『アルマンドの騎士1』“魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ”

大輝

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第19章 海竜と孤児達の村

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海竜が大波を起こした。

「うわあ!」

「ガォー!」

「この野郎!ぜーったい食ってやる!」

「ガォー!!」

ミストラルの風のブレス。

バジルは、気を練ってぶつける。

私の攻撃は、届きそうにない。

そう思った時、海竜が水中に渦を作った。

渦が、竜巻のように上がって来て私は飲み込まれた。

【修道院】

〈祭壇の前1人祈るローズマリー〉

「あ…うっ…」

〈床に手をついて倒れ込むローズマリー。フェンネルが駆け寄る〉

「ローズマリー、大丈夫?」

(苦しい…これは…あの人の苦しみ…)

「お部屋に、帰りましょう」

「大丈夫よ、フェンネル」

〈フェンネルは、ローズマリーを椅子に座らせる〉

(あの人がまた恐ろしい魔物と戦っている)

「あっ…」

(水の…中?大きな竜のお腹が見える。私…またあの人の目を通して見ているみたい…そんな事出来るはずないのに…)

【遺跡】

「アッサム!」

「ガォー!」

〈水中からアッサムが顔を出す〉

私は、海竜の腹の下に潜ってランスで突いた。

ミストラルの噛みつき攻撃。

「鱗が硬いなあ、柔らかいのは頭ぐらいか?」

「それと腹もな」

海竜の起こす大波で、私とバジルは階段に叩きつけられた。

【修道院】

「うっ…」

(身体中激しい痛み…神様、どうかあの人をお守り下さい。私はどうなっても構いません。どんな罰でも受けますから)

【遺跡】

「ガォー!」

「2人共!ヒーリングするわ!」

「来るな!」

言って聞くようなコリアンダーではない。

階段を下りて来た。

「ガォー!!」

ミストラルが私達と海竜の間に入り、奴を威嚇する。

「ガォー!!」

風のブレス。


「おい、君達。生きて帰れるんだろうな」

階段の上の方で学者が言う。

「ガォー!」

ミストラルは、海竜の頭目掛けて体当たりする。

コリアンダーのヒーリングで復活した私達も参戦。

ローズマリーのエネルギーを感じている。

コリアンダーにヒーリングされている間も、まるでその力を強めるかのように温かかった。

こんな所で死ぬわけにはいかない。

私には、全てをかけて愛する人が居る。

「おい、君達!水が引き始めたぞ!」

「本当だ」

水が引くにつれて海竜の動きが鈍くなってきた。

「地面が見えてきたぞ」

私とバジルは、地面に下りて戦う。

私は、海竜の正面に立ち、胸から腹にかけてランスで攻撃した。

「ガォー!」

ミストラルは上空から、頭を蹴る。

バジルは、気を練ってぶつける。

「ガォー!!」

「キーン」

ミストラルに頭を噛まれ、海竜が悲鳴をあげた。

今だ!

「でぇゃー!!」

私は、ランスで突進した。

ランスは、海竜の腹に突き刺さった。

ドスーーン!!!

海竜は大きな音を立てて倒れた。

〈飛び散る水しぶき〉

「やったか?!」

私は、海竜から使えそうな素材を剥ぎ取った。

「バジルったら、また肉を焼いて食べてる」

「美味しいの?」

「タイムも食うか?」

「おお、鶏肉のようでも有り、ワニのようでも有るな」

「爺さんも食ってみるか?」

「食べてみよう」

学者は、バジルが肉焼き機で焼いた海竜の肉を食べた。

「やはり、ワニのようじゃな」

「小舟は、奇跡的に無事」

タイムが小舟を引っ張って来た。

【修道院】

(終わった…のかしら?あの人のエネルギーが、穏やかになってゆく…)

〈崩れるように膝をつくローズマリー〉

「ローズマリー、少し休んだ方が良いわ」

「ありがとうフェンネル。大丈夫よ」


【遺跡】

「本当に持って帰るの?」

「ああ、島の子供達の大事なタンパク源だからな」

バジルは、海竜を縄で縛った。

「ガォガォ」

ミストラルが縄を咥えた。

「運んでくれるのか?」

「良い子だねミストラル。ちょうど水が上がって来たし、傷つけないで運べそうだよ」

「良し、今のうちに遺跡を出よう」

私達は、小舟に乗り込んだ。

【遺跡の外】

外に出ると、数人の子供達が来ていた。

「帰って来たぞ!」

「俺、皆んなに知らせて来る」

子供が走って行く。

「海竜だ!」

「ね、お爺さん。海竜は本当に居たろ?俺達嘘は言わなかったろ?」

「ああ、嘘じゃなかったよ」

バジルは、ナイフで肉を解体している。

「私も手伝おう」

「ああ、頼む」

私は、剣で肉を切り刻んだ。

子供達が集まって来た。

解体した肉を、皆んなで村まで運ぶ。

【村】

「まあまあ、こんなに沢山…ありがたいね」

「お婆ちゃん、どうしよう?」

「塩水に漬けて、干しておくかね」

「お兄ちゃん連れて来れば良かったわ」

「そうだね、何か保存する道具を作ってもらいたいね」

【ギルド・レ・シルフィード】

「マスター、王宮からの呼び出しでしょう?」

「ああ、行くとするか」

「その重い腰を上げなさいよ」

「はい、礼装。お屋敷から届いてますよ」

「本当いつも嫌そうだよね、王宮や騎士団に行くの」

「お偉い王族や貴族と居るより、俺達と居る方が良いんだろう」

【王宮】

〈礼装で叙勲を賜るアッサム〉

「待ちなさい」

下がろうとする私を国王陛下が呼び止められた。


「お手柄の竜は、元気にしているか?」

「はい、陛下」

「竜への褒美は食料にしたが、そなたは何か欲しい物は無いか?」

「恐れながら国王陛下。私へ何か褒美の品を頂けるのでしたら、南の島の孤児達の村を正式に認めて頂きたく存じます」

「そなた達は、どう思う?」

「調査の結果問題無いかと」

「すでに村として成り立っておりますので、私からもお願い申し上げます」

あの何かと文句をつけていた学者までもが、国王陛下に取りなしてくれた。

「では、アッサム。その村の名前をそなたが決めるが良い」

【ギルド・レ・シルフィード】

「出来たよ~食料保管箱」

「これはまた、まんまなネーミング」

「乾燥装置で乾燥させた食料を入れておけば、もっと長持ちするよ~」

「それじゃあ皆んなで、この装置を子供達の村に運びましょう」

【南の島】

私達の船が着くと、子供達が走って来た。

「バジル兄ちゃん!」

「ワーイ、またお姉ちゃん達も来てくれた」

「今日は、皆んなにプレゼントが有るのよ」

「え?何?早く早く」

「これだよ~」

セージが作った装置を船から下ろした。

【村】

「この乾燥装置で、茶葉を乾燥させればお茶も出来るよ~」

「変な名前」

子供達にまで言われている。

「この食料保管箱に入れておけば、長持ちするんだね」

そう言うと、お婆さんは野菜や肉などを箱に入れた。

「魚は、天日干しすれば同じじゃん」

「ま、まあ、そうだけど…早く出来るからね~」

「国王陛下が、この村を正式に認めて下さったって?」

「ああ、そうだ」

「やったー!」

「それで村の名前は?」

「ハバネラはどうだ?」

「ハバネラの村!」

「ワーイ、ハバネラの村だ!」


【武具屋】

「ご注文の鎧、出来てますよ」

海竜の鱗で作った鎧だ。

「どうです?綺麗なブルーでしょう?」

「ああ、気に入った」

「ありがとうございます」

奥からオレガノが出て来た。

「今、ギルドに行こうと思ってたんだよ。ちょっと待ってて」

奥から何やら引きずって来たが…

「待っていろ、バジルを呼んで来る」

【ギルドの魔獣の小屋】

3人がかりで、大きな箱を運んだ。

「いったい何なの?その大きな荷物」

「ミストラルも立派な大人の竜になったからね、胸飾りを作ったんだ」

オレガノは、ミストラルの胸に胸飾りをつけた。

「わー、カッコいい」

「ガォガォー」

「カッコいいだけじゃなくて、ちゃんと胸を保護出来るからな」

「ガォー」

「ガゥー」

「ルナちゃんのも有るぞ」

ルナの胸に胸飾りをつけた。

「カワイーい」

「ガゥガゥ」

「ルナって、大きくなっても可愛いままだったりして」

この可愛い姿のルナが、あんな恐ろしい力を秘めているのだからな…

怒らせたら怖いのは、人間の女性と同じか。

【ロンドの港】

「やあ、ミューズ。林檎食べるかい?」

「すまんな」

「良いんだよ」

「ヒヒーン」

「どうした?ミューズ」

【港から町への道】

〈ローズマリーとフェンネルが歩いている〉

「あっ」

〈ローズマリーは、フェンネルの手を引っ張って横道に入る〉

「どうしたの?」

(白い馬…あの人だわ。もう会ってはいけないの)

〈アッサムを乗せたミューズが、通り過ぎる〉

(こんなにドキドキするの、私…)

(もう忘れようと思うのに…エネルギーが離れてくれないの…忘れたい、忘れないといけないのよ)


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