おばあちゃん百合ひとりアンソロジー

飛鳥井作太

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幼馴染(年上)×幼馴染(年下)

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 After

 一月二日。遊びに来た子どもと孫を見送って、そのまま近所の鈴ねーちゃんちに遊びに行った。例年通りなら、ねーちゃんも二日には暇になる。
 果たして、ねーちゃん家にはいつも通り鈴ねーちゃんしかおらず。新年の挨拶もそこそこに、すぐさま二人でおこたの住人と化した。疲れた身体に、温もりが染みていく。
「鈴ねーちゃん。みかん頂戴」
「はい」
 ねーちゃんは、籠から一つみかんを取って私の前に置いた。けど。
「そうじゃなくて」
 私は首を横へ振り、ねーちゃんが今剥いてるものを指した。子どもの頃、私は鈴ねーちゃんの剥いたみかんしか食べなかったという。
「まったく、みーちゃんはずっと甘えたさんねぇ」
「そんなことないよ」
 私は唇を尖らした。そんな子どもみたいな仕草、ばあさんがするもんじゃないってわかってはいるんだけど。鈴ねーちゃんと居ると、不思議と気持ちがあの頃に戻っていくのだ。肩も腰も、何処かしらいつも痛んでて、動くのも億劫だってのに。心だけは、どんどんと子どもの頃へと還っていく。
「昨日までは、家に孫が来てたからね。『いいおばあちゃん』してたんだよ」
「ふふふふ。たくさんお世話してたのね。えらいわ、みーちゃん」
 えらいみーちゃんには、みかんを半分あげようね。と昔のままにねーちゃんが言った。
「やった。……ね、鈴ねーちゃん」
 食べさせて、と笑って言えば。
「ふふふ、しょうがない子」
 ねーちゃんのしわしわの手が、みかんをひと房取って私の口元へ運んでくれる。ねーちゃんの、嬉しくてたまらないという微笑みも、やっぱり昔のままだった。 

 Before

「わたし、すずねーちゃんのおよめさんになる!」
 近所の可愛いみーちゃんが、私の顔を見上げ、笑顔で言った。腰に抱き着いてくる温もりを、私は心の底から大好きだと思う。
「……そうね」
 みーちゃんの頭を撫でながら、私は夢想した。
 このままずっと、みーちゃんとこうして暮らしていけたなら。みーちゃんが、ずっと私を好きで居てくれたなら。
 それはどれだけ素敵なことかしら、と。
「私も、みーちゃんをお嫁さんにしたいわ」
「えへへ、ほんとうー?」
 嬉しい! と笑うみーちゃんを、私はぎゅっと抱き締めた。
 ──鈴。あと三年、遅くても五年したら、あなたはお嫁に行かなくちゃなのよ。
 そんな母の言葉を外へ追いやるように。
 私はみーちゃんを、今のこの日々を、強く、強く抱き締めた。
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