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2ハズレスキル、覚醒
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「……う、く」
勇者エルヴィンに殴られた痛みとダンジョンに落ちた時に樹々の枝に身体中を傷まみれにされて、身体が思うように動かない。だが、生きている?
良かった。このまま死にたくない。
勇者エルヴィン、そして俺を殺せと頼んだ幼馴染のクリス。
絶対に復讐してやる。
幼馴染の頃から一緒に育ったクリス、将来を誓いあって、幸せな家庭を築く夢。
それは脆くも崩された。クリスの裏切りによって。
俺には勇者エルヴィンとクリスへの黒い霧のような復讐心だけが生きる糧となっていた。
「どうやら目を覚ましたようじゃな?」
女の人の声が聞こえて来た。
何とか、意識を集中して、俺は目を開けた。
目の前には綺麗な少女の顔があった。
「だ、誰だ?」
「我は魔王じゃ。お前……人から裏切られたな……それに……いや、今はそれはいい」
「ど、どういうことだ? 俺にはさっぱり……それに魔王?」
俺の驚きは当然だ。俺たちは他でもない、その魔王を倒すために修行を続けていたんだ。
「驚かしたか? だが、案ずるな。今は魔王なぞしておるが、これでも昔は普通の人間じゃった。何の魔法の才能もなかったが、歴史上最強の魔法使いと呼ばれたこともあるぞ」
「才能のない最強の魔法使い?」
「それはおいおい、話してやる。それより、お前は謎のジョブ【ラプラス変換】の持ち主じゃな?」
「はい、そうです」
「では、我がお前のジョブを覚醒してやろう。もし、良ければだがな」
「ぜ、是非お願いします!」
魔王の言葉、当然甘言だろう。だが、俺はそれに縋ることにした。
いや、この少女が本当に魔王なら、拒否はおそらく死だ。
ならば、毒を喰らわば皿までだ。
俺は魔王の手で謎のジョブ、【ラプラス変換】の覚醒というものをすることになった。
魔王の名前はアルベルティーナと言った。魔王とは思えない幼さを残す美少女。
だが、奈落のダンジョンの最下層に住むからには、本当に魔王なのだろう。
「本当にいいのじゃな?」
魔王は俺に再度聞いて来た。失敗すると死ぬとかその類だろう。
俺の心は既に決まっていた。死んだら、それはそれでいい。
このまま復讐もできないのでは、死んだ方がマシだ。
「そのな……この術式はな。術の発動に接吻が必要なのじゃ」
「接吻? キスのことですか?」
「そ、そうじゃ、我は男の人とは初めてなのじゃが、お前が嫌なら、その……」
いや、これだけ綺麗な女の子とキスを嫌がる奴はいないだろう。
それより、彼女はファーストキスらしいが、彼女の方こそ本当にいいのか?
「俺はかまいません。むしろ、魔王様の方こそいいのですか?」
「かまわん。かまわん。好きなだけ吸っていいぞ」
魔王アルベルティーナは魔王とは思えない気さくな人物に見える。
それに見かけはなかなかの美少女だった。
サラサラで輝くような長く艶やかな金色の髪、睫毛の長い切れ長の目の奥には赤い瞳が潤むように佇んでいる。
「では準備するな」
彼女はそう言うと床に魔法陣を描き始めた。
「では、準備が出来た。少々魔法陣の記憶が曖昧じゃがな」
「いえ、かまいません。よろしくお願いします」
「わかった。じゃ。やるぞ」
そう言うと、魔王アルベルティーナは少し頬を赤らめた。
俺はちょっと困った。無駄に可愛い仕草にドギマギしてしまった。
気を取り直して決意を固めると。
「では、魔法陣の中へ入って」
「はい」
俺はアルベルティーナと魔法陣の中に入った。
そして、彼女は聞いたことのない魔法を唱えた。
すると、魔法陣が輝き始めた。
「これで覚醒の魔法は接吻を持って発動する」
「わかりました。では、よろしくお願いします」
「あ、いや、いきなりは……私も乙女なのでな、出来れば、『愛してる』とか言ってからキスしてくれないか?」
いきなり、魔王アルベルティーナは訳のわからない要求をしてきた。
「アルベルティーナ様はひょっとして俺の事がお好きなのですか?」
「いや、全然」
どっと疲れがやって来た。
「えっと、初めてのキスなので、気分を盛り上げて恋人同士がする”体”でするのですね?」
「そうじゃ。やはりシチュエーションは大事じゃぞ。せっかくのファーストキスなんだから」
アルベルティーナはますます頬を朱に染めて言う。
なんか、この魔王、可愛いな。これ、ほんとに魔王なのか?
とはいえ、気を取り直して、魔王にキスをするために愛の言葉を囁くつもりになる。
「では、行きますよ」
「その、行きますよとかいらない。愛してます、的なところから頼む」
文句言うのは筋違いだとは思うが、本当に注文が多いな。
「アルベルティーナ、愛してる」
俺がそう言うとアルベルティーナは目を閉じた。
アルベルティーナの唇にキスする。
柔らかい唇の感触が心地良い。
普通、これ、役得なんだろうな......
でも、気のせいか、凄い地雷を踏んだような気がする。
キスを終えるとアルベルティーナが再び苦情を訴えた。
「初めてのキスが、なんであんな簡単に終わるのだ。気分が台無しではないか!!」
いや、知らないよー。
「いや、それはいいので、ステータス確認してみます」
「わ、わかった。仕方がないのう」
俺はステータスの魔法で自身のステータスを確認した。
「何も変わってませんよ?」
俺は落胆した。ジョブは相変わらず謎のラプラス変換のまま。
「やはり、魔法陣が不完全じゃったかな......じゃあ、もう一回だな」
アルベルティーナはあっさりそう言い放った。
それからも覚醒は上手くいかず、おかげでキスは10回に達している。
キスをする度にアルベルティーナは色々と改善を要求してくる。
おかげで、彼女の魔法陣を考察する時間よりも、俺のキスへの考察時間の方が長くなったくらいだ。
「そろそろ頼むぞ、我も折角のファーストキスをフツメンに捧げたんだから。これで覚醒してくれないと、我は不幸だぞ」
失礼な奴だな。
そもそも失敗してるの、俺じゃなくてこいつの方だよな?
そして12回目のキスで、ようやく覚醒は成功した。
「あっ、来ました! ジョブが変化しました!」
俺は嬉々とした声で叫び声を上げた。
「何、本当か? ならば、ちょっとステータスを見せてくれ」
俺はアルベルティーナにステータスの内容を公開した。
名前:アル
ジョブ:【放置プレイヤー】
スキル:レベルアップスライム召喚
「ようやく探し求めていた後継者が見つかったよ。人の少年よ。我はこの日を待ちかねていた。ところで、今更じゃが、君の名は?」
勇者エルヴィンに殴られた痛みとダンジョンに落ちた時に樹々の枝に身体中を傷まみれにされて、身体が思うように動かない。だが、生きている?
良かった。このまま死にたくない。
勇者エルヴィン、そして俺を殺せと頼んだ幼馴染のクリス。
絶対に復讐してやる。
幼馴染の頃から一緒に育ったクリス、将来を誓いあって、幸せな家庭を築く夢。
それは脆くも崩された。クリスの裏切りによって。
俺には勇者エルヴィンとクリスへの黒い霧のような復讐心だけが生きる糧となっていた。
「どうやら目を覚ましたようじゃな?」
女の人の声が聞こえて来た。
何とか、意識を集中して、俺は目を開けた。
目の前には綺麗な少女の顔があった。
「だ、誰だ?」
「我は魔王じゃ。お前……人から裏切られたな……それに……いや、今はそれはいい」
「ど、どういうことだ? 俺にはさっぱり……それに魔王?」
俺の驚きは当然だ。俺たちは他でもない、その魔王を倒すために修行を続けていたんだ。
「驚かしたか? だが、案ずるな。今は魔王なぞしておるが、これでも昔は普通の人間じゃった。何の魔法の才能もなかったが、歴史上最強の魔法使いと呼ばれたこともあるぞ」
「才能のない最強の魔法使い?」
「それはおいおい、話してやる。それより、お前は謎のジョブ【ラプラス変換】の持ち主じゃな?」
「はい、そうです」
「では、我がお前のジョブを覚醒してやろう。もし、良ければだがな」
「ぜ、是非お願いします!」
魔王の言葉、当然甘言だろう。だが、俺はそれに縋ることにした。
いや、この少女が本当に魔王なら、拒否はおそらく死だ。
ならば、毒を喰らわば皿までだ。
俺は魔王の手で謎のジョブ、【ラプラス変換】の覚醒というものをすることになった。
魔王の名前はアルベルティーナと言った。魔王とは思えない幼さを残す美少女。
だが、奈落のダンジョンの最下層に住むからには、本当に魔王なのだろう。
「本当にいいのじゃな?」
魔王は俺に再度聞いて来た。失敗すると死ぬとかその類だろう。
俺の心は既に決まっていた。死んだら、それはそれでいい。
このまま復讐もできないのでは、死んだ方がマシだ。
「そのな……この術式はな。術の発動に接吻が必要なのじゃ」
「接吻? キスのことですか?」
「そ、そうじゃ、我は男の人とは初めてなのじゃが、お前が嫌なら、その……」
いや、これだけ綺麗な女の子とキスを嫌がる奴はいないだろう。
それより、彼女はファーストキスらしいが、彼女の方こそ本当にいいのか?
「俺はかまいません。むしろ、魔王様の方こそいいのですか?」
「かまわん。かまわん。好きなだけ吸っていいぞ」
魔王アルベルティーナは魔王とは思えない気さくな人物に見える。
それに見かけはなかなかの美少女だった。
サラサラで輝くような長く艶やかな金色の髪、睫毛の長い切れ長の目の奥には赤い瞳が潤むように佇んでいる。
「では準備するな」
彼女はそう言うと床に魔法陣を描き始めた。
「では、準備が出来た。少々魔法陣の記憶が曖昧じゃがな」
「いえ、かまいません。よろしくお願いします」
「わかった。じゃ。やるぞ」
そう言うと、魔王アルベルティーナは少し頬を赤らめた。
俺はちょっと困った。無駄に可愛い仕草にドギマギしてしまった。
気を取り直して決意を固めると。
「では、魔法陣の中へ入って」
「はい」
俺はアルベルティーナと魔法陣の中に入った。
そして、彼女は聞いたことのない魔法を唱えた。
すると、魔法陣が輝き始めた。
「これで覚醒の魔法は接吻を持って発動する」
「わかりました。では、よろしくお願いします」
「あ、いや、いきなりは……私も乙女なのでな、出来れば、『愛してる』とか言ってからキスしてくれないか?」
いきなり、魔王アルベルティーナは訳のわからない要求をしてきた。
「アルベルティーナ様はひょっとして俺の事がお好きなのですか?」
「いや、全然」
どっと疲れがやって来た。
「えっと、初めてのキスなので、気分を盛り上げて恋人同士がする”体”でするのですね?」
「そうじゃ。やはりシチュエーションは大事じゃぞ。せっかくのファーストキスなんだから」
アルベルティーナはますます頬を朱に染めて言う。
なんか、この魔王、可愛いな。これ、ほんとに魔王なのか?
とはいえ、気を取り直して、魔王にキスをするために愛の言葉を囁くつもりになる。
「では、行きますよ」
「その、行きますよとかいらない。愛してます、的なところから頼む」
文句言うのは筋違いだとは思うが、本当に注文が多いな。
「アルベルティーナ、愛してる」
俺がそう言うとアルベルティーナは目を閉じた。
アルベルティーナの唇にキスする。
柔らかい唇の感触が心地良い。
普通、これ、役得なんだろうな......
でも、気のせいか、凄い地雷を踏んだような気がする。
キスを終えるとアルベルティーナが再び苦情を訴えた。
「初めてのキスが、なんであんな簡単に終わるのだ。気分が台無しではないか!!」
いや、知らないよー。
「いや、それはいいので、ステータス確認してみます」
「わ、わかった。仕方がないのう」
俺はステータスの魔法で自身のステータスを確認した。
「何も変わってませんよ?」
俺は落胆した。ジョブは相変わらず謎のラプラス変換のまま。
「やはり、魔法陣が不完全じゃったかな......じゃあ、もう一回だな」
アルベルティーナはあっさりそう言い放った。
それからも覚醒は上手くいかず、おかげでキスは10回に達している。
キスをする度にアルベルティーナは色々と改善を要求してくる。
おかげで、彼女の魔法陣を考察する時間よりも、俺のキスへの考察時間の方が長くなったくらいだ。
「そろそろ頼むぞ、我も折角のファーストキスをフツメンに捧げたんだから。これで覚醒してくれないと、我は不幸だぞ」
失礼な奴だな。
そもそも失敗してるの、俺じゃなくてこいつの方だよな?
そして12回目のキスで、ようやく覚醒は成功した。
「あっ、来ました! ジョブが変化しました!」
俺は嬉々とした声で叫び声を上げた。
「何、本当か? ならば、ちょっとステータスを見せてくれ」
俺はアルベルティーナにステータスの内容を公開した。
名前:アル
ジョブ:【放置プレイヤー】
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