から同時にグリフォンが襲いかかって来た。

「アッサム、危ない!」

「ミューズ!」

ミューズは、ギリギリまで我慢して、サラマンダーの頭を踏み台にジャンプ!

サラマンダーを飛び越えると、強襲するグリフォンは、サラマンダーに突っ込んだ。

2体の魔獣は、かなりのダメージを受けたようだ。

ルバーブはサラマンダーと戦い、私はグリフォンを相手にした。

「ルバーブ、油断するなよ」

「お前こそな」

ルバーブも、魔獣相手の戦いに慣れてきたようだ。

〈サラマンダーは火を吐き、グリフォンは風を起こす〉

「サラマンダーの首、取ったぞ!」

「こっちもな」

私達は、2体の魔獣から使えそうな素材を剥ぎ取った。

「敵兵全滅!!」

「戻るぞ」

我々の部隊も、かなりのダメージを受けたが、敵兵は全滅した。

我々は、ひとまず砦に戻った。

数日後、私はアルマンドに呼び戻された。

王宮を守る者の中に、モンスター相手の戦いに長けた者が居なくてはならない、との事だった。


【ギルド・レ・シルフィード】

「マスター。今日は、お城に上がるんでしょう?」

「ああ、面倒だな…」

「何言ってるんですか、早く行かないと」

【王宮】

〈礼装で叙勲を賜るアッサム〉

【城下町】

「アッサムさん、これから王宮を守る事になるのかね?」

「街の安全は、どうなるんだ?」

「ギルドは、どうするんだろう?」

【ギルド・レ・シルフィード】

ギルドに戻ると、皆んなが顔を揃えていた。

「どうした、ワイバーンの卵でもかえったか?」

「ギルドは、どうなるんです?」

「マスター、国王にお使えするんでしょう?」

「ああ。だが、王宮に詰めて居なくても良いそうだ。普段は今まで通り、市民の安全を守るようにとの仰せだ」

「わーお!」

〈喜ぶギルドのメンバー〉

【アッサムの屋敷】

私の屋敷は、城下町の中に有る。

だから、幼い頃から良く街の子供達と遊んでいた。

ナイトの身分と言っても、貴族の中では一番下だ。

威張る程のものではない。

屋敷に戻ると、あの修道女に手紙を書いた。

無事を祈ってくれた事へのお礼と、戻って来れた事を知らせる手紙だ。

それから手紙のやり取りをするようになった。

彼女は、修練期が終わ り、今年から正式にシスターになった事。

毎日私達の為に祈ってくれている事などを書いて送ってくれた。

こちらは、ギルドでの日常などを書いて送っていた。

そして…

私は、エネルギーの事を聞いてみる事にした。

初めてエネルギーを感じた日の事を手紙に書くと、ローズマリーから返事が来た。

「一度もお会いしていないのに、本当に不思議ですね。

同じ日、同じ時間、同じように私の所にも貴方のエネルギーが現れ、それからずっと私の側に居ます。

エネルギーで、貴方の感情がわかるのですよ。その日は満月でした」

との事だった…


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