52 / 62
第52話 アリシアとベアトリスの手紙
しおりを挟む
二人を弔った後、マリアが俺に渡してくれたものがあった。
アリシアとベアトリスからの手紙だった。
アリシアとベアトリスの最後の2時間、マリアさんとアルベルティーナが、二人と話した。
そして、二人から手紙を預かってきた。
俺は自室で、二人の手紙を読んだ。まず、アリシアからの手紙だった。
『レオンへ。こんな私を助けようとしてくれてありがとう
本当に嬉しかった。こんな私の為に涙を流してくれて
多分、誰も私の為に涙を流してなんてくれない。あなただけが涙を流してくれた
もしかしたら、両親も、こんなみだらで、罪深い娘、恥じるだけかもしれない
私は死んで当然な女です。あなたが赦してくれても私が自分を許せない
どうしてあんな事をしたのか?
どうしてあんな事を思ったのか?
今はわかりません
そのくせ、鮮明にあなたを害した時の気持ちが残ってるんです
本当に自分の考えだったのか?
でも、間違いなく、自分が思った事なんです
あなたと過ごした故郷の記憶はとても楽しい、良い思い出でした
あなたが私に告白してくれた時、本当に嬉しかった
今思えば、あの時が人生で一番幸せな時だったと思うの
ほんとうに嬉しくて
本当なの
だって他に思い出せない
お父さんにおねだりした熊のぬいぐるみをもらったときよりも
勇者パーティに選抜された時よりも
一番嬉しかったのは、レオンが告白してくれた時
初めてキスしてくれた時も、あの時も百夢花が咲いていた
本当に嬉しかったです
レオンは優しい。こんな私を赦してくれた。そして涙を流してくれた
どうして私はレオンを裏切ったのだろう?
どうして私はレオンを傷つけても平気だったのだろう?
今はこんな私を赦してくれたことに感謝しています
でもね、レオンは優しい
レオンが私のことをいつまでも覚えているんじゃないかって心配です
レオンは優しいから
私の事は忘れてください
私はこれから罪を償って死ぬ女
私はレオンを裏切った女
私のことは忘れて
レオンが百夢花の下で告白した子なんていなかったの
地獄に行くような女はいなかったの
レオンを裏切った最低な女なんていなかったの
最後にごめんなさい
こんな酷い幼馴染で
ごめんなさい
こんな酷い婚約者で
ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい
いくら謝っても罪は消えないことはわかっているけど
それでも何度もいいたい
もし、私のことを赦してくれるんなら
もし、ほんの少しでも私のこと思ってくれるなら
私のことは忘れてください
たくさんの思い出をありがとう。レオン』
☆☆☆
ベアトリスの手紙の封を切った。ベアトリス、俺の妹、俺を愛した妹。
『お兄ちゃんへ。今から思えば、何故お兄ちゃんを恨んだのかが、わかりません
お兄ちゃんは、いつも優しかった。何をしても、私が泣きそうになると、お兄ちゃんが謝ってくれた
私はお兄ちゃんを愛してました。今も大好きです。もう、言っちゃったから、告白します
気持ち悪い妹と思うかもしれません。でも、本当に大好きなんです
お兄ちゃんとずっと一緒にいたかった
お兄ちゃんがあんまりカッコイイから好きでした
お兄ちゃんはどんどんカッコよくなるんだろな、それをずっと見ていたかった
大好きです。お兄ちゃん
愛してます。お兄ちゃん
なのに、私は何故、お兄ちゃんが、あんなに憎かったんだろう?
何故お兄ちゃんを裏切ったのだろう?
エリアスは私を物としか見てなかった。それがわかった時、
自分がどれだけ馬鹿だったのかがよく、わかりました
私の命を助けようとしてくれたのはお兄ちゃんだけだった
私を大事にしてくれたのはいつもお兄ちゃんだった
アリシアお姉ちゃんの次にしか、大事にしてくれないのは悔しいけど、仕方ないです
私は妹なんだから、
お母さんとお父さんには秘密にしておいてください
お兄ちゃんを裏切った事は多分、もう知られてしまっている
もう、私はお母さんとお父さんに顔向けができない
私の事はお母さんとお父さんにありのまま話してください
私はお兄ちゃんに許してもらえたら、それで、いい
こんな馬鹿で、酷い妹でごめんなさい
たくさん、嫌な事や酷い事してごめんなさい
たくさん、お兄ちゃんを傷つけてごめんなさい
たくさんの人を殺めてしまってごめんなさい
でも、お兄ちゃんが許してくれたから、潔く、逝けます
なんてね。本当は違います
お兄ちゃん、死にたくないよ
お兄ちゃんの元に帰りたい
お兄ちゃん、怖いよう
またお兄ちゃんに頭を撫でてほしいよ
またお兄ちゃんから誕生日プレゼントをもらいたいよ
ほんとにダメな妹
だからね。ベアトリスのことは忘れてね
お兄ちゃんに妹なんていなかった
お兄ちゃんはエリスさんと幸せな人生を送る
お兄ちゃんはカッコイイ、ダメな妹なんてふさわしくない
最後にこれだけ言わせて
ありがとう。愛してます』
手紙には涙の跡があった。アリシアとベアトリスのものだろう。
俺は涙が止まらなかった。俺の頬には涙が伝い、鼻がぐしゃぐしゃになっている。
『忘れるものか...アリシアとベアトリスが魂だけになっても...二度と会えなくても...アリシアとベアトリスは俺を裏切ってなんていなかった。忘れない。死ぬまで忘れない。俺には幼馴染の婚約者といつも俺を慕って来る可愛い妹がいた。忘れるものか。俺は忘れない。決して忘れない。忘れないから。アリシアに好きって告白したことも、ベアトリスが拗ねて怒った時に謝って頭を撫でてやった時のことも...決して、決して』
「絶対! 忘れるものかぁあああああああああああ!!!!!」
俺の声が自室に響き渡った。
アリシアとベアトリスからの手紙だった。
アリシアとベアトリスの最後の2時間、マリアさんとアルベルティーナが、二人と話した。
そして、二人から手紙を預かってきた。
俺は自室で、二人の手紙を読んだ。まず、アリシアからの手紙だった。
『レオンへ。こんな私を助けようとしてくれてありがとう
本当に嬉しかった。こんな私の為に涙を流してくれて
多分、誰も私の為に涙を流してなんてくれない。あなただけが涙を流してくれた
もしかしたら、両親も、こんなみだらで、罪深い娘、恥じるだけかもしれない
私は死んで当然な女です。あなたが赦してくれても私が自分を許せない
どうしてあんな事をしたのか?
どうしてあんな事を思ったのか?
今はわかりません
そのくせ、鮮明にあなたを害した時の気持ちが残ってるんです
本当に自分の考えだったのか?
でも、間違いなく、自分が思った事なんです
あなたと過ごした故郷の記憶はとても楽しい、良い思い出でした
あなたが私に告白してくれた時、本当に嬉しかった
今思えば、あの時が人生で一番幸せな時だったと思うの
ほんとうに嬉しくて
本当なの
だって他に思い出せない
お父さんにおねだりした熊のぬいぐるみをもらったときよりも
勇者パーティに選抜された時よりも
一番嬉しかったのは、レオンが告白してくれた時
初めてキスしてくれた時も、あの時も百夢花が咲いていた
本当に嬉しかったです
レオンは優しい。こんな私を赦してくれた。そして涙を流してくれた
どうして私はレオンを裏切ったのだろう?
どうして私はレオンを傷つけても平気だったのだろう?
今はこんな私を赦してくれたことに感謝しています
でもね、レオンは優しい
レオンが私のことをいつまでも覚えているんじゃないかって心配です
レオンは優しいから
私の事は忘れてください
私はこれから罪を償って死ぬ女
私はレオンを裏切った女
私のことは忘れて
レオンが百夢花の下で告白した子なんていなかったの
地獄に行くような女はいなかったの
レオンを裏切った最低な女なんていなかったの
最後にごめんなさい
こんな酷い幼馴染で
ごめんなさい
こんな酷い婚約者で
ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい
いくら謝っても罪は消えないことはわかっているけど
それでも何度もいいたい
もし、私のことを赦してくれるんなら
もし、ほんの少しでも私のこと思ってくれるなら
私のことは忘れてください
たくさんの思い出をありがとう。レオン』
☆☆☆
ベアトリスの手紙の封を切った。ベアトリス、俺の妹、俺を愛した妹。
『お兄ちゃんへ。今から思えば、何故お兄ちゃんを恨んだのかが、わかりません
お兄ちゃんは、いつも優しかった。何をしても、私が泣きそうになると、お兄ちゃんが謝ってくれた
私はお兄ちゃんを愛してました。今も大好きです。もう、言っちゃったから、告白します
気持ち悪い妹と思うかもしれません。でも、本当に大好きなんです
お兄ちゃんとずっと一緒にいたかった
お兄ちゃんがあんまりカッコイイから好きでした
お兄ちゃんはどんどんカッコよくなるんだろな、それをずっと見ていたかった
大好きです。お兄ちゃん
愛してます。お兄ちゃん
なのに、私は何故、お兄ちゃんが、あんなに憎かったんだろう?
何故お兄ちゃんを裏切ったのだろう?
エリアスは私を物としか見てなかった。それがわかった時、
自分がどれだけ馬鹿だったのかがよく、わかりました
私の命を助けようとしてくれたのはお兄ちゃんだけだった
私を大事にしてくれたのはいつもお兄ちゃんだった
アリシアお姉ちゃんの次にしか、大事にしてくれないのは悔しいけど、仕方ないです
私は妹なんだから、
お母さんとお父さんには秘密にしておいてください
お兄ちゃんを裏切った事は多分、もう知られてしまっている
もう、私はお母さんとお父さんに顔向けができない
私の事はお母さんとお父さんにありのまま話してください
私はお兄ちゃんに許してもらえたら、それで、いい
こんな馬鹿で、酷い妹でごめんなさい
たくさん、嫌な事や酷い事してごめんなさい
たくさん、お兄ちゃんを傷つけてごめんなさい
たくさんの人を殺めてしまってごめんなさい
でも、お兄ちゃんが許してくれたから、潔く、逝けます
なんてね。本当は違います
お兄ちゃん、死にたくないよ
お兄ちゃんの元に帰りたい
お兄ちゃん、怖いよう
またお兄ちゃんに頭を撫でてほしいよ
またお兄ちゃんから誕生日プレゼントをもらいたいよ
ほんとにダメな妹
だからね。ベアトリスのことは忘れてね
お兄ちゃんに妹なんていなかった
お兄ちゃんはエリスさんと幸せな人生を送る
お兄ちゃんはカッコイイ、ダメな妹なんてふさわしくない
最後にこれだけ言わせて
ありがとう。愛してます』
手紙には涙の跡があった。アリシアとベアトリスのものだろう。
俺は涙が止まらなかった。俺の頬には涙が伝い、鼻がぐしゃぐしゃになっている。
『忘れるものか...アリシアとベアトリスが魂だけになっても...二度と会えなくても...アリシアとベアトリスは俺を裏切ってなんていなかった。忘れない。死ぬまで忘れない。俺には幼馴染の婚約者といつも俺を慕って来る可愛い妹がいた。忘れるものか。俺は忘れない。決して忘れない。忘れないから。アリシアに好きって告白したことも、ベアトリスが拗ねて怒った時に謝って頭を撫でてやった時のことも...決して、決して』
「絶対! 忘れるものかぁあああああああああああ!!!!!」
俺の声が自室に響き渡った。
1
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
消息不明になった姉の財産を管理しろと言われたけど意味がわかりません
紫楼
ファンタジー
母に先立たれ、木造アパートで一人暮らして大学生の俺。
なぁんにも良い事ないなってくらいの地味な暮らしをしている。
さて、大学に向かうかって玄関開けたら、秘書って感じのスーツ姿のお姉さんが立っていた。
そこから俺の不思議な日々が始まる。
姉ちゃん・・・、あんた一体何者なんだ。
なんちゃってファンタジー、現実世界の法や常識は無視しちゃってます。
十年くらい前から頭にあったおバカ設定なので昇華させてください。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる