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第30話 イェスタの趣味の為にドラゴン退治
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エリスと仲直りした後、俺たちはケルンを目指す商隊に随伴した。
例の貴族のお嬢様もやっぱりついてきた。
馬車での旅だったが、お嬢様は相変わらず失礼な奴だった。
「お前ら仲がいいな」
アルベルティーナは俺とエリスを見て言う。
エリスは俺の横にちょこんと座っていた。
エリスはいつものように俺に甘えている。
「エリス、先日は済まなかった。まさかこのフツメンに彼女がおるとは思わんでな、わかるだろ?」
何がわかるんだ?
本当に失礼な奴だ。
「でも、分かって欲しい。お陰でクラス4のタレントを得られたんだ。それに私も我慢してたんだぞ!」
「アルベルティーナさん、酷くないですか? 俺の被害も考えて下さいよ」
「え? 私とキスするの嫌だったのか? 見ての通り私はかなり可愛いのだぞ。お主ごときに嫌だなどとは非常にショックだ」
自分で可愛いって言っちゃってるよ、この人。本当に疲れる人だ。
「そうじゃなくて、俺の彼女のエリスの前で、例え契約魔術の為とはいえ、俺がキスしたらエリスがどう思うか、考えてもみて下さい」
「あぁ、そうか! 私としたことが、すまんかった。エリス、私が、悪かった。だが、私だってファーストキスをこのフツメンにやってしまったんだぞ。私だって犠牲者なんだ。わかってくれ」
どうも、彼女はエリスには謝るつもりだが、俺には喧嘩を売るつもりらしい。
多分、悪意はないのだろうけど。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
馬車で5日も進んだところで、思いがけなく、ドラゴン討伐をする事になった。
きっかけは商人のおじさんの不用意な一言だった。
「ここからすぐ近くにドラゴンが住んでるんですよ。もう、かれこれ10年以上前から。怖いのですが、討伐してくれる冒険者もいないし、王都の騎士団もこんな辺境には来てくれなくて」
彼は軽率だった。まさかこの中に、ドラゴン討伐が三度の飯よりも好きな人間がいるとは思わなかったのだ。
そう、イェスタだ。
「レオン殿、放ってはおけない。ドラゴンがいる以上討伐しないと」
「イェスタ、10年も放ったらかしだったんだから、いまさら別にいいんじゃないか」
「いけません」
イェスタは遮るように言った。そこには絶対の覚悟があった。
「これは民の為にも、是非討伐しましょう」
イェスタの趣味だろうとわかってはいたが、俺は渋々引き受けることにした。
なにしろドラゴン討伐で得られる経験値は膨大だ。今はまだイェスタも虚数戦士のレベルは1なのだ。
レベリングした方がいいに決まってる。
イェスタはドラゴン討伐の達人なので他の人間は安全だと思い、アルベルティーナも連れて行った。
彼女にもレベリングが必要だろう。
ドラゴンの棲息地の近くまで馬車を向かわせてくれた商人は顔面蒼白になっていた。多分、これが普通の反応だろう。
馬車から降りて4人でドラゴンの元へ歩いて行く。少し探すと、ドラゴンの巣穴が見つかった。
岩陰に身を潜め、ドラゴンが巣穴から出てくるのを待った。流石に巣穴の中でドラゴンとはやり合いたくない。
「ち、小さい」
ドラゴンを見たイェスタの第一声だった。
彼はどうもドラゴンのサイズに不満がある様だ。体長が10m近くもあるというのに......
イェスタはホント、まともじゃない騎士だ。
俺はまず魔法を放つ事にした。ドラゴンとの距離は100m以上ある。
直ぐにこちらに気づくとは思うが、先手必勝だ。
力ある呪文の言葉を紡いでいく。
「暗黒よ! 闇よ! 負界の混沌より出でし、禁断の黒炎を呼び覚ませ!『エクスプロージョン!!!』」
ドラゴンを灼熱の爆炎が包みこむ。最近覚えた遠距離広範囲魔法だ。
爆発が収まり、炎が消えると、ドラゴンは跡形もなかった。
「ド、ドラゴン、何処へ?」
「レオン様の魔法で燃え尽きたんじゃないですか?」
エリスが事も無げに言う。
俺も段々自信がなくなってきた。
「イェスタ、どう思う?」
「どうもこうも、レオン殿、酷い!せっかくのドラゴンが、消し炭に! 楽しみにしてたのに~」
あ、イェスタ、とうとう、楽しみって言っちゃった。
結局、俺たちはこの周辺のドラゴンを3体討伐する事になった。
イェスタの趣味の為に......
俺達は十二分にレベルが上がった。
イェスタもアルベルティーナも虚数戦士のタレントがlv40に達した。
俺とエリスのタレントのレベルは遂にlv50に達した。
俺は
『タレント』
「虚数魔法使いLv50」
『ジョブ』
「戦士Lv99」
エリスは
『タレント』
「虚数戦士Lv50」
「良妻賢母」
『ジョブ』
「戦士Lv99」
アルベルティーナ
『タレント』
「虚数戦士Lv40」
「ウォーロックLv40」
『ジョブ』
「魔導士Lv99」
イェスタ
『タレント』
「虚数戦士Lv40」
「ルーンナイトLv76」
『ジョブ』
「聖騎士Lv99」
例の貴族のお嬢様もやっぱりついてきた。
馬車での旅だったが、お嬢様は相変わらず失礼な奴だった。
「お前ら仲がいいな」
アルベルティーナは俺とエリスを見て言う。
エリスは俺の横にちょこんと座っていた。
エリスはいつものように俺に甘えている。
「エリス、先日は済まなかった。まさかこのフツメンに彼女がおるとは思わんでな、わかるだろ?」
何がわかるんだ?
本当に失礼な奴だ。
「でも、分かって欲しい。お陰でクラス4のタレントを得られたんだ。それに私も我慢してたんだぞ!」
「アルベルティーナさん、酷くないですか? 俺の被害も考えて下さいよ」
「え? 私とキスするの嫌だったのか? 見ての通り私はかなり可愛いのだぞ。お主ごときに嫌だなどとは非常にショックだ」
自分で可愛いって言っちゃってるよ、この人。本当に疲れる人だ。
「そうじゃなくて、俺の彼女のエリスの前で、例え契約魔術の為とはいえ、俺がキスしたらエリスがどう思うか、考えてもみて下さい」
「あぁ、そうか! 私としたことが、すまんかった。エリス、私が、悪かった。だが、私だってファーストキスをこのフツメンにやってしまったんだぞ。私だって犠牲者なんだ。わかってくれ」
どうも、彼女はエリスには謝るつもりだが、俺には喧嘩を売るつもりらしい。
多分、悪意はないのだろうけど。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
馬車で5日も進んだところで、思いがけなく、ドラゴン討伐をする事になった。
きっかけは商人のおじさんの不用意な一言だった。
「ここからすぐ近くにドラゴンが住んでるんですよ。もう、かれこれ10年以上前から。怖いのですが、討伐してくれる冒険者もいないし、王都の騎士団もこんな辺境には来てくれなくて」
彼は軽率だった。まさかこの中に、ドラゴン討伐が三度の飯よりも好きな人間がいるとは思わなかったのだ。
そう、イェスタだ。
「レオン殿、放ってはおけない。ドラゴンがいる以上討伐しないと」
「イェスタ、10年も放ったらかしだったんだから、いまさら別にいいんじゃないか」
「いけません」
イェスタは遮るように言った。そこには絶対の覚悟があった。
「これは民の為にも、是非討伐しましょう」
イェスタの趣味だろうとわかってはいたが、俺は渋々引き受けることにした。
なにしろドラゴン討伐で得られる経験値は膨大だ。今はまだイェスタも虚数戦士のレベルは1なのだ。
レベリングした方がいいに決まってる。
イェスタはドラゴン討伐の達人なので他の人間は安全だと思い、アルベルティーナも連れて行った。
彼女にもレベリングが必要だろう。
ドラゴンの棲息地の近くまで馬車を向かわせてくれた商人は顔面蒼白になっていた。多分、これが普通の反応だろう。
馬車から降りて4人でドラゴンの元へ歩いて行く。少し探すと、ドラゴンの巣穴が見つかった。
岩陰に身を潜め、ドラゴンが巣穴から出てくるのを待った。流石に巣穴の中でドラゴンとはやり合いたくない。
「ち、小さい」
ドラゴンを見たイェスタの第一声だった。
彼はどうもドラゴンのサイズに不満がある様だ。体長が10m近くもあるというのに......
イェスタはホント、まともじゃない騎士だ。
俺はまず魔法を放つ事にした。ドラゴンとの距離は100m以上ある。
直ぐにこちらに気づくとは思うが、先手必勝だ。
力ある呪文の言葉を紡いでいく。
「暗黒よ! 闇よ! 負界の混沌より出でし、禁断の黒炎を呼び覚ませ!『エクスプロージョン!!!』」
ドラゴンを灼熱の爆炎が包みこむ。最近覚えた遠距離広範囲魔法だ。
爆発が収まり、炎が消えると、ドラゴンは跡形もなかった。
「ド、ドラゴン、何処へ?」
「レオン様の魔法で燃え尽きたんじゃないですか?」
エリスが事も無げに言う。
俺も段々自信がなくなってきた。
「イェスタ、どう思う?」
「どうもこうも、レオン殿、酷い!せっかくのドラゴンが、消し炭に! 楽しみにしてたのに~」
あ、イェスタ、とうとう、楽しみって言っちゃった。
結局、俺たちはこの周辺のドラゴンを3体討伐する事になった。
イェスタの趣味の為に......
俺達は十二分にレベルが上がった。
イェスタもアルベルティーナも虚数戦士のタレントがlv40に達した。
俺とエリスのタレントのレベルは遂にlv50に達した。
俺は
『タレント』
「虚数魔法使いLv50」
『ジョブ』
「戦士Lv99」
エリスは
『タレント』
「虚数戦士Lv50」
「良妻賢母」
『ジョブ』
「戦士Lv99」
アルベルティーナ
『タレント』
「虚数戦士Lv40」
「ウォーロックLv40」
『ジョブ』
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イェスタ
『タレント』
「虚数戦士Lv40」
「ルーンナイトLv76」
『ジョブ』
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