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86勇者レオン王位継承権を奪われる
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決闘をした翌日。
「違う! 違うのです陛下! 私はただ、英勇アル君と力比べをしようと、だから僕は……」
「もう、調べはついておる。レオンよ。ワシはお前に謹慎処分を命じた筈じゃ」
「し、しかし、真の英勇候補二人がしのぎを削るのは当然ではないですか! だから僕は!」
「まぁ、それではこれはどういうことかしら、レオン兄様?」
王女リナに即されて、捕縛されたアンネと男達が引き連れられてきた。
「も、申し訳ございません。レオン様……」
「ぐっ!?」
さすがに関係者を捕縛されて勢いがなくなるレオン。
「この者から聞き出しました。兄様、ケーニスマルク家のリーゼ嬢を無理やり妾姫に迎えると脅しましたね?」
「そ、それは決闘するために!」
「……そう。それでは、どうして決闘なのかしら? 模擬戦でよろしくては?」
王の前で追及の手を緩めないリナ王女殿下。
さすがに王族、第一王女ともなればかなりの知恵者だ。
リナ王女はアルの信奉者で、帝国の皇子と婚約が決まっているものの、放ってはおけなかった。
「それにこの者達のことはどう説明するつもりかしら? アンネ嬢が口を割ったわ。兄様、決闘にも関わらず、手の者に魔法で支援をさせましたね」
そこには数人の男が捕縛されていた。
リナ王女のその問いに、途端にレオンはバツが悪そうに視線を泳がせながら返答する。
「そ、それは……。僕は知らない。こいつらがきっと勝手にやったんだ。死刑にでも何にでもするがいいさ」
「そ、そんなレオン様!」
「殺生です! 今まで散々尽くしたのに!」
見苦しい言い訳にリナ王女の顔が曇る。
「……そう」
リナ王女の返事は簡単な相槌のみだった。
決闘は半分命がけだ。
それに対して卑怯な方法で。
ましてや無理矢理決闘に持ち込んでおいてのこの諸行は酷い。
「……分かったわ。では断罪いたしましょう」
驚くほど冷たい声。これが美貌で有名なリナ王女のものなのか?
彼女もやはり王族。
王族にとって秩序は最も重要なもの。
それが無ければ王政自体が崩壊する。
「――これは一体、どういうことなのじゃ?」
「国王陛下。第一王子レオンはリーゼ嬢を卑怯にも人質にして無理やり決闘に引き込み、あまつさえ卑怯にも手の者に魔法で支援させてアル様を不利に追い込み殺害しようとしたようです」
「――言いがかりだ! リナ! いくら王女のあなたとは言え、僕を侮辱するとあっては、それなりの抗議をさせていただきたい!」
「――第一王子レオン。身の程を知りなさい。誰の前であなたは口を聞いているのかしら? ここは尊き初代国王エルファシル様と女神エリス様の血を引く王の御前です。既にそこの者達が自白しています。お前のような愚か者がこの王家の尊き血筋を穢した事実。その腐った根性と同時に全て暴いてさしあげますわ!」
第一王子レオンの本質は限りなく悪だ。
レオンはこれまで全ての都合が悪い正義に目をつむり、都合の良い正義のみを見てきた。
それが、傲慢であり、偽善でなくてなんと言うのか?
これまで最強の勇者だったため、たくさんの悪事や涙を飲んだ女性達の無念は断罪出来なかった。
だが、彼女はこの時のため、この断罪の時を待っていたのだろう。
「ち、違う! 僕はただ! 真の勇者に相応しい僕が万が一負ける訳にはいかないから!あの落ちこぼれのアルごときが真の勇者になるなんて許される訳がないんだ! 僕は優秀過ぎるが故に特別なんだ……決して、卑怯者なんかじゃ!」
「いい加減にせよ、レオン」
国王の低い声が響き渡る。そしてレオンの独白は間違いなく罪を自白したようなものだ。
もう、今のレオンの感覚は既に麻痺していたのだろう。ありえない魔力、ありえない才能を授かり、多くの国民から寄せられる信頼。次第に集まってくる権力を前にレオンは自分だけは何をしても許される存在なのだと思い込んでいた。
「それでは国王陛下――お願い申し上げます。私はこの国の王女として、わが兄様、第一王子レオンの然るべき処分をご注進いたします」
凛々しいとさえ言える顔を上げ、国王陛下へそうリナ王女は進言した。
「――第一王子レオンよ。お前がよりにもよって、英勇であるアル君を害そうとした事実。あまつさえ、王家の者として恥ずべき卑怯。誠に残念に思う。お前は長い間、この国を守護してくれた。だが、国民を裏切り、国を欺いたお前の罪を放置する訳にはいかない。お前の王位継承権をはく奪する」
その言葉にレオンは目を見開き、絶叫した。
「お……おおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
「違う! 違うのです陛下! 私はただ、英勇アル君と力比べをしようと、だから僕は……」
「もう、調べはついておる。レオンよ。ワシはお前に謹慎処分を命じた筈じゃ」
「し、しかし、真の英勇候補二人がしのぎを削るのは当然ではないですか! だから僕は!」
「まぁ、それではこれはどういうことかしら、レオン兄様?」
王女リナに即されて、捕縛されたアンネと男達が引き連れられてきた。
「も、申し訳ございません。レオン様……」
「ぐっ!?」
さすがに関係者を捕縛されて勢いがなくなるレオン。
「この者から聞き出しました。兄様、ケーニスマルク家のリーゼ嬢を無理やり妾姫に迎えると脅しましたね?」
「そ、それは決闘するために!」
「……そう。それでは、どうして決闘なのかしら? 模擬戦でよろしくては?」
王の前で追及の手を緩めないリナ王女殿下。
さすがに王族、第一王女ともなればかなりの知恵者だ。
リナ王女はアルの信奉者で、帝国の皇子と婚約が決まっているものの、放ってはおけなかった。
「それにこの者達のことはどう説明するつもりかしら? アンネ嬢が口を割ったわ。兄様、決闘にも関わらず、手の者に魔法で支援をさせましたね」
そこには数人の男が捕縛されていた。
リナ王女のその問いに、途端にレオンはバツが悪そうに視線を泳がせながら返答する。
「そ、それは……。僕は知らない。こいつらがきっと勝手にやったんだ。死刑にでも何にでもするがいいさ」
「そ、そんなレオン様!」
「殺生です! 今まで散々尽くしたのに!」
見苦しい言い訳にリナ王女の顔が曇る。
「……そう」
リナ王女の返事は簡単な相槌のみだった。
決闘は半分命がけだ。
それに対して卑怯な方法で。
ましてや無理矢理決闘に持ち込んでおいてのこの諸行は酷い。
「……分かったわ。では断罪いたしましょう」
驚くほど冷たい声。これが美貌で有名なリナ王女のものなのか?
彼女もやはり王族。
王族にとって秩序は最も重要なもの。
それが無ければ王政自体が崩壊する。
「――これは一体、どういうことなのじゃ?」
「国王陛下。第一王子レオンはリーゼ嬢を卑怯にも人質にして無理やり決闘に引き込み、あまつさえ卑怯にも手の者に魔法で支援させてアル様を不利に追い込み殺害しようとしたようです」
「――言いがかりだ! リナ! いくら王女のあなたとは言え、僕を侮辱するとあっては、それなりの抗議をさせていただきたい!」
「――第一王子レオン。身の程を知りなさい。誰の前であなたは口を聞いているのかしら? ここは尊き初代国王エルファシル様と女神エリス様の血を引く王の御前です。既にそこの者達が自白しています。お前のような愚か者がこの王家の尊き血筋を穢した事実。その腐った根性と同時に全て暴いてさしあげますわ!」
第一王子レオンの本質は限りなく悪だ。
レオンはこれまで全ての都合が悪い正義に目をつむり、都合の良い正義のみを見てきた。
それが、傲慢であり、偽善でなくてなんと言うのか?
これまで最強の勇者だったため、たくさんの悪事や涙を飲んだ女性達の無念は断罪出来なかった。
だが、彼女はこの時のため、この断罪の時を待っていたのだろう。
「ち、違う! 僕はただ! 真の勇者に相応しい僕が万が一負ける訳にはいかないから!あの落ちこぼれのアルごときが真の勇者になるなんて許される訳がないんだ! 僕は優秀過ぎるが故に特別なんだ……決して、卑怯者なんかじゃ!」
「いい加減にせよ、レオン」
国王の低い声が響き渡る。そしてレオンの独白は間違いなく罪を自白したようなものだ。
もう、今のレオンの感覚は既に麻痺していたのだろう。ありえない魔力、ありえない才能を授かり、多くの国民から寄せられる信頼。次第に集まってくる権力を前にレオンは自分だけは何をしても許される存在なのだと思い込んでいた。
「それでは国王陛下――お願い申し上げます。私はこの国の王女として、わが兄様、第一王子レオンの然るべき処分をご注進いたします」
凛々しいとさえ言える顔を上げ、国王陛下へそうリナ王女は進言した。
「――第一王子レオンよ。お前がよりにもよって、英勇であるアル君を害そうとした事実。あまつさえ、王家の者として恥ずべき卑怯。誠に残念に思う。お前は長い間、この国を守護してくれた。だが、国民を裏切り、国を欺いたお前の罪を放置する訳にはいかない。お前の王位継承権をはく奪する」
その言葉にレオンは目を見開き、絶叫した。
「お……おおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
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