6 / 85
5
しおりを挟む
「龍一が海外で出会った優秀な探偵らしい。だから、改めて調べたいんだと……、お前だって知りたいだろう?母親の失踪だ」
「それは……、そうだけど……」
「じゃあ、頼んだぞ!」
紅砂は踵を返した。
「ちょっと、待ってよ!その探偵って、俺、見たこともないぞ!どんな人だ?」
「僕も知らないよ。向こうが分かるんじゃない?優秀らしいから」
蘭武は呆れた。なんていい加減な兄なんだ。
じゃあね、と言って再度、立ち去ろうとする紅砂を蘭武はまたもや呼び止めた。
「ところで、兄さんは何で途中で帰るの?」
すると目の前に、新聞紙の棍棒がぬっと現れた。
もわ~~、と魚臭いにおいが鼻を刺激する。
「来る途中、漁師をやっている山内さんに会ってもらった鰤。どうせだから、客人に出そうと思ってさ。僕は先に帰って、夕食の準備をしてるよ。それじゃあ、よろしくね」
軽く手を振り、紅砂は帰っていった。
落日が、去ってゆく兄と道を、朱色に染めている。
あの人は、夕焼けの緋色がよく似合う……。
夕日――。
それは終焉を意味するのか?
それとも、始まりを意味するのか?
兄の消えゆく道は、どちらの道なのだろう。
蘭武は、朱に染まった道を歩いて行く兄の後ろ姿に、ただ呆然と見送り続けていた。
「それは……、そうだけど……」
「じゃあ、頼んだぞ!」
紅砂は踵を返した。
「ちょっと、待ってよ!その探偵って、俺、見たこともないぞ!どんな人だ?」
「僕も知らないよ。向こうが分かるんじゃない?優秀らしいから」
蘭武は呆れた。なんていい加減な兄なんだ。
じゃあね、と言って再度、立ち去ろうとする紅砂を蘭武はまたもや呼び止めた。
「ところで、兄さんは何で途中で帰るの?」
すると目の前に、新聞紙の棍棒がぬっと現れた。
もわ~~、と魚臭いにおいが鼻を刺激する。
「来る途中、漁師をやっている山内さんに会ってもらった鰤。どうせだから、客人に出そうと思ってさ。僕は先に帰って、夕食の準備をしてるよ。それじゃあ、よろしくね」
軽く手を振り、紅砂は帰っていった。
落日が、去ってゆく兄と道を、朱色に染めている。
あの人は、夕焼けの緋色がよく似合う……。
夕日――。
それは終焉を意味するのか?
それとも、始まりを意味するのか?
兄の消えゆく道は、どちらの道なのだろう。
蘭武は、朱に染まった道を歩いて行く兄の後ろ姿に、ただ呆然と見送り続けていた。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる