『猫が焼きもち妬くので結婚できません2』

大輝

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第6章 猫カフェ本日オープンします

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【天空路家のキッチン】

〈遊はLapisとRutileにカリカリをあげている〉

「(あんまり美味しくなーい)」

「(これはもう飽きたわ)」

「あれ?もう食べないのか?」

Lapisはわかるけど、最近Rutileまでワガママ猫になってきたな。

どうしよう?

これまだ開けたばっかりなのに…

そうだ!

【Lapis夢が丘店】

〈遊が出勤して来る〉

「おはようございます」

「あれ?」

「今日は、バイトの子の指導に来ました」

「そうなんだ、助かるよ。二人は遅番で入るからね」

「遊ちゃん、俺ずーっとココに居ようかな?」

「え?」

「だってさ、可愛いバイトの子が二人も入ったし、麻友もこうして来るしさぁ」

麻友さんいつ来たんだろ?

羊里君と二人っきりで大丈夫だったかな?

来るのわかってたら、僕も早く来たのに。

【サロン】

「ミャー(お腹空いた)」

「ミャミャー(ご飯ちょうだい)」

チビ君達は来るけど、ポンちゃんは少し離れた所で見てる。

「ご飯だよ」

食べるかな?

Lapis達は飽きてたけど…

この子達はワガママに育てないぞ。

「うニャうニャ(美味しい)」

「うニャうニャ(美味しいな)」

食べた。

「良い子だね」

ポンちゃんは僕が居ると来ないから、近くに置いておこう。

ここに置いておいたら、チビ君達がみんな食べちゃいそうだもんね。

〈遊がカリカリを入れた器をポンちゃんのそばに置くと〉

「シャー(怖いんだから来ないでよ)」

怒ってる。

でも、小さい声で「シャー」だって。

少しは良い感じだな。

早く慣れてくれよ。

【店内】

「おはようございます」

「おはようございまーす」

「天空路さん。猫達は?」

「おはようございます「天空路さん」ではなくて「オーナー」です」

「あ、この前のお姉さん」

「私は石垣麻友です」

「ねえ、もう猫カフェオープン出来るんじゃない?」

「仕事中は職場に相応しい言葉遣いをしてください」

「え?はい、あ、えっとオーナー」

「は、はい」

何か僕が緊張しちゃったよ。

本店に由良ちゃんが来た時を思い出すな。

「猫カフェオープンまだですか?」

「ああ、チビ君達はだいぶ慣れたけど、工房の戸が」

〈真理絵は遊の言葉を最後まで聞かず大はしゃぎ〉

「わぁ、連れて来ても良いですか?ねえオーナー」

「うん、連れて来てみて」

〈麻里愛はチビトラを真理絵はチビタマを抱いて来た〉

「私考えたんですけど、この子達のエサ代寄付して貰ったらどうかな?じゃなかった、どうですか?」

「そうよね、保護猫カフェになったらもっと増えるわけだし…」

え?増えるの?

保護猫カフェに決定?

ま、まあ、そうすぐって事でもないか。

「それでね、作って来たんです」

「え?何を?」

「ジャジャーン、保護猫募金箱」

「真理絵、そんな物いつの間に作ったの?」

「エへへ、だってエサ代だけじゃないでしょう?注射や避妊手術とか愛里ちゃんとこでボランティアでやってくれるけど、タダじゃないし」

「そうね、もっと猫が増えたらお店の負担も大きくなるわね」

増えるの決定みたい?

「私はこれ作って来たの」

「ポスター?麻里愛いつの間に?」

「オーナーこれ貼っても良いですか?」

「うわ~可愛いなぁ。ポンちゃん達そっくりだね」

ポンちゃん一家四人、じゃなかった、四匹の絵が書いて有る。

そして「猫カフェ本日オープンします」だって。

二人とも色々やってくれるな。

でも、工房の戸が出来ないと…

「おーい、出来たぞ。もう猫達放しても良いぞ」

「わぁ」

「キャッ」

出来たんだ。

おっ、中々だね、さすが元大工さんだ。

あれ?ガードマンじゃなかったっけ?

色々やってたんだね、羊里君。

【カウンター】

「私クッキー焼いてみたの」

「わー猫耳可愛いです」

麻友さんも考えてくれてたんだ。

「俺はこれだ」

「にゃんこパン?可愛い」

「チビタマちゃんの顔に似てるわね」

「さすが麻友。わかってるじゃないかぁ。おにぎり顔にしてみたんだ。で、こっちがチビトラ」

「わはっ、羊里さん意外です。こんな可愛いの作るなんて」

「可愛くて食べるの可哀想になっちゃいますね」

なんて言いながら試食タイム。

食べるの可哀想とか言って頭から齧ってるよな。

「凄く美味しいです。お店に出しましょうよ」

「そうだな、けど俺la merに帰らないと」

〈いつになく寂しそうに言う羊里〉

「羊里君、本当はずっとここに居たいの?」

「ああ、ここは楽しいし、やり甲斐が有る」

「それなら貴方も言葉遣い直しなさいね」

「わかってるよ。お客さんが居る時はそうする」

「それで良いよ。麻友さんもね」

二人は僕より年上だし、麻友さんなんて僕が高校生の頃から知ってるしね。

羊里君も、la merで働き始めた頃は僕の家にしばらく居たから、お兄さんみたいだったもんな。

「じゃあ私達も」

「真理絵、ダメだよ目上の人だもん」

あ、お客様だ。

「いらっしゃいませ」

「いらっしゃいませ、あ、お肉屋さんのおばちゃん」

「真理絵ちゃん。麻里愛ちゃん。二人がアルバイトしてるって言うから来てみたら、猫カフェだって?おばちゃん猫大好きなのよ」

「見て見て、この子達。あ、いけない。この子達です」

フッ、まあ知り合いなら仕方ないよね。

「あらま、まだこんなに小さいのね、可愛いわね」

近所のお肉屋さんかな?

「おばちゃんちのお肉すっごく美味しくて、それに安いんですよ」

「うんうん、スーパーで買わなくなっちゃった」

「ありがとうね」

そうなんだ。

今度行ってみようかな?

僕は魚も食べるけど肉の方が好きだもんな。

肉好きの親父のせいだ。

【天空路家】

〈数日後〉

「明日ポンちゃんを病院に連れて行くの?」

「うん、タマの去勢手術が終わったから、今度はポンちゃんの番なんだ」

「明日は、私が夢が丘店に行く番よ」

そうか、春陽ちゃんはまだ来てなかったな。

「お兄ちゃん居なくても羊里さんが居るから大丈夫」

居なくてもって…

羊里君が居るから危ないんだけど。

まあ、午後からはバイトの二人も来るし、僕もそんなに遅くならないと思うけどね。

大丈夫だよな…たぶん(汗)

【Lapis夢が丘店】

〈翌日〉

さて、ポンちゃんを捕まえないと。

最近少しは慣れてくれて、ご飯を持って行くと出て来るんだけど。

「ポンちゃん、ご飯ですよ」

「(何よ?何かおかしい)」

警戒してるな。

「ミャー(ご飯ご飯)」

「ミャー(ママが食べないなら食べちゃうよ)」

由良ちゃんが居てくれたらな。

【店内】

「春陽ちゃーん、ちょっと大人っぽくなったんじゃないか?」

「そうですか?」

「相変わらず可愛いな」

「羊里さんて、誰にでもそう言ってるでしょう?」

「ひどいなあ、春陽ちゃんだけだよー」

ああ、やっぱりか。

本当に羊里君と二人にして出かけて大丈夫かな?

〈羊里がカウンターを出て春陽のそばに行こうとする。遊は堪らず声をかけた〉

「春陽ちゃん、ポンちゃん捕まえるの手伝って」

「はーい」

【サロン】

「あなたがポンちゃんね、いらっしゃい」

「(だれ?この人)」

やっぱり警戒してるな。

秘密兵器の出番か?

「(来ないでよ)」

「あら、箱に入っちゃったわ」

良し!

箱の上から洗濯ネットをかけた。

「シャー(何よ!)」

捕獲成功!

「シャー(またお風呂?)」

「じゃあ行って来るから」

「行ってらっしゃい」

「気をつけて」

「何を?」

羊里君の誘惑だよ。

悪い人じゃないんだけどね。

「変なお兄ちゃん」

【夢が丘動物病院】

「あら、今日は一人?」

「真理絵ちゃん達は大学」

「そう。ポンちゃん少しは慣れた?」

「まだ触らせてくれないけど、部屋に入っても隠れなくなったよ」

「そう。野良猫は人間に虐待されてたりするから警戒心が強いのよ」

「うん、ポンちゃんはお腹が大きい時頭からビニール袋を被されて、もう少し窒息死するところだったんだって」

「人間がやったのかしら?」

「頭だけスッポリ入ってて凄くきつくて中々取れなかったって言ってたな。自分で入るのとは違うって」

「ウチに足を切断された子が来た事も有るわ」

「ひどいね。そう言えばポンちゃんもタマも足を引きずってたって。子猫を連れてたら棒で叩かれてたって言ってた」

「よくもそんなひどい事が出来るわね」

「いくら猫が嫌いでも虐待して良いものじゃないよな、全く」

「(天空路さん怒ってる。いつもは穏やかなのに)そんな酷い目に遭ったのね。それじゃあ慣れるのに時間がかかっても仕方ないわ」

「ポンちゃん、もう大丈夫だよ。君は大切な家族だからね」

「(何されるのかしら?またチクって痛いのするの?)」

何かまだ怒ってるな。

病院に連れて来ると嫌われるんだよな。

お母さんの所のテンちゃんなんて、家に帰るまでずっと怒ってたもんな。

「じゃあ預かるわね。タマちゃん連れて帰るでしょう?」

「うん。早くチビ君達に会わせてやりたい」

「チビ君?フフフ。タマちゃん子供を可愛いがってたんですものね」

「うん、稲さんがそう言ってた」

「良いパパなのね」

〈愛理がタマを連れて来る〉

「タマ、お家に帰ろうな。チビ君達が待ってるぞ」

「(え?何?今度は何するの?)」

「大丈夫、もう怖くないよ」

「良かったわねタマちゃん(皆んなこんな優しい人ばっかりなら良いのに)」

【帰り道】

〈温泉街を通ってヨーロッパ風リゾート地区へ向かう遊とタマ〉

何だか良い匂いがするぞ。

にんにくの匂い?

〈お店の看板を見る〉

夢が丘ハムだって。

「いらっしゃい」

「こんにちは」

匂いに誘われて入っちゃった。

「あれ?猫カフェの」

「あ、ここだったんですか」

美味しい匂いの正体は?

どれだろう?

「ああ、タンオチ。今煮たばっかりなのよ。ちょっと味見してみる?はい、どうぞ」

「有難うございます」

〈遊はタンオチを口に入れる〉

「うわ~美味しい」

「遠くから買いに来てくれるのよ、だから作るとすぐ出ちゃうの」

「あら天空路さん。まだ帰ってなかったの?」

「美味しそうな匂いに誘われて寄り道」

「私はお昼に食べるお惣菜を買いに来たの。ここのは美味しいのよ」

「うん、本当に美味しい」

愛里さんはトンカツを買った。

「ねえ、これ猫ちゃん食べるかね?」

ササミだ。

「良かったら持ってって」

「ありがとうございます」

ササミを頂いた。

「ニャー(お腹空いた)」

「タマ。帰ったら煮てやるからな」

【帰り道】

「後はコンビニでサラダだわ」

「良かったらうちの店に来ませんか?」

「猫カフェ?そうね…」

「時間が有れば、だけど…サラダとか有るし」

【Lapis夢が丘店】

「ただいま」

「お兄ちゃん。お帰りなさい」

「こんにちは」

「いらっしゃいませ(また女の人と一緒)」

「チビちゃん達どうしてるかしら?」

【サロン】

「チビトラ、チビタマ、パパだぞ」

〈タマを籠から出すとキョロキョロしている〉

「ミャー(パパだ)」

「ミャミャー(わーい)」

〈チビ達が走って来てタマにスリスリするとタマは舐めてやる〉

「この子はあんまり人を怖がらないのね」

「そうだね、優しい子だけどこの辺りのボスだって、稲さんが言ってた」

〈愛里は屈んで猫達を見ている。その後ろに遊が立って見ている。腰を曲げて膝に手をついている姿勢〉

「大きな体して優しいわよね」

「でも、ポンちゃんにプロポーズした時は、他の猫みんな蹴散らして、凄く強かったんだって」

「野良猫のオスが家族を大事にしてるって、あんまり見た事無いわ」

「タマは良い子だね」

この子ならすぐに猫カフェデビュー出来そうだけど、今日はゆっくり休ませてやろう。

「人間の男性もこうなら良いのにね」

「僕は子供大好きだから、子育てするな」

「あら、本当に?」

って、急に振り返るから顔が近いよ。

何だかドキドキして来ちゃった。

〈何と無く見つめ合う感じの二人〉

「お兄ちゃん」

「うん?」

「え?お兄ちゃんて、妹さん?」

〈サロンの入り口に春陽〉

「あ、ごめんなさい。オーナー、お客様です」

「そう、今行く」
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