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三人は徒歩で羅遠家へと向かった。
四鵬はタクシーを使って帰ることを主張したが、蘭武がずぶ濡れの瀬菜を見て、タクシーはまずいと却下したのだ。
四鵬は道中ずっと不貞腐れた顔で、「お前のせいで、歩きかよ~、濡らすのは股だけにしておけ」などと瀬菜に向かって下品なことを口走っていた。
(そもそも、濡れた原因は、あんただっつーの!!)
瀬菜は後ろから頭をカチ割ってやりたくなったが我慢した。いつか仕返しをしてやる、と指を鳴らして心に誓う。
四鵬のことはさて置き、帰来島の羅遠家までの道行きは、今までに無い不思議な感覚がした。これが、パンフレットに書いてあった郷愁というやつなのだろうか?
瀬菜はずっと都会で産まれ育ったせいで、故郷を懐かしむ……という感覚が分からない。
羅遠家に近づく度に、辺りの街灯は姿を消した。未だ舗装もされていない道路脇の植物達は、自然のままの姿で鬱蒼と茂っている。そのせいか闇が益々濃くなって、蛙や虫達の声が忙しなく啼いていた。
街灯が見えなくなってから暫くは、辺りの暗さを感じたが、さらに進むうちに、意外と夜が明るいことに気づく。空の星は、都会と比べて驚くほど多く見え、月明かりがとても印象的だった。瀬菜は上空を仰ぎながら不思議な広がりを感じた。ビールをぶら下げて家に帰るだけの夜では感じられない世界がそこにはあった。
ススキの穂が風でざわめく音がする。湿り気を含んだ、なんともいえない不思議な風が通り過ぎた。だが、それは妙に泥臭く、気味の悪い風だった。
すると、右斜め上空、丁度田んぼの中央に、一瞬だが、全裸の女が通り過ぎたような気がした。瀬菜は眉根を寄せた。
(――女?田んぼの?ど真ん中の?上空に??しかも全裸!!)
「うぎゃぁぁぁぁーーー!」
瀬菜は思わず悲鳴をあげた。
前方を歩く二人は瀬菜の声に驚いて振り向く。四鵬は、「うるせえ奴だな、なんだ?」と文句を言い出した。
「いや、あの……、あの……、さっき田んぼの真ん中に全裸の女が浮かんでたの!何あれ!幽霊?ここって、幽霊出るの?私、初めて見たんだけどーー!」
と、怯えながらもどこか好奇心の含んだ声で瀬菜は説明した。
蘭武はそれを聞いて、
「いや、そんな話、聞いたこともないな……。俺は毎日此処を歩いているけど、おかしな事もない。だけど、確かに今、妙な感じがしたな」
蘭武も見はしなかったが、何かを感じたらしい。
「魔風か……」
と、四鵬が呟く。
「魔風?」
瀬菜が聞き返すと蘭武がそれを引き継いだ。
「精霊風っていったほうが、イメージ沸きやすいかな?」
「どんな言い方をしても、私には馴染みがないけどぉ、この辺では一般的なの?」
「そんな事はないけど、子供の頃、死んだ爺さんが、よくそういう話をしたのさ。風というのは神霊の乗り物で、神が乗った風を神風。原因不明のものを、魔風と呼ぶ。大抵、神以外が乗るとしたら、それは妖怪だ。または、長崎県の五島では盆の16日の朝に吹く風を ”魔風” とよび、その風に当たると病気になったりすると云われていたそうだ」
「ふ~ん……、そう言われてみれば、風に乗ってふわり~って感じだったかなあ?」
瀬菜が先ほどの幽霊を思い出し、納得した。
「いや、でも、あの女の人は綺麗だったけど、神様って感じじゃないわね~、風の雰囲気も、こう……じめっとして、陰気で気味の悪い風よね~、やっぱ妖怪?」
「気味が悪いからと言って妖怪と決め付けるのもなあ、そもそも妖怪というのは神が零落としたものだったりする。神の定義が現在と過去で開きがあるせいか、昔ながらの神のほとんどが妖怪呼ばわりされている。でも、まあ、さっきの雰囲気は確かに ”魔風” と言っていいかもしれないけど……」
と蘭武が続けた。どうやら蘭武も気味の悪さを感じていたらしい。
瀬菜は、ふ~ん、と納得しながら、ふと、四鵬に視線を向けた。
四鵬は、先ほどの ”魔風” が吹いて行った、遥か彼方を見つめていた。瀬菜も視線の先を追って、遥か彼方にうっすらと見える山の頂上付近を見つめた。やっぱり、白い女が揺らいでいる。
「あ!さっきの幽霊!あんたも見えるの?」
瀬菜が訊いてみると、蘭武が、どこ?、と言って身を乗り出してきた。あそこ!あそこ!と指を差しても、蘭武は、どこ?と聞き返すばかりだ。どうやら蘭武には見えないらしい。
「ねえ、四鵬、あんたも見えるわよね」
瀬菜がもう一度、聞き返してみたが、四鵬は真剣な眼差しで黙り込んだまま、ふい、と先に行ってしまった。この男、チャラチャラして軽薄な男かと思えば、時折別の顔が見え隠れする。
「なんだか調子狂うじゃないの」
瀬菜は呟き、三人は暗い夜道を羅遠家へと向かった。
卯月は突如帰ってきた紅砂の姿に大層慌てた。
紅砂が帰って来たということは、お客様も既にやってきたことになる。夕食の準備はまだだった。
「お、お帰りなさい。ごめんなさい、まだ夕食の準備が……」
卯月が恐る恐る玄関先で言うと、紅砂は、「大丈夫、客はまだだから……」と言って卯月を安堵させた。
「お客様が来るのは今日ではなかったのですか?」
「いや、今日だけど、途中で蘭武に会ってね。あの子に任せた。それよりこれ」
紅砂は持っていた新聞紙の包みを差し出した。
「山内さんからもらった鰤。この辺じゃ珍しいだろ?これも夕食に加えようと思って……」
卯月は新聞紙の大きさを見ながら困ったように、
「はあ……、でもちょっと量が多くなりそうですね……」
と言った。紅砂は履いていた草履を脱ぎながら、「大丈夫でしょ。今夜は人数が思ったより多くなりそうだから、丁度いいよ」と言って、家に上がるなり卯月を追い越し、先に廊下を歩いていく。卯月は紅砂の後につきながら素朴な質問をした。
「他にもお客様がお見えになるのですか?」
「いや、そんな予定はないけど……」
と紅砂は訳の分からないことを言った。予定はないが、多くなる……?紅砂が卯月の理解の範疇を超えて、何かを言うことは珍しいことではないので、あっさりと聞き流した。
二人は、炊事場に入り、紅砂が、
「さ、夕食の準備でもしますか」
と、声をかけ、卯月が、
「はい」
と言って、二人は夕食の支度を始めた。
紅砂は包丁を取り出し、鰤をさばきだした。相変わらず手際がいい。
卯月は関心しながら、煮物の準備に取りかかる。が、紅砂を見ていて、注意がそれていたのだろう。
「痛っ!」
卯月は握っていた包丁を置いて、慌てて左手を押さえた。人差し指からゆっくりと生暖かい液体が滴っていく。卯月は焦った。
(しまった――血だ!)
脳内の血液が焦りで一気に引いていくのが分かる。心臓は脳に早急な血液の運搬を行い、適切な判断が出来るよう激しく鼓動を打ち鳴らした。だが、脳の働きは卯月が願う方向とは、真逆に作用した。次第に腹腔から熱いものが込み上げてくる。
(いけない!――このままじゃ……)
卯月にとって、血は禁忌だった。
少女時代、森の中で傷を負ったときの記憶が否が応でも蘇ってくる。血は彼女にとって、押さえきれない欲情を意味する。
全ては9歳のときに体験した、何者かによる血液の吸飲だ。その時に感じた快楽は、今でも忘れることができない。血は、あの時の感覚を呼び覚ます引き金となっていた。
(まずい、血を見ないようにして、早く止めなきゃ……)
血が流れ出す度に、止められない欲情が溢れ出す。
両足の間から、愛液がじわりと溢れたのを感じた。卯月はちらりと紅砂の様子を見た。紅砂が包丁を置いてこちらに来る。
はしたない自分を見透かされないよう、卯月は背を向けた。だが、傍らから紅砂の腕が伸び、卯月の左手を掴んだ。
卯月の心臓は跳ね上がった。
傍らに立った紅砂は、卯月の傷口を見ている。
ドクン…、ドクン…、心臓の音が激しく、熱い。
紅砂は、握った卯月の左手を形の良い唇にゆっくりと持っていく。
卯月の心臓は高鳴った。やめて…、と言う声は、喉に張り付き、出す事が出来なかった。
(だめ……、吸われたら……、私……)
卯月は熱い吐息を溢し、瞼をきつく閉じた。顔を伏せ、なるべく紅砂から離れるように体を逆方向に向ける。
「大丈夫だ、傷口は浅いよ」
その言葉で卯月は正気に戻った。紅砂は、ティッシュで傷口を押さえた。
「ここ、自分で押さえてて、薬箱を取ってくる」
「は、はい」
卯月は一気に緊張の糸がほぐれた。心臓の音は、未だ鼓膜の中で大きな音を立てていた。
(そうよ、通常、ケガをしたからといって、他人の血を舐めたりなんかしない。なんて妄想してるのよ。私ったら……)
血が出ただけで、異常な反応を示す自分の体に嫌気が差した。
溜息を深く付き、自己嫌悪に浸っていると、紅砂が薬箱を手に戻ってきた。慣れた手つきであっという間に手当てを済ませる。
「有難う御座います」
紅砂の顔を見ることが出来ない。
「気をつけて」
はい、と返事をし、二人はまた何事もなく夕食の準備に取りかかった。
午後7時30分。
辺りは随分と暗くなり、静かな夜を迎えていた。夕食の準備は当に終わり。魚介中心の豪華な料理が20畳ほどの和室テーブルの上に並んでいる。
フェリーが港に着くのは、午後6時30分頃のはずだ。卯月は、ちらりと時計に目をやる。そこから、タクシーで向かえば15分ほどで家に着くはずだ。
「遅いですね、何かあったのかしら?」
と、言っている間に玄関の戸が開く音がした。卯月と紅砂は早速、出迎えに行った。
「おかえりなさい」
と、小走りにスリッパの音をパタパタさせながら、卯月は蘭武に声をかけた。続いて、背後にいる女性に、「いらっしゃいませ」と声をかけ、最後におずおずと玄関の引き戸を閉めながら入ってきた長身の男を見て驚いた。
「四鵬!」
「ども……」
と、軽く首だけを突き出した、なんとも無愛想な挨拶の仕方だった。照れ臭さを隠しているような素振りでもある。
卯月はそんな四鵬を見て、驚いた顔を直ぐに笑顔に変え、「おかえりなさい」と優しく迎え入れた。
四鵬は温かい笑顔の彼女を見て、「うん」とだけ頷いた。
借りてきた猫のように大人しい。
その横で瀬菜が目を剥いていた。
(なんか、私に対する態度と全然違う!)
四鵬に散々な目に遭わされた瀬菜にとっては、見ているだけで腹立たしかった。
瀬菜は恨みがましく四鵬を睨んだ。四鵬も瀬菜を睨み返す。二人が無言で火花を散らしていると、奥から紅砂がやってきた。
「遠路はるばるようこそ。お疲れになったでしょう」
と瀬菜を迎えた。
瀬菜は紅砂に視線を移し、網膜に飛び込んできた彼の美貌で、本日3度目の絶句を繰り返した。ーーと同時に左右から両腕をがっちり掴まれる。蘭武と四鵬だ。
「ちょっとーー、これは何かしら?囚われたエイリアンみたいな扱いはやめてくれない?」
「お前のためだ」
と小声で四鵬。
「何で、これが私のため?!」
瀬菜が抗議すると、四鵬は顎で蘭武の方をしゃくった。瀬名がゆっくり蘭武を見ると、非常に怖い顔で此方を睨んでいる。これは大人しくしておいたほうが無難らしい。
それにしても、どうして、こんな扱いに……?
瀬菜の悪癖対策であろうが、納得がいかなかった。
紅砂は瀬菜の全身を上から下まで、くまなく見て、眉を寄せると、
「季節外れの海水浴でもなさったのですか?」
と訊いた。彼女の服と塩臭さからの推測であろうが、こんな時間、こんな季節に服のまま海水浴なんかするわけがないだろう!と、少々、腹を立てながら、
「これは、あなたの末の弟さんに、船から海に突き落とされましたがぁ~」
と、四鵬に向かって言ってやった。
この話に尽かさず反応したのは蘭武だった。四鵬に、
「お前は、なんだってそんなことを……」
と、睨みを利かせた。
紅砂はというと、深く頭を下げ、
「それは申し訳ないことをしました。まずは私の方からお詫び致します」
「いえいえ、あなたに謝られても仕方ないです、問題はこちらぁ~。何の理由があったか知りたいところですがぁ~、それは、おいおい調べるとして、此方からの誠心誠意、心を込めた謝罪が欲しいとこですわねえ~」
と、意地悪く四鵬に向かって言った。
四鵬はそっぽ向いている。
蘭武が小声で、なんか言え!、と促したが、馬の耳に念仏、四鵬は宙を仰いでしらばっくれたままだ。
紅砂もそんな四鵬の姿に深く溜息を付き、
「とりあえず、先に入浴でも済ませてください。いつまでもその格好では風邪を引きますよ」
と言った。
「そうですね、そうさせて頂けますか」
と瀬菜は頭を下げ、ふと、何かを思いついた。
「あ、そうだ!彼からの詫びが無いようなので、罰としてお風呂に彼もつけて下さい!」
「はぁ~?!」
と、言って、目を白黒させたのは四鵬だ。皆も驚いている。瀬菜の言ってる意味が分からないのだ。一同、静まり返ったところに瀬菜が咳払いを一つして、説明を始めた。
「いや、あの……、誤解してもらうと困りますので、一応言って措きますが、いやらしい気持ちはないんですよ!そういうものとは違いますからね!」
「じゃあ、何だって言うんだ?!」
抗議したのは四鵬だ。自身のこれからの運命だから、当然といえば当然だ。
瀬菜は四鵬を無視して続けた。
「私は探偵をやって生活してますが、実はもう一つ、彫刻家としての顔も持っているんです。そこで!私は常に美への探究心から、この手で直接触って、芸術的な美を記憶する。鍛え抜かれた武道家の筋肉は素晴らしい!しかも彼は、芸能人!ですから是非とも、この手に記憶させて頂きたいと思いまして、決して疚しい気持ちはないんですよ!間違っても、”痴女”!!では、ありませんから、”痴女” では! たまにおかしな行動を取るかと思いますが、そこのところよく覚えておいてくださいね!」
瀬菜は四鵬を睨みながら、”痴女”のところを強調した。先ほど、港で四鵬にそう言われたことが答えたらしい。
四鵬は嫌そうな顔をしながら、
「それにしたって、お前は変だぞ」
と、言った。
「まあ……いいんじゃないか四鵬、そちらがそうしたいと言うのなら……」
紅砂がのんびりと言った。ばっちり他人事だ。もちろん、四鵬は、
「いい訳ないだろーー!お前は人事だと思ってーー!」
と、喚くのもつかの間、背後からゴツン!と蘭武の拳骨が飛ぶ。
「兄である当主に向かって、お前とはなんだ!!」
四鵬は振り向き、顔をしかめた。
「うっせーな!俺は端からこいつを当主とも兄とも思ってねーよ!」
四鵬の言葉に、一同、落ちてはいけない沈黙が落ちた。
流石の四鵬も気まずい雰囲気を一身に浴びて、言った事をちょっぴり後悔した。以外と、この中で一番気にしないのが言われた当人である紅砂らしい。何事もなかったように四鵬に話かける。
「それにしても、船から海に突き落としたか……、とんでもない話だな。四鵬は、彼女の出した条件を呑む呑まないにしても、彼女に侘びを入れ、自分が行ったことの理由をしっかり話すことだな。それが筋ってもんだろ?」
そう言って、真っ直ぐ四鵬を見つめた。
怒りもなく、相手を攻める感じでもなかった。全員が次の四鵬の行動を見守った。
四鵬は――。
「嫌だね」
出した答えはこれだった。
紅砂が長い溜息をついた。
「困ったな、嫌か……、それじゃあ、お詫びに僕で良ければ替わりに風呂でも……」
と言いかけた所に蘭武が、「「却下ーーーー!」」と怒鳴った。横に居た瀬菜と四鵬がひっくり返りそうな勢いだ。そして、四鵬の頭を思いっきりぶん殴って、
「お前は、自分で自分の尻拭いも出来ないのか!なんで、お前のした事で兄さんが犠牲にならなきゃいけない!お前が行け!お前が!」
と言って、更に尻っぺたを蹴り上げ、首根っこを猫のように掴み、瀬菜に差し出した。
「どうぞ、こいつを煮て食うなり焼いて食うなり好きにしてくれ。俺が許す!!」
四鵬は手をばたつかせて、「お前にそんな権限はねーだろ!」と文句を言っていたが、蘭武に睨まれると大人しくなった。そういえば、子供の頃から大層、苛められていたと言っていたっけ。幼い頃に刷り込まれた上下関係は、そう容易く崩れないらしい。
四鵬はタクシーを使って帰ることを主張したが、蘭武がずぶ濡れの瀬菜を見て、タクシーはまずいと却下したのだ。
四鵬は道中ずっと不貞腐れた顔で、「お前のせいで、歩きかよ~、濡らすのは股だけにしておけ」などと瀬菜に向かって下品なことを口走っていた。
(そもそも、濡れた原因は、あんただっつーの!!)
瀬菜は後ろから頭をカチ割ってやりたくなったが我慢した。いつか仕返しをしてやる、と指を鳴らして心に誓う。
四鵬のことはさて置き、帰来島の羅遠家までの道行きは、今までに無い不思議な感覚がした。これが、パンフレットに書いてあった郷愁というやつなのだろうか?
瀬菜はずっと都会で産まれ育ったせいで、故郷を懐かしむ……という感覚が分からない。
羅遠家に近づく度に、辺りの街灯は姿を消した。未だ舗装もされていない道路脇の植物達は、自然のままの姿で鬱蒼と茂っている。そのせいか闇が益々濃くなって、蛙や虫達の声が忙しなく啼いていた。
街灯が見えなくなってから暫くは、辺りの暗さを感じたが、さらに進むうちに、意外と夜が明るいことに気づく。空の星は、都会と比べて驚くほど多く見え、月明かりがとても印象的だった。瀬菜は上空を仰ぎながら不思議な広がりを感じた。ビールをぶら下げて家に帰るだけの夜では感じられない世界がそこにはあった。
ススキの穂が風でざわめく音がする。湿り気を含んだ、なんともいえない不思議な風が通り過ぎた。だが、それは妙に泥臭く、気味の悪い風だった。
すると、右斜め上空、丁度田んぼの中央に、一瞬だが、全裸の女が通り過ぎたような気がした。瀬菜は眉根を寄せた。
(――女?田んぼの?ど真ん中の?上空に??しかも全裸!!)
「うぎゃぁぁぁぁーーー!」
瀬菜は思わず悲鳴をあげた。
前方を歩く二人は瀬菜の声に驚いて振り向く。四鵬は、「うるせえ奴だな、なんだ?」と文句を言い出した。
「いや、あの……、あの……、さっき田んぼの真ん中に全裸の女が浮かんでたの!何あれ!幽霊?ここって、幽霊出るの?私、初めて見たんだけどーー!」
と、怯えながらもどこか好奇心の含んだ声で瀬菜は説明した。
蘭武はそれを聞いて、
「いや、そんな話、聞いたこともないな……。俺は毎日此処を歩いているけど、おかしな事もない。だけど、確かに今、妙な感じがしたな」
蘭武も見はしなかったが、何かを感じたらしい。
「魔風か……」
と、四鵬が呟く。
「魔風?」
瀬菜が聞き返すと蘭武がそれを引き継いだ。
「精霊風っていったほうが、イメージ沸きやすいかな?」
「どんな言い方をしても、私には馴染みがないけどぉ、この辺では一般的なの?」
「そんな事はないけど、子供の頃、死んだ爺さんが、よくそういう話をしたのさ。風というのは神霊の乗り物で、神が乗った風を神風。原因不明のものを、魔風と呼ぶ。大抵、神以外が乗るとしたら、それは妖怪だ。または、長崎県の五島では盆の16日の朝に吹く風を ”魔風” とよび、その風に当たると病気になったりすると云われていたそうだ」
「ふ~ん……、そう言われてみれば、風に乗ってふわり~って感じだったかなあ?」
瀬菜が先ほどの幽霊を思い出し、納得した。
「いや、でも、あの女の人は綺麗だったけど、神様って感じじゃないわね~、風の雰囲気も、こう……じめっとして、陰気で気味の悪い風よね~、やっぱ妖怪?」
「気味が悪いからと言って妖怪と決め付けるのもなあ、そもそも妖怪というのは神が零落としたものだったりする。神の定義が現在と過去で開きがあるせいか、昔ながらの神のほとんどが妖怪呼ばわりされている。でも、まあ、さっきの雰囲気は確かに ”魔風” と言っていいかもしれないけど……」
と蘭武が続けた。どうやら蘭武も気味の悪さを感じていたらしい。
瀬菜は、ふ~ん、と納得しながら、ふと、四鵬に視線を向けた。
四鵬は、先ほどの ”魔風” が吹いて行った、遥か彼方を見つめていた。瀬菜も視線の先を追って、遥か彼方にうっすらと見える山の頂上付近を見つめた。やっぱり、白い女が揺らいでいる。
「あ!さっきの幽霊!あんたも見えるの?」
瀬菜が訊いてみると、蘭武が、どこ?、と言って身を乗り出してきた。あそこ!あそこ!と指を差しても、蘭武は、どこ?と聞き返すばかりだ。どうやら蘭武には見えないらしい。
「ねえ、四鵬、あんたも見えるわよね」
瀬菜がもう一度、聞き返してみたが、四鵬は真剣な眼差しで黙り込んだまま、ふい、と先に行ってしまった。この男、チャラチャラして軽薄な男かと思えば、時折別の顔が見え隠れする。
「なんだか調子狂うじゃないの」
瀬菜は呟き、三人は暗い夜道を羅遠家へと向かった。
卯月は突如帰ってきた紅砂の姿に大層慌てた。
紅砂が帰って来たということは、お客様も既にやってきたことになる。夕食の準備はまだだった。
「お、お帰りなさい。ごめんなさい、まだ夕食の準備が……」
卯月が恐る恐る玄関先で言うと、紅砂は、「大丈夫、客はまだだから……」と言って卯月を安堵させた。
「お客様が来るのは今日ではなかったのですか?」
「いや、今日だけど、途中で蘭武に会ってね。あの子に任せた。それよりこれ」
紅砂は持っていた新聞紙の包みを差し出した。
「山内さんからもらった鰤。この辺じゃ珍しいだろ?これも夕食に加えようと思って……」
卯月は新聞紙の大きさを見ながら困ったように、
「はあ……、でもちょっと量が多くなりそうですね……」
と言った。紅砂は履いていた草履を脱ぎながら、「大丈夫でしょ。今夜は人数が思ったより多くなりそうだから、丁度いいよ」と言って、家に上がるなり卯月を追い越し、先に廊下を歩いていく。卯月は紅砂の後につきながら素朴な質問をした。
「他にもお客様がお見えになるのですか?」
「いや、そんな予定はないけど……」
と紅砂は訳の分からないことを言った。予定はないが、多くなる……?紅砂が卯月の理解の範疇を超えて、何かを言うことは珍しいことではないので、あっさりと聞き流した。
二人は、炊事場に入り、紅砂が、
「さ、夕食の準備でもしますか」
と、声をかけ、卯月が、
「はい」
と言って、二人は夕食の支度を始めた。
紅砂は包丁を取り出し、鰤をさばきだした。相変わらず手際がいい。
卯月は関心しながら、煮物の準備に取りかかる。が、紅砂を見ていて、注意がそれていたのだろう。
「痛っ!」
卯月は握っていた包丁を置いて、慌てて左手を押さえた。人差し指からゆっくりと生暖かい液体が滴っていく。卯月は焦った。
(しまった――血だ!)
脳内の血液が焦りで一気に引いていくのが分かる。心臓は脳に早急な血液の運搬を行い、適切な判断が出来るよう激しく鼓動を打ち鳴らした。だが、脳の働きは卯月が願う方向とは、真逆に作用した。次第に腹腔から熱いものが込み上げてくる。
(いけない!――このままじゃ……)
卯月にとって、血は禁忌だった。
少女時代、森の中で傷を負ったときの記憶が否が応でも蘇ってくる。血は彼女にとって、押さえきれない欲情を意味する。
全ては9歳のときに体験した、何者かによる血液の吸飲だ。その時に感じた快楽は、今でも忘れることができない。血は、あの時の感覚を呼び覚ます引き金となっていた。
(まずい、血を見ないようにして、早く止めなきゃ……)
血が流れ出す度に、止められない欲情が溢れ出す。
両足の間から、愛液がじわりと溢れたのを感じた。卯月はちらりと紅砂の様子を見た。紅砂が包丁を置いてこちらに来る。
はしたない自分を見透かされないよう、卯月は背を向けた。だが、傍らから紅砂の腕が伸び、卯月の左手を掴んだ。
卯月の心臓は跳ね上がった。
傍らに立った紅砂は、卯月の傷口を見ている。
ドクン…、ドクン…、心臓の音が激しく、熱い。
紅砂は、握った卯月の左手を形の良い唇にゆっくりと持っていく。
卯月の心臓は高鳴った。やめて…、と言う声は、喉に張り付き、出す事が出来なかった。
(だめ……、吸われたら……、私……)
卯月は熱い吐息を溢し、瞼をきつく閉じた。顔を伏せ、なるべく紅砂から離れるように体を逆方向に向ける。
「大丈夫だ、傷口は浅いよ」
その言葉で卯月は正気に戻った。紅砂は、ティッシュで傷口を押さえた。
「ここ、自分で押さえてて、薬箱を取ってくる」
「は、はい」
卯月は一気に緊張の糸がほぐれた。心臓の音は、未だ鼓膜の中で大きな音を立てていた。
(そうよ、通常、ケガをしたからといって、他人の血を舐めたりなんかしない。なんて妄想してるのよ。私ったら……)
血が出ただけで、異常な反応を示す自分の体に嫌気が差した。
溜息を深く付き、自己嫌悪に浸っていると、紅砂が薬箱を手に戻ってきた。慣れた手つきであっという間に手当てを済ませる。
「有難う御座います」
紅砂の顔を見ることが出来ない。
「気をつけて」
はい、と返事をし、二人はまた何事もなく夕食の準備に取りかかった。
午後7時30分。
辺りは随分と暗くなり、静かな夜を迎えていた。夕食の準備は当に終わり。魚介中心の豪華な料理が20畳ほどの和室テーブルの上に並んでいる。
フェリーが港に着くのは、午後6時30分頃のはずだ。卯月は、ちらりと時計に目をやる。そこから、タクシーで向かえば15分ほどで家に着くはずだ。
「遅いですね、何かあったのかしら?」
と、言っている間に玄関の戸が開く音がした。卯月と紅砂は早速、出迎えに行った。
「おかえりなさい」
と、小走りにスリッパの音をパタパタさせながら、卯月は蘭武に声をかけた。続いて、背後にいる女性に、「いらっしゃいませ」と声をかけ、最後におずおずと玄関の引き戸を閉めながら入ってきた長身の男を見て驚いた。
「四鵬!」
「ども……」
と、軽く首だけを突き出した、なんとも無愛想な挨拶の仕方だった。照れ臭さを隠しているような素振りでもある。
卯月はそんな四鵬を見て、驚いた顔を直ぐに笑顔に変え、「おかえりなさい」と優しく迎え入れた。
四鵬は温かい笑顔の彼女を見て、「うん」とだけ頷いた。
借りてきた猫のように大人しい。
その横で瀬菜が目を剥いていた。
(なんか、私に対する態度と全然違う!)
四鵬に散々な目に遭わされた瀬菜にとっては、見ているだけで腹立たしかった。
瀬菜は恨みがましく四鵬を睨んだ。四鵬も瀬菜を睨み返す。二人が無言で火花を散らしていると、奥から紅砂がやってきた。
「遠路はるばるようこそ。お疲れになったでしょう」
と瀬菜を迎えた。
瀬菜は紅砂に視線を移し、網膜に飛び込んできた彼の美貌で、本日3度目の絶句を繰り返した。ーーと同時に左右から両腕をがっちり掴まれる。蘭武と四鵬だ。
「ちょっとーー、これは何かしら?囚われたエイリアンみたいな扱いはやめてくれない?」
「お前のためだ」
と小声で四鵬。
「何で、これが私のため?!」
瀬菜が抗議すると、四鵬は顎で蘭武の方をしゃくった。瀬名がゆっくり蘭武を見ると、非常に怖い顔で此方を睨んでいる。これは大人しくしておいたほうが無難らしい。
それにしても、どうして、こんな扱いに……?
瀬菜の悪癖対策であろうが、納得がいかなかった。
紅砂は瀬菜の全身を上から下まで、くまなく見て、眉を寄せると、
「季節外れの海水浴でもなさったのですか?」
と訊いた。彼女の服と塩臭さからの推測であろうが、こんな時間、こんな季節に服のまま海水浴なんかするわけがないだろう!と、少々、腹を立てながら、
「これは、あなたの末の弟さんに、船から海に突き落とされましたがぁ~」
と、四鵬に向かって言ってやった。
この話に尽かさず反応したのは蘭武だった。四鵬に、
「お前は、なんだってそんなことを……」
と、睨みを利かせた。
紅砂はというと、深く頭を下げ、
「それは申し訳ないことをしました。まずは私の方からお詫び致します」
「いえいえ、あなたに謝られても仕方ないです、問題はこちらぁ~。何の理由があったか知りたいところですがぁ~、それは、おいおい調べるとして、此方からの誠心誠意、心を込めた謝罪が欲しいとこですわねえ~」
と、意地悪く四鵬に向かって言った。
四鵬はそっぽ向いている。
蘭武が小声で、なんか言え!、と促したが、馬の耳に念仏、四鵬は宙を仰いでしらばっくれたままだ。
紅砂もそんな四鵬の姿に深く溜息を付き、
「とりあえず、先に入浴でも済ませてください。いつまでもその格好では風邪を引きますよ」
と言った。
「そうですね、そうさせて頂けますか」
と瀬菜は頭を下げ、ふと、何かを思いついた。
「あ、そうだ!彼からの詫びが無いようなので、罰としてお風呂に彼もつけて下さい!」
「はぁ~?!」
と、言って、目を白黒させたのは四鵬だ。皆も驚いている。瀬菜の言ってる意味が分からないのだ。一同、静まり返ったところに瀬菜が咳払いを一つして、説明を始めた。
「いや、あの……、誤解してもらうと困りますので、一応言って措きますが、いやらしい気持ちはないんですよ!そういうものとは違いますからね!」
「じゃあ、何だって言うんだ?!」
抗議したのは四鵬だ。自身のこれからの運命だから、当然といえば当然だ。
瀬菜は四鵬を無視して続けた。
「私は探偵をやって生活してますが、実はもう一つ、彫刻家としての顔も持っているんです。そこで!私は常に美への探究心から、この手で直接触って、芸術的な美を記憶する。鍛え抜かれた武道家の筋肉は素晴らしい!しかも彼は、芸能人!ですから是非とも、この手に記憶させて頂きたいと思いまして、決して疚しい気持ちはないんですよ!間違っても、”痴女”!!では、ありませんから、”痴女” では! たまにおかしな行動を取るかと思いますが、そこのところよく覚えておいてくださいね!」
瀬菜は四鵬を睨みながら、”痴女”のところを強調した。先ほど、港で四鵬にそう言われたことが答えたらしい。
四鵬は嫌そうな顔をしながら、
「それにしたって、お前は変だぞ」
と、言った。
「まあ……いいんじゃないか四鵬、そちらがそうしたいと言うのなら……」
紅砂がのんびりと言った。ばっちり他人事だ。もちろん、四鵬は、
「いい訳ないだろーー!お前は人事だと思ってーー!」
と、喚くのもつかの間、背後からゴツン!と蘭武の拳骨が飛ぶ。
「兄である当主に向かって、お前とはなんだ!!」
四鵬は振り向き、顔をしかめた。
「うっせーな!俺は端からこいつを当主とも兄とも思ってねーよ!」
四鵬の言葉に、一同、落ちてはいけない沈黙が落ちた。
流石の四鵬も気まずい雰囲気を一身に浴びて、言った事をちょっぴり後悔した。以外と、この中で一番気にしないのが言われた当人である紅砂らしい。何事もなかったように四鵬に話かける。
「それにしても、船から海に突き落としたか……、とんでもない話だな。四鵬は、彼女の出した条件を呑む呑まないにしても、彼女に侘びを入れ、自分が行ったことの理由をしっかり話すことだな。それが筋ってもんだろ?」
そう言って、真っ直ぐ四鵬を見つめた。
怒りもなく、相手を攻める感じでもなかった。全員が次の四鵬の行動を見守った。
四鵬は――。
「嫌だね」
出した答えはこれだった。
紅砂が長い溜息をついた。
「困ったな、嫌か……、それじゃあ、お詫びに僕で良ければ替わりに風呂でも……」
と言いかけた所に蘭武が、「「却下ーーーー!」」と怒鳴った。横に居た瀬菜と四鵬がひっくり返りそうな勢いだ。そして、四鵬の頭を思いっきりぶん殴って、
「お前は、自分で自分の尻拭いも出来ないのか!なんで、お前のした事で兄さんが犠牲にならなきゃいけない!お前が行け!お前が!」
と言って、更に尻っぺたを蹴り上げ、首根っこを猫のように掴み、瀬菜に差し出した。
「どうぞ、こいつを煮て食うなり焼いて食うなり好きにしてくれ。俺が許す!!」
四鵬は手をばたつかせて、「お前にそんな権限はねーだろ!」と文句を言っていたが、蘭武に睨まれると大人しくなった。そういえば、子供の頃から大層、苛められていたと言っていたっけ。幼い頃に刷り込まれた上下関係は、そう容易く崩れないらしい。
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