俺のタマゴ

さつきのいろどり

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三冠王

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今日、茅菜が夢で見たと言う山
難火有山なんかあるやまに俺たちは登る。

高校の行事の一つで、登山、トレッキング
キャンプの、この三つが高校生活三年間の中で
全て、やる事になっていて
三年に一回づつ廻って来る事になっている。

これをリタイアせずに達成すると
三冠王として、卒業式にオリジナルの
三冠王バッヂが貰える事になっていた。



改「いらねぇよ」



俺はね。

でも欲しいって奴、実は結構
いたりするんだよな。

今、俺の隣にいるリュックを背負った
世楽冬磨とかもな。



世楽「また君?…邪魔しないでよ」



俺を睨みつける世楽。
まぁ、睨まれるのも仕方ないよな。

仲良くなる為に、仕方なくとはいえ
付きまとってるわけだし。

しかも、この前からストーカー扱い
されてるしな…



茅菜「私は転校生だから、三冠王達成
出来ないんだよね。なんかショックだなぁ」



わ。ここにも一人、三冠王バッヂ
欲しい人いた。



改「俺の、あげようか?」

茅菜「え?いいよ、悪いし。それに
こういうのって、自分で取ってこそ
意味があるでしょ☆」



意味…そうなのかな。
俺にとっては、どうでもいい行事の
一つなんだけど。

昨年のトレッキングだって、何となく適当に
やってたら、いつの間にか終わってた
感じだったしな。

だけど、今年はそうもいかなそうなんだよな。
タマゴの試験かもしれないから。

新より先に、頂上に辿り着けばいいのか
それとも、違う何かなのか
登山は関係ないのか…。
どっちにしろ、今回は全力でやらないとな。



改「欲しいって言ってる人が持ってる方が
いいんじゃないのか?」

茅菜「…」



茅菜は、少し悩んだ表情になった後



茅菜「それじゃぁ、もらっちゃおうかな☆
だから、三冠王達成するって約束ね!」

改「わかった。絶対取る!」



そんな俺達の会話を険しい顔で見つめる世楽。
茅菜の事が好きであろう世楽は、俺と茅菜が
仲良くしてるのがムカつくんだろうな。

でも、茅菜の事、避ける訳にはいかないし
俺自身、茅菜と距離を取るとかありえねぇし。

先生が、スタートの合図のホイッスルを吹くと
世楽は、俺を無視して登り始めた。

あっ!
仲良くなるチャンス!

俺から逃げるように登る世楽の背中を
走って追いかけた。



新「そんなに走って大丈夫なの?お兄ちゃん」



俺の横に、新が並んだ。

いつから、いたのか。
全く、気配とかなかったんだけど…



改「うるせぇ!新こそ、俺に着いてきて
体力、もたないんじゃねぇの?」

新「へぇ、言うようになったね。
アンタが、世楽にストーカーしてる間に
俺が何もしてなかったと思ってんの?」

改「ストーカーじゃねぇよ!」



まぁ、確かに新の言う通り。
世楽と仲良くなる事ばっか考えてて
俺、何もしてねぇや。



茅菜「そんな事ないよ。いつも世楽くんの事
走って追いかけてたから、体力着いたかも?」



茅菜さん。フォローになってません…

茅菜は、少し息を切らしていた。
わざわざ、庇う為に走って来てくれたのか?

そんなわけないか。期待しすぎ。

期待?何に?

そんな事、考えてたら目の前にあった
世楽の背中が、いつの間にか遠くに行っていた。

やばっ!地味に、アイツ早いな。
俺はまた、走って世楽を追いかけた。


















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