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羅遠龍一は、応接室と思しき室内で、前方にある立派な黒檀の大テーブルと座り心地の良さそうな椅子をぼんやりと眺めていた。
この机とあの椅子に座る人物は、さぞや周りが認める立派な傑物なのだろう。そう思わせるほどの豪華で威厳のある家具だ。それとも、ただの見栄っ張りか、強欲か?単なる物の威力を借りて自身を大きく見せ、他を威圧するための調度品か――、物に見合った人物なのかどうか、龍一は見切ることを楽しみにしていた。
まず、前方の立派な椅子に比べて龍一が座らされた、どこにでもある使い古されたスチールの椅子。この激しい落差に、あの立派な椅子の主は後者とみる。明確に他者との線を引いているのが分かる。
(俺はお前とは違う――!)
主の姿は無くとも、物がそう言っているようだ。まだ会ってもいない人物に、こうも見下された感が龍一の苦笑いを誘う。
(これは、碌でもない話になりそうだ……)
コンコン、というノックの音が聞こえた。お待たせしました、という柔らかい声と共に入ってきた人物を見て龍一は驚いた。一瞬、女かと思ったのである。
目前の人物は、女と見紛うほど……、いや、女としてもありえない美貌を託していた。
(なんて綺麗な男だ――。同じ男でもこんな男もいるのだな……)
ヨーロッパ人が初めてニューギニアの地で、生きたゴクラクチョウという美しい鳥を見た時の心境を思う。きっと、こんな気持ちだったかもしれない。すなわち、想像を遥かに超えたものがこの世にあるという事。
その美しい小鳥が美しい声で囀る。
「あなたを何故ここにお呼びしたか分かりますか?」
優雅に前方の椅子に座ると、これもまた美しすぎる指を組み黒檀のテーブルに肘を突く。組んだ手に顎を乗せ、宝石のようにきらめく紫色の瞳が龍一を一瞥した。
「いいえ、何の御用かさっぱり分かりません」
「先日、あなたは当研究所へDNA鑑定を依頼しましたね。すなわち、あなたの兄が本当に肉親であるかどうかと……」
「ええ、結果はすでに頂きましたよ、肉親ではないと――」
「それであなたはどうするつもりです?」
「それはあなたには関係のないことでしょう」
「失礼、その通りですね。では、単刀直入にお話します」
話を続けようとする男に龍一はここで手を翳し、ちょっと待った、と男を静止した。
「その前に、あなたは一体何者ですか?礼儀を欠きすぎると俺はこのまま失礼する」
本来なら、もっと早くに名を聞くべきであったが、龍一は目前の男の美に気後れしてしまっていた。それで、話の腰を折るようなタイミングでの質問であった。
男は、ひっそりと微笑むと、
「これは失礼しました。つい、あなたのお持ちになったDNAサンプルに興味関心があったため先を急ぎすぎたようです」
そう言って、立ち上がると優雅に一礼した。
「アドリエン・ヴィルトールと申します。この生物科学研究所の創始者です」
「羅遠龍一です」
「一つ、訊いても宜しいでしょうか?」
「なんでしょう?」
「あなたの名前、『羅遠』という名前に由来はあるのですか?」
龍一は、眉を顰めた。おかしな事が気になる奴だ。
「ええ、『羅』とは、すなわち『鬼』を現し、『羅』を遠ざけるという意味で、羅遠と名づけられたと……。それが何か?」
アドリエンは、『羅』を遠ざけるか……、と龍一の言葉を繰り返した。
「『鬼』を遠ざける者は、『鬼』そのもの……、違いますか?」
「?」
龍一は沈黙した。言ってる意味が分からないのだ。
訝しげな様子の龍一を見て、アドリエンは話題を変えた。
「話を戻しましょう。先日のDNAの件ですが、一つはあなた自身のと、もう一つは、あなたのお兄さんと偽っている者のDNAですね」
「そうですが、それが何か?」
アドリエンは頷くと、間を置いて話し出した。
「あなたのお兄さん……、あれは人ではありませんよ」
「は?」
瞬時に言葉の意味が理解出来ない……紅砂が人ではない??だったら、何だというのだ?
「信じられないかもしれませんがあなたがお持ちしたDNAは、そうですね……誰もが知っている名で呼ぶとしたら、それは吸血鬼――、ヴァンパイアのものだ」
アドリエンのこの言葉に龍一は絶句した。
(吸血鬼?何の世迷言を……)
「信じられないって顔してますね。当然です。ですが、これは事実です。お兄さんの風貌をお話願えませんか?もしかしたら、私が知っているヴァンパイアかもしれないのでね」
アドリエンは、ようやく見つけた獲物に目を輝かせ身を乗り出す子ぎつねのような無邪気な微笑みを浮かべていた。
そんなアドリエンに、内心、不気味さを感じながら龍一は答えた。
「風貌といいましても……、なんと表現していいのか……。日本人にしたら色素が薄いような気がします。後は、時折、日の光の加減からか、夕暮れ時に見る彼の瞳が紅に見えるときがある……それくらいです」
「十分です。特にその瞳の色の特徴!それは、私が思っていた通りのヴァンパイアの姿です!」
アドリエンは嬉しそうに答えた。龍一は大した事を言ってない。それだけで、ヴァンパイアと確定するアドリエンが異常に見える。
「まだ、信じられないといった感じですね」
「そうですね、あなたが異常に見えます」
はっきり言ってやった。アドリエンはその言葉に気を悪くする様子もなく続ける。
端から龍一の存在、言動に興味はないのだ。彼の興味は唯一つ。紅砂に関することだけらしい。
「ちょっと、待ってください。面白い物をお見せ致します」
そう言って、アドリエンは黒檀のデスクから写真と絵画を何枚か引き出した。そして、龍一に見せる。
「あなたの家に兄として入り込んだ奴は、彼ではないですか?」
龍一の目が見開く。確かに、差し出された絵画と写真の主は、紅砂の形をしていた。
「こちらの絵が、400年前に描かれたもの。写真は、100年ほど前のもの。どうみても、同一人物でしょう」
「……」
(確かに、どう見ても紅砂だ。しかし……これだけでは……!!)
「実は、幼い頃、私は彼に一度会ったことがあります」
龍一がアドリエンに視線を移す。アドリエンから立ち上る殺気に後ずさりした。
「彼は間違いなく私の探していた憎きヴァンパイア――、私の両親を殺し、幼い私の体にこの傷を残した男」
アドリエンは一気にシャツの前を引き裂くと、白い陶器のような肌をあらわにした。そこには、白く美しい肌を放射状に引き裂く傷が残されていた。
(――この傷痕は……!)
龍一には見覚えがあった。
昔、爺さんが語った羅遠流の創始者が一枚岩に残した技の爪痕と、目前の男の傷は似ていた。どのような技でもって付けられたのかは分からない。だが、それは、創始者にしか出来ぬ技だったという――。
羅遠流の創始者、つまりは500年以上遡ることになる。
(それが、紅砂だと言うのか――?!)
信じられない。だが、兄弟でもないのに紅砂が羅遠流の全てを網羅しているという理由はそれで説明が付く。しかし、奴が吸血鬼で、羅遠流の創始者となると500年以上生きているということになる。
……生きている??
そういえば、子島の社には”生きた神”がいるという言い伝えがあった……。
まさか――!
龍一は、首を振り、
「やはり、信じられんな。奴が吸血鬼としても、島では血を吸われたなどという話を耳にしたことはない。平和な島だ」
「本当に?……吸血鬼はそれと気づかれずに血を吸うものですよ」
アドリエンが優しく囁く。
「気づかないうちに、家族がまた一人……また一人……って犠牲になっていく、それが吸血鬼の恐怖。あなたの家は本当に大丈夫?」
「……」
「ちなみに、あなたのDNAにもわずかですがヴァンパイアのDNAが残されている」
「!?」
アドリエンの口元が緩んだ。
「驚きのようですね」
「ああ、それはどういうことだ?」
「おそらくは、あなたの何代か前が奴の血を受け継いでいるはずです。羅遠という名からして奴を連想させる。奴の本当の名は『羅閻』。『鬼』の『閻魔』だ。奴が何を企んでいるか分からないが、早々に始末なさったほうがよろしいでしょう。何しろ、私の両親を殺した凶悪なヴァンパイアです。島一体が全て奴の下僕と化している可能性があります」
「ら…えん……」
「そうです。あなたの苗字と同じ読みですね」
龍一は何も答えられなかった。にわかに鵜呑みできる話ではない。だが、子島にある社に住む生き神の名は……確か……。
龍一は目を閉じ、今聞いた話を一掃した。そして、アドリエンと紅砂、二人の面影を頭の中でイメージする。どちらも同じように、底の見えない男だ。何かを企んでいるとしたら、アドリエンも紅砂も、考えていることがまったく見えない。龍一の常識を超えた世界に二人は立っていると思う。どちらも信用できるものではない。だが、どちらか選べと言われたら……?
不意に、龍一の脳裏で、島の老人達と穏やかに畑仕事をしている紅砂の姿が浮かんだ。
「今のお話、心の片隅にでも置いておきます。丁度私も島に帰るところでしたので、自分の目で確かめたいと思います。それじゃあ、これで失礼したいと思います」
龍一は、立ち上がりアドリエンに一礼して部屋を後にしようとした。
「待ってください!」
アドリエンが呼び止める。
「何でしょう?」
「島に戻るとしたら、危険ですよ」
「構いませんよ、そんなことは」
「安全のため、私のところの者を連れていってください」
「必要ない」
にべもない龍一の返事に、アドリエンが苦笑いする。
「そうおっしゃらず、もしもの場合の犠牲者拡大防止にお願いしますよ」
龍一は溜息を付き、
「但し、条件がある」
「なんでしょう」
「俺が奴を吸血鬼と判断するまで、そいつは何もしないでいてもらおう。単なる観光で訪れたに過ぎない。分かったな」
「分かりました、そのようにさせます」
そう言って、アドリエンは微笑みを返した。
この机とあの椅子に座る人物は、さぞや周りが認める立派な傑物なのだろう。そう思わせるほどの豪華で威厳のある家具だ。それとも、ただの見栄っ張りか、強欲か?単なる物の威力を借りて自身を大きく見せ、他を威圧するための調度品か――、物に見合った人物なのかどうか、龍一は見切ることを楽しみにしていた。
まず、前方の立派な椅子に比べて龍一が座らされた、どこにでもある使い古されたスチールの椅子。この激しい落差に、あの立派な椅子の主は後者とみる。明確に他者との線を引いているのが分かる。
(俺はお前とは違う――!)
主の姿は無くとも、物がそう言っているようだ。まだ会ってもいない人物に、こうも見下された感が龍一の苦笑いを誘う。
(これは、碌でもない話になりそうだ……)
コンコン、というノックの音が聞こえた。お待たせしました、という柔らかい声と共に入ってきた人物を見て龍一は驚いた。一瞬、女かと思ったのである。
目前の人物は、女と見紛うほど……、いや、女としてもありえない美貌を託していた。
(なんて綺麗な男だ――。同じ男でもこんな男もいるのだな……)
ヨーロッパ人が初めてニューギニアの地で、生きたゴクラクチョウという美しい鳥を見た時の心境を思う。きっと、こんな気持ちだったかもしれない。すなわち、想像を遥かに超えたものがこの世にあるという事。
その美しい小鳥が美しい声で囀る。
「あなたを何故ここにお呼びしたか分かりますか?」
優雅に前方の椅子に座ると、これもまた美しすぎる指を組み黒檀のテーブルに肘を突く。組んだ手に顎を乗せ、宝石のようにきらめく紫色の瞳が龍一を一瞥した。
「いいえ、何の御用かさっぱり分かりません」
「先日、あなたは当研究所へDNA鑑定を依頼しましたね。すなわち、あなたの兄が本当に肉親であるかどうかと……」
「ええ、結果はすでに頂きましたよ、肉親ではないと――」
「それであなたはどうするつもりです?」
「それはあなたには関係のないことでしょう」
「失礼、その通りですね。では、単刀直入にお話します」
話を続けようとする男に龍一はここで手を翳し、ちょっと待った、と男を静止した。
「その前に、あなたは一体何者ですか?礼儀を欠きすぎると俺はこのまま失礼する」
本来なら、もっと早くに名を聞くべきであったが、龍一は目前の男の美に気後れしてしまっていた。それで、話の腰を折るようなタイミングでの質問であった。
男は、ひっそりと微笑むと、
「これは失礼しました。つい、あなたのお持ちになったDNAサンプルに興味関心があったため先を急ぎすぎたようです」
そう言って、立ち上がると優雅に一礼した。
「アドリエン・ヴィルトールと申します。この生物科学研究所の創始者です」
「羅遠龍一です」
「一つ、訊いても宜しいでしょうか?」
「なんでしょう?」
「あなたの名前、『羅遠』という名前に由来はあるのですか?」
龍一は、眉を顰めた。おかしな事が気になる奴だ。
「ええ、『羅』とは、すなわち『鬼』を現し、『羅』を遠ざけるという意味で、羅遠と名づけられたと……。それが何か?」
アドリエンは、『羅』を遠ざけるか……、と龍一の言葉を繰り返した。
「『鬼』を遠ざける者は、『鬼』そのもの……、違いますか?」
「?」
龍一は沈黙した。言ってる意味が分からないのだ。
訝しげな様子の龍一を見て、アドリエンは話題を変えた。
「話を戻しましょう。先日のDNAの件ですが、一つはあなた自身のと、もう一つは、あなたのお兄さんと偽っている者のDNAですね」
「そうですが、それが何か?」
アドリエンは頷くと、間を置いて話し出した。
「あなたのお兄さん……、あれは人ではありませんよ」
「は?」
瞬時に言葉の意味が理解出来ない……紅砂が人ではない??だったら、何だというのだ?
「信じられないかもしれませんがあなたがお持ちしたDNAは、そうですね……誰もが知っている名で呼ぶとしたら、それは吸血鬼――、ヴァンパイアのものだ」
アドリエンのこの言葉に龍一は絶句した。
(吸血鬼?何の世迷言を……)
「信じられないって顔してますね。当然です。ですが、これは事実です。お兄さんの風貌をお話願えませんか?もしかしたら、私が知っているヴァンパイアかもしれないのでね」
アドリエンは、ようやく見つけた獲物に目を輝かせ身を乗り出す子ぎつねのような無邪気な微笑みを浮かべていた。
そんなアドリエンに、内心、不気味さを感じながら龍一は答えた。
「風貌といいましても……、なんと表現していいのか……。日本人にしたら色素が薄いような気がします。後は、時折、日の光の加減からか、夕暮れ時に見る彼の瞳が紅に見えるときがある……それくらいです」
「十分です。特にその瞳の色の特徴!それは、私が思っていた通りのヴァンパイアの姿です!」
アドリエンは嬉しそうに答えた。龍一は大した事を言ってない。それだけで、ヴァンパイアと確定するアドリエンが異常に見える。
「まだ、信じられないといった感じですね」
「そうですね、あなたが異常に見えます」
はっきり言ってやった。アドリエンはその言葉に気を悪くする様子もなく続ける。
端から龍一の存在、言動に興味はないのだ。彼の興味は唯一つ。紅砂に関することだけらしい。
「ちょっと、待ってください。面白い物をお見せ致します」
そう言って、アドリエンは黒檀のデスクから写真と絵画を何枚か引き出した。そして、龍一に見せる。
「あなたの家に兄として入り込んだ奴は、彼ではないですか?」
龍一の目が見開く。確かに、差し出された絵画と写真の主は、紅砂の形をしていた。
「こちらの絵が、400年前に描かれたもの。写真は、100年ほど前のもの。どうみても、同一人物でしょう」
「……」
(確かに、どう見ても紅砂だ。しかし……これだけでは……!!)
「実は、幼い頃、私は彼に一度会ったことがあります」
龍一がアドリエンに視線を移す。アドリエンから立ち上る殺気に後ずさりした。
「彼は間違いなく私の探していた憎きヴァンパイア――、私の両親を殺し、幼い私の体にこの傷を残した男」
アドリエンは一気にシャツの前を引き裂くと、白い陶器のような肌をあらわにした。そこには、白く美しい肌を放射状に引き裂く傷が残されていた。
(――この傷痕は……!)
龍一には見覚えがあった。
昔、爺さんが語った羅遠流の創始者が一枚岩に残した技の爪痕と、目前の男の傷は似ていた。どのような技でもって付けられたのかは分からない。だが、それは、創始者にしか出来ぬ技だったという――。
羅遠流の創始者、つまりは500年以上遡ることになる。
(それが、紅砂だと言うのか――?!)
信じられない。だが、兄弟でもないのに紅砂が羅遠流の全てを網羅しているという理由はそれで説明が付く。しかし、奴が吸血鬼で、羅遠流の創始者となると500年以上生きているということになる。
……生きている??
そういえば、子島の社には”生きた神”がいるという言い伝えがあった……。
まさか――!
龍一は、首を振り、
「やはり、信じられんな。奴が吸血鬼としても、島では血を吸われたなどという話を耳にしたことはない。平和な島だ」
「本当に?……吸血鬼はそれと気づかれずに血を吸うものですよ」
アドリエンが優しく囁く。
「気づかないうちに、家族がまた一人……また一人……って犠牲になっていく、それが吸血鬼の恐怖。あなたの家は本当に大丈夫?」
「……」
「ちなみに、あなたのDNAにもわずかですがヴァンパイアのDNAが残されている」
「!?」
アドリエンの口元が緩んだ。
「驚きのようですね」
「ああ、それはどういうことだ?」
「おそらくは、あなたの何代か前が奴の血を受け継いでいるはずです。羅遠という名からして奴を連想させる。奴の本当の名は『羅閻』。『鬼』の『閻魔』だ。奴が何を企んでいるか分からないが、早々に始末なさったほうがよろしいでしょう。何しろ、私の両親を殺した凶悪なヴァンパイアです。島一体が全て奴の下僕と化している可能性があります」
「ら…えん……」
「そうです。あなたの苗字と同じ読みですね」
龍一は何も答えられなかった。にわかに鵜呑みできる話ではない。だが、子島にある社に住む生き神の名は……確か……。
龍一は目を閉じ、今聞いた話を一掃した。そして、アドリエンと紅砂、二人の面影を頭の中でイメージする。どちらも同じように、底の見えない男だ。何かを企んでいるとしたら、アドリエンも紅砂も、考えていることがまったく見えない。龍一の常識を超えた世界に二人は立っていると思う。どちらも信用できるものではない。だが、どちらか選べと言われたら……?
不意に、龍一の脳裏で、島の老人達と穏やかに畑仕事をしている紅砂の姿が浮かんだ。
「今のお話、心の片隅にでも置いておきます。丁度私も島に帰るところでしたので、自分の目で確かめたいと思います。それじゃあ、これで失礼したいと思います」
龍一は、立ち上がりアドリエンに一礼して部屋を後にしようとした。
「待ってください!」
アドリエンが呼び止める。
「何でしょう?」
「島に戻るとしたら、危険ですよ」
「構いませんよ、そんなことは」
「安全のため、私のところの者を連れていってください」
「必要ない」
にべもない龍一の返事に、アドリエンが苦笑いする。
「そうおっしゃらず、もしもの場合の犠牲者拡大防止にお願いしますよ」
龍一は溜息を付き、
「但し、条件がある」
「なんでしょう」
「俺が奴を吸血鬼と判断するまで、そいつは何もしないでいてもらおう。単なる観光で訪れたに過ぎない。分かったな」
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