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紅砂は四鵬と白閻を抱えたまま子島にある社の中に入って行った。ところどころ修復されてはいるが、建てられてから500年は経つ古い社だ。
紅砂はさらに地下へと続く通路を進んでいた。
地下道に明かりらしきものは無い。ならば真の闇かと思えばそうでもない。通路の壁には至る所で鈍く光る苔があり、かろうじて通路を歩いているという感覚がある。その通路を100mほど歩くとドーム型の広い空間に出た。そこは土の壁があらわになった部屋でところどころ木の根が飛び出している。壁に幾つか架けられた行灯の明かりが部屋全体を紅く茫と照らしていた。
紅砂は部屋の隅にある木で出来た寝台の上に四鵬を、対角に位置する石の寝台の上に白閻を寝かした。そして、白閻を寝かした寝台の上には、阿吽の鬼面が掛けられ、紅砂は『阿』の女面の開いた口から白い蚕の繭を薄くしたような膜を引っ張り、白閻の周囲を風船のように膨らませながら囲むみ、『吽』の閉じた男面の口へと捻じ込んだ。
紅砂は作業が済むと、よろよろと壁際に3つほど並べてある樽に近づき一気に全ての蓋を開け、その一つに顔を突っ込んだ。ゴクゴクと喉を鳴らして嚥下してゆく音が聞こえる。樽の中身が半分ほどに達した頃か……紅砂は樽に手をかけ持ち上げて中身を全て飲み干した。
人心地ついたように、ふう~、という吐息を零すと口の端から零れる紅い液体を拭った。
紅砂の濡れた髪から紅い雫が滴り落ち、白い肌にも至る所で網目状に広がる。これは、瀬菜の血を吸う以前に少しずつ溜めておいた自身の血液だ。これで白閻に吸われ喪失した血液の回復を図った。
徐々に顔色が良くなってはいるが、精神の疲労感は拭いきれなかった。
その場に座り込み、頭を垂れて、髪を掻き毟りながら四鵬の顔を哀しげに見つめた。
彼の運命を明らかに狂わしたのは自分に原因がある。
それは当初、意図した事ではなく結果として引き寄せられたものだ。このまま放置し、彼の思うように行動させ、それによって彼が破滅に向かったとしても、それこそ運命だと割り切ってしまえたらどれだけ楽か……。だが紅砂はそのように割り切ることも出来なかった。
四鵬は何も知らない。
何も知らないで破滅に向かうのと、知っていてなお破滅に向かうのとではまるで違うだろう。彼が何もかも承知の上で、この先にある運命に立ち向かうのなら紅砂は何も言わない。だが、彼は知らないままだ。かといって、今の彼に全ての事情を話したとして、彼が全てを受け止められる可能性は低いだろう。
何処まで話せば一番良いのか?いつも紅砂はそのさじ加減に悩む。
単刀直入にお前の運命はこうだ!と他人に言われて、ああそうですか、と納得するようなタイプではない。確実に彼は紅砂の言動に反発する。四鵬が自分のことをどのように思ったとしても構わない。
ただ、最悪の行動だけは取らせないようにしたい。
しかし、この状況で一体どうやって最悪の行動を止めることが出来るのか?
紅砂は立ち上がり、寝台に近づく。
四鵬の黒髪に触れ、頭をそっと撫でた。指はそのまま首にかかる黒髪をよけ、四鵬の首筋を露にさせると、四鵬の首に唇を押し付けた。舌でゆっくりと頚動脈の位置を探る。そして一気に牙を立てようとして紅砂は止めた。
血を吸って自分の言葉を聞き入れるよう仕向ける事は簡単だ。だがそれは、四鵬に自分で考え行動を起こすという本来彼が持っているだろう生きる力を奪う事でもある。
(やはり、彼らしく生かしてやりたい──)
紅砂は四鵬から離れると、一度、社の方へと戻っていった。
紅い液体で満たされたバスタブに、天井のシャンデリアの煌きが映っている。
水面の揺らぎは奇跡のようにほとんど無く、輝くような金髪のアドリエン・ヴィルトールを無機物のように沈ませていた。
彼は鼻から下を全て紅い液体に浸し、紫色の瞳を憎悪の炎で揺らめかせていた。
「己れ……、羅閻め。どうしても傷が塞がらぬ……」
彼は苛立たしげに呻いた。
紅い液体はコンラッド・ヴィルトールと自分自身の血だ。
本来、自分には並外れた再生能力があるため、例え体の皮膚が全て剥がれ落ちたとしても瞬時に再生するはずなのだ。
コンラッドの血を溜め込んで置いたのは、これから自分よりも上位の結鬼が次々と現れる可能性が高く、その上位の結鬼にもしも傷つけられた場合、その再生力は通常より遥かに劣るためコンラッドの出発前に彼から縛りとっておいたものだ。まさかそれが早速役に立つとは思わなかった。
それでも、羅閻に与えられた傷だけはどうしても再生に時間が掛かる。
それは以前──、500年前に付けられた時も同じだった。
あの頃のアドリエンは完全体として産まれ、間もない幼児だった。羅閻は幼いアドリエンに出会い傷を負わせると、あの色素の薄い僅かに紅に染まったような瞳を細め『少しは人の苦しみと痛みを知れ──、憐憫の情というものがどういうものなのか、よく考える事だ……』そう言って去っていったのだ。
人の痛み?苦しみ?吸血鬼として産まれて、何故そんなものが必要か──?
吸血鬼とはそんな感情とは縁の遠い者。それなのに、奴はアドリエンに吸血鬼の再生力を持ってしてもすぐには治らぬ傷を付け、10年もの間彼を苦しめた。
その恨みだけが深くアドリエンに刻まれていた。
「──羅閻……、八つ裂きにするだけでは足らぬ……」
アドリエンが呟くと、
「アドリエン様?」
と言って近づいてくる影があった。
「何だ?」
アドリエンは苛立たしげに答える。
影は次第に形を露にし、浴室を隔てる緋色のカーテンを抜け端正な顔立ちの青年が入ってきた。
「先ほどあなた様を傷付けました武器の分析が終わりました。放射状に開きました刃物はある種の植物で出来ており、その植物と恐らく太古の原型細菌と思われます細菌との共生により特殊な科学物質が生成されています。それがあなた様の再生能力を失わせている模様です」
説明と共に青年は懐から小さな小瓶を出した。
「これをお試しください。細菌の持つたんぱく質の生成を抑える薬です、これによって細菌が死滅すればあなた様の傷はすぐにでも塞がるかと思います」
「そうか、すぐに使う」
「では、この中に……」
青年はそう言うと、小瓶のコルク栓を抜きアドリエンの浸かるバスタブの中に中身を注いだ。
アドリエンは大きく息を吸い込むと、
「ふむ……、いいね。少しずつ痛みも和らいで行く。傷口も塞がってきた。良くやったぞ、キース」
キースと呼ばれた青年は、翡翠のような深い緑色の瞳を伏せ、深く一礼をし、下がろうとした。
「……キース。ところで、ロシアの様子はどうなっている?連絡は?」
キースは足を止め、アドリエンに向き直り重々しく口を開いた。
「第一期調査隊からの連絡は今だ途絶えたままです。第二期の調査隊を向かわせましたがこちらも今後の連絡が来る望みはないと思います」
キースの答えに、アドリエンは片方の眉を吊り上げた。
「……望みがない……?」
キースはアドリエンの視線から目を反らせ、言いづらそうに、
「どうやら、皆、吸収されたものと推測します」
「何故?」
「通信機からの連絡ですと、調査員は次から次へと気づかないうちに消滅していくようです。そして最後の一人が残した言葉が『子供だ……』と呟いただけでした。そこで通信は途絶え、以来此方からアクセスしても応答はありません。場所は、人も寄り付かないツンドラの大地です。そんな所にいる子供とは恐らく我々より高位の……」
ここまでキースは話すと一息ついた。
アドリエンが続きを補足する。
「高位の鬼もついに育ち始めたか……。僕ら5人でも幼児のそいつにどうにもならないのか……」
「ええ……、あなた様に来て頂かないと統制が取れません……」
「他に情報はないのか?」
「全くといっていいほど御座いません……、何しろ場所は一面氷の世界です。居るのは熊や狼と言った獣しか居ないでしょう。情報の掴みようが在りません」
「そんなところでよく産まれ育ったものだな……」
この分だと弱い者が束になってかかったところで無意味だろう。何百・何千という束で架かるならまだしも、今のところ自分等を総出で集めたとしても未だ40人ほどだ。
アドリエンは考えた。
40人束で架かるより初めから弱い者は切り捨てて行くか……。
「キース。お前とフラン、レンブラント、ユージィン、フラット、ジェローム、ラムルで他の奴を吸収しろ!」
アドリエンの命令にキースの驚きの色は隠せない。
キースは声を震わしながら、
「で、ですが……、それでは数が極端に少なく……」
「仕方がないだろ?今まで5人体制でロシアに向かって生き残りは何人だ?零なんだろ?だったら見す見す奴らを強くさせるより自分達を強化させようじゃないか……いいかい?キース。どうやらお前は『吸収=死』と思っているようだがそれは違うよ……。僕らの吸収というのは別の者の中で別の生き方をする事に過ぎない。真核細胞の中に原形細菌であったミトコンドリアが入り、ミトコンドリアが真核細胞のエネルギー供給を担う事で多細胞生物への進化を促した。それが無ければ現在のような多種多様に溢れる生命は育まれなかった。それと同じような事さ。吸収する、されるは新たなる進化の第一歩だ」
「わ、分かりました。皆にもそのように伝えたいと思います」
キースがいそいそと姿を消すとアドリエンはまた血の浴室でゆったりと身を横たえた。
そして、目を閉じポツリと呟く。
「この時代の頂点に立つのは一体誰か……?必ずともそれが強い奴とは限らない……。何故なら力だけでは一瞬の出来事で天と地が逆転するからね……」
アドリエンは自身の胸の傷に触れる。
傷?という傷は姿を消し、艶やかな陶器のような肌を取り戻すと、
「待って居ろよ、羅閻──。低位の分際で2度もこの僕を傷つけた。お前もしっかりとこの僕が吸収してやろう……」
そう言うと、浴室から起き上がり緋色のカーテンの向こうへと消えた。
紅砂はさらに地下へと続く通路を進んでいた。
地下道に明かりらしきものは無い。ならば真の闇かと思えばそうでもない。通路の壁には至る所で鈍く光る苔があり、かろうじて通路を歩いているという感覚がある。その通路を100mほど歩くとドーム型の広い空間に出た。そこは土の壁があらわになった部屋でところどころ木の根が飛び出している。壁に幾つか架けられた行灯の明かりが部屋全体を紅く茫と照らしていた。
紅砂は部屋の隅にある木で出来た寝台の上に四鵬を、対角に位置する石の寝台の上に白閻を寝かした。そして、白閻を寝かした寝台の上には、阿吽の鬼面が掛けられ、紅砂は『阿』の女面の開いた口から白い蚕の繭を薄くしたような膜を引っ張り、白閻の周囲を風船のように膨らませながら囲むみ、『吽』の閉じた男面の口へと捻じ込んだ。
紅砂は作業が済むと、よろよろと壁際に3つほど並べてある樽に近づき一気に全ての蓋を開け、その一つに顔を突っ込んだ。ゴクゴクと喉を鳴らして嚥下してゆく音が聞こえる。樽の中身が半分ほどに達した頃か……紅砂は樽に手をかけ持ち上げて中身を全て飲み干した。
人心地ついたように、ふう~、という吐息を零すと口の端から零れる紅い液体を拭った。
紅砂の濡れた髪から紅い雫が滴り落ち、白い肌にも至る所で網目状に広がる。これは、瀬菜の血を吸う以前に少しずつ溜めておいた自身の血液だ。これで白閻に吸われ喪失した血液の回復を図った。
徐々に顔色が良くなってはいるが、精神の疲労感は拭いきれなかった。
その場に座り込み、頭を垂れて、髪を掻き毟りながら四鵬の顔を哀しげに見つめた。
彼の運命を明らかに狂わしたのは自分に原因がある。
それは当初、意図した事ではなく結果として引き寄せられたものだ。このまま放置し、彼の思うように行動させ、それによって彼が破滅に向かったとしても、それこそ運命だと割り切ってしまえたらどれだけ楽か……。だが紅砂はそのように割り切ることも出来なかった。
四鵬は何も知らない。
何も知らないで破滅に向かうのと、知っていてなお破滅に向かうのとではまるで違うだろう。彼が何もかも承知の上で、この先にある運命に立ち向かうのなら紅砂は何も言わない。だが、彼は知らないままだ。かといって、今の彼に全ての事情を話したとして、彼が全てを受け止められる可能性は低いだろう。
何処まで話せば一番良いのか?いつも紅砂はそのさじ加減に悩む。
単刀直入にお前の運命はこうだ!と他人に言われて、ああそうですか、と納得するようなタイプではない。確実に彼は紅砂の言動に反発する。四鵬が自分のことをどのように思ったとしても構わない。
ただ、最悪の行動だけは取らせないようにしたい。
しかし、この状況で一体どうやって最悪の行動を止めることが出来るのか?
紅砂は立ち上がり、寝台に近づく。
四鵬の黒髪に触れ、頭をそっと撫でた。指はそのまま首にかかる黒髪をよけ、四鵬の首筋を露にさせると、四鵬の首に唇を押し付けた。舌でゆっくりと頚動脈の位置を探る。そして一気に牙を立てようとして紅砂は止めた。
血を吸って自分の言葉を聞き入れるよう仕向ける事は簡単だ。だがそれは、四鵬に自分で考え行動を起こすという本来彼が持っているだろう生きる力を奪う事でもある。
(やはり、彼らしく生かしてやりたい──)
紅砂は四鵬から離れると、一度、社の方へと戻っていった。
紅い液体で満たされたバスタブに、天井のシャンデリアの煌きが映っている。
水面の揺らぎは奇跡のようにほとんど無く、輝くような金髪のアドリエン・ヴィルトールを無機物のように沈ませていた。
彼は鼻から下を全て紅い液体に浸し、紫色の瞳を憎悪の炎で揺らめかせていた。
「己れ……、羅閻め。どうしても傷が塞がらぬ……」
彼は苛立たしげに呻いた。
紅い液体はコンラッド・ヴィルトールと自分自身の血だ。
本来、自分には並外れた再生能力があるため、例え体の皮膚が全て剥がれ落ちたとしても瞬時に再生するはずなのだ。
コンラッドの血を溜め込んで置いたのは、これから自分よりも上位の結鬼が次々と現れる可能性が高く、その上位の結鬼にもしも傷つけられた場合、その再生力は通常より遥かに劣るためコンラッドの出発前に彼から縛りとっておいたものだ。まさかそれが早速役に立つとは思わなかった。
それでも、羅閻に与えられた傷だけはどうしても再生に時間が掛かる。
それは以前──、500年前に付けられた時も同じだった。
あの頃のアドリエンは完全体として産まれ、間もない幼児だった。羅閻は幼いアドリエンに出会い傷を負わせると、あの色素の薄い僅かに紅に染まったような瞳を細め『少しは人の苦しみと痛みを知れ──、憐憫の情というものがどういうものなのか、よく考える事だ……』そう言って去っていったのだ。
人の痛み?苦しみ?吸血鬼として産まれて、何故そんなものが必要か──?
吸血鬼とはそんな感情とは縁の遠い者。それなのに、奴はアドリエンに吸血鬼の再生力を持ってしてもすぐには治らぬ傷を付け、10年もの間彼を苦しめた。
その恨みだけが深くアドリエンに刻まれていた。
「──羅閻……、八つ裂きにするだけでは足らぬ……」
アドリエンが呟くと、
「アドリエン様?」
と言って近づいてくる影があった。
「何だ?」
アドリエンは苛立たしげに答える。
影は次第に形を露にし、浴室を隔てる緋色のカーテンを抜け端正な顔立ちの青年が入ってきた。
「先ほどあなた様を傷付けました武器の分析が終わりました。放射状に開きました刃物はある種の植物で出来ており、その植物と恐らく太古の原型細菌と思われます細菌との共生により特殊な科学物質が生成されています。それがあなた様の再生能力を失わせている模様です」
説明と共に青年は懐から小さな小瓶を出した。
「これをお試しください。細菌の持つたんぱく質の生成を抑える薬です、これによって細菌が死滅すればあなた様の傷はすぐにでも塞がるかと思います」
「そうか、すぐに使う」
「では、この中に……」
青年はそう言うと、小瓶のコルク栓を抜きアドリエンの浸かるバスタブの中に中身を注いだ。
アドリエンは大きく息を吸い込むと、
「ふむ……、いいね。少しずつ痛みも和らいで行く。傷口も塞がってきた。良くやったぞ、キース」
キースと呼ばれた青年は、翡翠のような深い緑色の瞳を伏せ、深く一礼をし、下がろうとした。
「……キース。ところで、ロシアの様子はどうなっている?連絡は?」
キースは足を止め、アドリエンに向き直り重々しく口を開いた。
「第一期調査隊からの連絡は今だ途絶えたままです。第二期の調査隊を向かわせましたがこちらも今後の連絡が来る望みはないと思います」
キースの答えに、アドリエンは片方の眉を吊り上げた。
「……望みがない……?」
キースはアドリエンの視線から目を反らせ、言いづらそうに、
「どうやら、皆、吸収されたものと推測します」
「何故?」
「通信機からの連絡ですと、調査員は次から次へと気づかないうちに消滅していくようです。そして最後の一人が残した言葉が『子供だ……』と呟いただけでした。そこで通信は途絶え、以来此方からアクセスしても応答はありません。場所は、人も寄り付かないツンドラの大地です。そんな所にいる子供とは恐らく我々より高位の……」
ここまでキースは話すと一息ついた。
アドリエンが続きを補足する。
「高位の鬼もついに育ち始めたか……。僕ら5人でも幼児のそいつにどうにもならないのか……」
「ええ……、あなた様に来て頂かないと統制が取れません……」
「他に情報はないのか?」
「全くといっていいほど御座いません……、何しろ場所は一面氷の世界です。居るのは熊や狼と言った獣しか居ないでしょう。情報の掴みようが在りません」
「そんなところでよく産まれ育ったものだな……」
この分だと弱い者が束になってかかったところで無意味だろう。何百・何千という束で架かるならまだしも、今のところ自分等を総出で集めたとしても未だ40人ほどだ。
アドリエンは考えた。
40人束で架かるより初めから弱い者は切り捨てて行くか……。
「キース。お前とフラン、レンブラント、ユージィン、フラット、ジェローム、ラムルで他の奴を吸収しろ!」
アドリエンの命令にキースの驚きの色は隠せない。
キースは声を震わしながら、
「で、ですが……、それでは数が極端に少なく……」
「仕方がないだろ?今まで5人体制でロシアに向かって生き残りは何人だ?零なんだろ?だったら見す見す奴らを強くさせるより自分達を強化させようじゃないか……いいかい?キース。どうやらお前は『吸収=死』と思っているようだがそれは違うよ……。僕らの吸収というのは別の者の中で別の生き方をする事に過ぎない。真核細胞の中に原形細菌であったミトコンドリアが入り、ミトコンドリアが真核細胞のエネルギー供給を担う事で多細胞生物への進化を促した。それが無ければ現在のような多種多様に溢れる生命は育まれなかった。それと同じような事さ。吸収する、されるは新たなる進化の第一歩だ」
「わ、分かりました。皆にもそのように伝えたいと思います」
キースがいそいそと姿を消すとアドリエンはまた血の浴室でゆったりと身を横たえた。
そして、目を閉じポツリと呟く。
「この時代の頂点に立つのは一体誰か……?必ずともそれが強い奴とは限らない……。何故なら力だけでは一瞬の出来事で天と地が逆転するからね……」
アドリエンは自身の胸の傷に触れる。
傷?という傷は姿を消し、艶やかな陶器のような肌を取り戻すと、
「待って居ろよ、羅閻──。低位の分際で2度もこの僕を傷つけた。お前もしっかりとこの僕が吸収してやろう……」
そう言うと、浴室から起き上がり緋色のカーテンの向こうへと消えた。
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