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リアルプロローグ

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~最初に~
主人公の名前は、あえて決めていません。 “ 私”と書かせていただきます。


-------------------------


私は、アラフォーまっしぐらの主婦。
来年、中学生になる子供と、小学四年生の子供が二人。

主人とも、普通に仲良くやっている。
不満なんてない。

だけど、私は恋をした。

二・五次元の彼に。

笑った人もいるでしょう?

でも、本気なんです。

これって、浮気になりますか?



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『ピロリン♪』

鳴ったのは、Bコネの返信の音。

Bコネとは、メッセージをやり取り出来る便利な通信アプリで
B☆CONNECT(ビーコネクト)と言う。

皆んな、略してBコネと呼んでいた。

早速、Bコネを開いて既読を付ける。


私「あ!ユイミからだ。」


ユイミは、小さい頃からの幼馴染で、今でも仲が良く
ちょいちょいBコネのやり取りをする。


私「ふふふっ。」


一枚の写真。その写真には、ユイミが昔好きだったアニメのキャラクターの
等身大ポスターと一緒に写ったユイミがいた。

私も好きだったなー。このアニメ。
中学の時に流行ったんだっけ。
少年向けなのに、キャラクターが、みんなカッコ良くて
当時は、ユイミと一緒に「あのキャラが良いとか、こっちのキャラが好き」とか言ってたっけ。

二十五周年…。へぇ、もうこんなに経つんだ。

いつの間にかオバサンになってたんだなー。早い、本当に。

私は、ユイミに返事を返すと、すぐに返ってきて



ユイミ《懐かしいでしょ!今、イベントやっててね。
久しぶりに、あの頃に戻ったみたいで思わず一緒に写真、撮っちゃった。 
このキャラ、昔は本気で好きで、実は初恋♡
知ってた?》

私《 そうなんだ。私も二次元、好きだったから何となく気持ちわかるかも》

ユイミ《 そうそう。私ね、恋愛中なんだー》

私《 え?ちょっと、それ浮気してるって事?》



もしかして、このイベントも、その彼と…?



ユイミ《 違うよー。二次元とだよ。》

私《 え?!》

ユイミ《 二次元なら、浮気にならないなって。
コレ!》



ん?
あるサイトにリンクするであろうアドレスが添付されて来た。




私《 何これ?》

ユイミ《 恋愛ゲーム。やってみない?結構、はまるよ!後で感想聞かせてねー☆》



え?感想って、ゲームなんてやるって言ってないけど。やる前提?

ま、いいか。後で聞かれたら適当に話し合わせとこ。

その時は、そう思いました。まさか、こんなにもドはまりするとは知らずに…











洗濯やら掃除やら、やっと終わって一服。
あと数分で十二時だ。主婦って暇そうで暇じゃない。

あれもこれも、やってると時間なんてあっという間。
だから、ゲームアプリなんてやってる暇なんてない。でも…

ユイミから送られてきたBコネを見る。


私「恋愛ゲームねぇ。昔、こう言うのやったっけな。結構、面白いんだよね」


無意識にクリックする。


私「あ!」


私好みのイラストのキャラクターが表示された。


お試し期間中により無料、か。
へぇー、このキャラのストーリーは無料なんだ。

無料だし、お昼までちょっと時間あるし、やってみようかな。
今日は、いつもより少しだけ早く片付いたし。

それを理由にしたけど、自分好みのキャラを見たせいで
気になって仕方なくなってしまったのは
根っからの二次元好きだからなのかも知れない。

ちょっとだけ。そう、ちょっとだけ。

私は“藤堂律兎とうどうりつと”と言う名前のキャラをクリックした。

ゲームを開始すると、ヒロインと相手のキャラクターのプロフィールが表示された。

藤堂律兎。身長、百七十九センチ、教師。


私「へぇー。学園ものかぁ。」


そういやぁ、高校生の時は、ろくに恋愛してなかったなぁ。
アニメとか漫画のキャラクターに夢中になってたっけ。ユイミと二人で。


ヒロインは、そろそろ十七歳を迎える高校二年。
セブンティーンってやつですか!

高二かぁ。一度だけリアル恋愛しそうになったんだっけ、先生に。
でも、仲の良い友達が気になるとか言うから、直ぐに諦めたんだっけな。

もし、先生の事が好きになってたらどうなってたかな…なんて
どうにかなるはずないか。その先生、次の年には違う学校に転勤になったっけ、確か。


ヒロインの名前に自分の名前を登録すると、すぐにゲームが始まった。










電車を一本乗り遅れた私は、ダッシュで学校へ向かう。
駅からは、そんなに遠くない。本気で走れば間に合うはず!

ホームの階段を駆け上がり、出口が見えたその時!



『ドンッ!』何かにぶつかった!



私「いったぁ~」

??「痛ぇじゃねぇだろ!危ねぇな。」

私「ご、ごめんなさっ…!」


見上げると、整った顔立ちのイケメンが…いや、今まで見た事の無いくらいの
ハイパーイケメンが私を睨みつけていた。


う…目つき悪いんですけど。
しかも、ハイパーイケメンなのに、性格悪そう…




私「あっあの、けっ怪我は…」

??「別に…」

 

そう言うと、ハイパーイケメンは、高校の方を見ながら顎をしゃくり上げ



??「で?間に合うの?」


あ、ヤバ!


私「失礼します!」



軽く頭を下げると、そのまま学校まで全速力で走った。



(ふぅーん。出逢いは、最悪な印象なのね。)



『キーンコーンカーン』



音と共に、教室のドアを開けた。

セーフ!

あれ?教室が、ザワついてる。
何かあるのかな?

隣の席のチエコが話しかけてきた。


チエコ「ねぇ見た?」

私「何を?」

チエコ「え?知らないの?職員室の前、大騒ぎだったっしょ。ウチらの新しい担任が原因」


そうだったかな?急いでたから気にしてなかった…


私「担任、変わるの?聞いてないけど」

チエコ「産休だってさ。本当は、ギリギリまで仕事するつもりだったらしいけど
あまりにも体調が悪いからって、急にね。」

私「そうなんだ。赤ちゃん出来たって言うのは聞いてたけど、本当に急だね。」

チエコ「うん。だから足立先生が復帰するまでらしいよ。そろそろ来るんじゃ…」


『ガラッ』

教室のドアが開くと、女子達のハートの悲鳴が響いた!


あれ?
この人、さっきの…


新しく来た担任は、教卓の前に立ち

『カッカッカッ』

黒板に大きく自分の名前を書く。

藤堂「藤堂 律兎とうどうりつとです。今日からしばらく足立先生の代わりに
臨時でこのクラスの担任をする事になりました。短い間ですがよろしくお願いします。」


さっきとは別人のような爽やかな笑顔で笑った。


(へぇー。これはギャップ有りな設定ですか。裏表のあるキャラクター
私、結構すきだなぁ。)


チエコ「ちょっと。爽やかイケメンじゃん!」

私「え、爽やか…」


違う。だってさっき、ぶつかった時は…

もしかして、違う人だったりするのかな?

いやいや、こんなハイパーイケメン、滅多にいないよね。
間違えるはずは…

すると、藤堂先生と目が合った。



藤堂「君、どうしたの?」

私「え?」


もしかして、覚えてない?


私「い、いえ…」



藤堂先生は、爽やかな笑顔で微笑むと、何事も無かった様にホームルームを始めた。


やっぱり、覚えてないんだ…
少しだけ残念な気持ちになったのは気のせいって事にしておこう。

    
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