『アルマンドの騎士1』“魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ”

大輝

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第21章 星のカーニバルの日に

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【丘の上の花畑】

ミューズが元気になったので、花畑に連れて来た。

彼女は花が好きだ。

眺めたり、香りを楽しんだり、好きな花が有れば中々動こうとしない。

仕方がないな…

私は、彼女から降りて草の上に寝転んで待つ事にした。

何だかとても疲れているな…私は…

こうしていると、眠くなってくる。

【通り】

〈遠くから、緩やかな坂道を下って来るシスターの姿〉

【花畑】

〈首を伸ばし、花の香りを嗅ぐミューズ〉

【通り】

「馬?」

(白い馬…まさか、あの人の?)

〈花畑で足を止めるローズマリー〉

【花畑】

(誰も乗っていないのね…あれは…騎士団の紋章?)

〈ミューズの首に、騎士団の紋章〉

(あの人の馬かしら?)

「ミューズ?」

〈静かにローズマリーに近づくミューズ〉

「ミューズなのね」

〈ミューズは、頭を擦り付けてローズマリーに甘える〉

「良い子ね」

〈ローズマリーは、ミューズの鼻を撫でる〉

(あの人は…どこかしら?もう、会ってはいけないのに…)

(ダメよ、もう、行かなくては…)

〈立ち去ろうとするローズマリーの修道服を、噛んで引き止めるミューズ〉

「あ…ダメよミューズ、放して」

〈ミューズは、ローズマリーを引っ張って行く。アッサムの足が見えてくる〉

「え?」

(倒れているの?)

〈アッサムのそばに行って顔を覗き込む〉

(どうしで?)

〈膝をついて覗き込み息が有るか確かめる。スースーと寝息を立てるアッサム〉

(眠っているだけなの?)

(疲れているのかしら?)


(心配させて…)

(今のうちに行きましょう。修道院の人に見つかったら、大変だわ)

「あっ」

〈アッサムの上に重なる。アッサムの腕がローズマリーを優しく抱き締める。そして、目を開ける〉

「あ…あの…」

「本当に君なのか?」

「離して…」

離したくない。

やっと会えたのに…

「アッサム…」

(2人の身体が…まるで1つみたいに…溶けてる…一緒に居ると溶けるの…これがツインレイ…もう、ダメ)

「離して…お願い」

〈アッサムは、そっと手を解く。ローズマリーは、少し後退ると小走りに去って行く。拳で地面を殴るアッサム〉

何も…聞けなかった。

今日は、星のカーニバルだ。

離れ離れの男女が、この日ばかりはどうしても会うのだと言う。

去年までは、他人事だと思っていたが…

会えたのに…

それなのに…

【通り】

〈足早に歩くローズマリー〉

(聖騎士になったのに、お祝いの言葉も言えなかった…)

(今日は、星のカーニバル。でも、私達修道女には関係の無い話しだわ)

(また、パレードの先導をするのよね…見てみたいわ…一度で良いから…)

(バカね…見てどうするのかしら?もっと好きになったりしたら…好き?いいえ、そんな気持ち知らないわ。知らない方が良いのよ)

【アルマンドの町】

〈町は、大勢の人でごった返している〉

【橋の上】

「白い馬、ミューズだわ」

「パレードが来るぞ」

「ミューズ、元気になって良かったね」

「この日に間に合うように、一生懸命ヒーリングしたんだもの」

「アッサム君が他の馬に乗るなんて~考えられないよね~」

「ルナとミストラルにも、見せてやりたいな」

「さすがにこの人の中には、連れて来れませんね」

「通りに出るな!下がれ!」

「ルバーブさんとチャイブさんだわ」

「騎士団の人達は、警護だね~」

「俺も店を閉めて来たよ」

「星のカーニバルの日に開けている店は、宿屋と酒場ぐらいだね」


「アッサムさん、去年は赤い衣だったけど、今年は白い衣だな」

「聖騎士だからね」

〈パレードが橋の上を通る〉

「わー、ルナとミストラルの人形だ」

「この国の英雄ですからね」

「あら、チコリさんはこんな日に取材?」

「こんな日にこそ、取材ですよ」

「何だ?その箱みたいなの?」

「僕が発明した、写真機だよ~」

「セージの発明で、ちゃんと写るのか?」

「次の新聞を楽しみにしてて下さいよ」

〈夜になると、町は明かりを消して人々は星空を楽しむ〉

「バジルも、もっと呑みなさいよねー」

「お前、呑み過ぎだぞ」

「バジルは、食べ過ぎよ」

「お2人、お似合いですね」

「えっ?」

「げっ」

「何よ、げっ、て。ミントちゃんも変な事言わないでよ」

「変な事は、言い過ぎだろ」

「まあね、去年は1人で呑んでたけど、今年はギルドの皆んなが居るから寂しくないわね」

「おうよ!」

「まーだ、呑むわよー」

「食うぞ」

【ギルドの馬屋】

「ゆっくり休むのだぞ」

〈アッサムは、ミューズに水を飲ませる。そして、空を見上げる〉

星が綺麗だ。

ここに、君が居たら…

一緒にこの星の中に居られたら、どんなに良いだろう。

【橋の上】

「コリアンダー、帰るよ~」

「良いわよ、先に帰ってー」

「後で俺が送って行くから、セージは帰って良いぞ」

「しゃあ頼むね、バジル」

「アッサムったら、来ないつもりかしら?」

【コリアンダーの家】

「悪いね、バジル」

「良いよ、おばちゃん。部屋に寝かせて来る」

【コリアンダーの部屋】

「大人しく寝ろよ」

「うーん…アッサム…」

〈コリアンダーは、バジルの首に腕を回す〉

「俺は、アッサムさんじゃねえよ」

「帰らないで」

「しょうがねえな、眠るまで居てやるか」


【ギルド・レ・シルフィード】

「あー、昨日は呑み過ぎたわー」

「俺は、食い足りなかったぜ」

「バジルの胃袋って、牛?」

「そうそう、反芻してるから、っておい!」

「牛の胃袋は4つ有るんだよね。普通の胃袋が1つで、容積は約100リットル。後の3つは反芻するんだね」

「さすがタイム「生き物の事は、タイムに聞け」よね」

「皆さん。今日の依頼は神官からですよ」

「良し、行くとするか」

「神官の村に行けば何か変わったもんが食えるか?俺も行く」

「神殿に入れるかも知れないから、私も行くわよ」

「僕も行く」

「俺はついて行けないけど、ほら、水竜の鎧が出来たから着て行ってくれ」

【アルマンド東門】

「開門願う」

「聖騎士アッサムとギルドの方々、どうぞお通り下さい」

「開門!」

【東門外】

この丘を北に下ると洞窟だ。

洞窟の先に神官の一族だけが暮らす村ソネットが有る。

この辺りの魔物は、ミストラルの姿を見るだけで逃げて行く。

平原に出ると、魔物の種類も変わってきたが…

ルナの一撃で退散だ。

ルナももうすぐ1歳になる。

逞しくなったものだ。

ルナを怒らせるなよ。

手がつけられないからな…

気難しいのは、人間の女性と同じだ。

【修道院】

「新聞に、星のカーニバルの記事が載ってるわよ」

「今年も大変な人出だったそうね」

「パレードの絵?」

「写真機が発明されたそうよ。ほら、見て」

「飛竜のルナとミストラルの人形が、大人気ですって」

(アッサムとミューズだわ。この夜…貴方は誰と一緒に過ごしたの?)

【平原】

ルナが危ないと、ミストラルが助けに入る。

ミストラル、お前は立派な騎士だぞ。

「腹減ったな、化け蛙でも焼いて食うか」

バジルが化け蛙を肉焼き機にセットすると…

「ガゥー」

やはりか。

「うわっ、ルナ、炎を吐くなら早く言え」

「ガゥガゥ」

「食べごろだよ」


「ガゥー」

「ところで、2人は星のカーニバルの夜を一緒に過ごしたんだよね?」

「ほう」

私は、ずっとミューズと話していたからな。

「一緒にって…」

「酔ったコリアンダーを、家まで運んで寝かせただけだよ」

「それだけ?」

「他に何が有るんだ?」

「朝まで一緒に居て、それだけなの?」

「目が覚めたら、床に大の字になって、ガーガーいびきかいて寝てたわよ」

目に浮かぶようだ。

「ロマンチックじゃないね」

「バジルと一緒で、どうすればロマンチックになるのよ」

「お前、それはあんまりだろ」

「あら、化け蛙って意外と美味しいのね。バジルと一緒に行動するようになってから、何でも食べられるようになったわ」

「ガゥー」

ルナが炎のブレスで、並べて有る化け蛙を一気に焼いた。

「おう、ルナ、気がきくな」

「ガゥガゥ」

「ちょっと、これ全部食べる気?」

今更驚かんが…

「早く食べちゃってよ。夜までにはソネットの村に入りたいわ」

「そんなに急ぐ事はねえだろ?」

「野宿は嫌よ」

「へいへい」

空から、焼いた化け蛙の匂いを嗅ぎつけて鳥獣達が襲って来る。

「ガォー!」

ミストラルが一掃してくれた。

「大丈夫だったな」

「ええ」

「偉いぞミストラル。化け蛙は1個も取られてないな」

「そっち?」

この2人…意外と似合っている気がしてきた…

日が暮れてきた。

少し急いで進む事にしよう。

またコリアンダーが文句を言い出すからな。

「早く村に着いて、お風呂に入りたいわ」

ほら、始まった。

ソネットの村に到着した頃には、すっかり夜になっていた。


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