どこまでも近くて遠い君

蓮華空

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桜木episode 1

14

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「実はネットで見付けたんだ。しかも、勝手にメロディ付けちゃって、後で使用許可取らなくちゃと思ってるんどけど……」

「うん!絶対、その方がいい!そんでさ、taku takuやwantubeで配信してみたら? 」

「うーん、そこまでは考えてなかったけど、詩を書いた子には聞かせてあげたいからokして貰えたら考えとく。それより、木下に重要な話があるんだけど」

「重要な話?なに?」

 木下は身を正して聞く準備をした。

「その……。さっきの歌の詩を書いた人。銀狼さんって言うんだけど……」

「うん。その人がどうしたの?」

「実は俺……銀狼さんの詩を読んでから、かなり恋愛に関して影響を受けていたみたいで……つまり、片想いって寂しいな、振られるのって辛いな、って、そういう思いを相手に対しても自分に対してもしないようにって、ずっと思ってきたんだ。だからさ……、木下に対してもそんな感じでokしたんだけど……、ごめん……。でも、やっぱりそれだと、ただの同情みたいになって、違うなって、最近気付いたんだ。だから、急に勝手な事を言って申し訳ないけど、別れてくれないか?」

「……え?なにそれ?……い……嫌よ……そんなの!!だって、まだ2ヶ月しか……クリスマスだって、一緒にイルミネーション見に行こうって言ったじゃない!!」

 木下の痛ましい声がロビーに響いた。

「……ごめん。でもやっぱり、木下のこと……好きになれそうもないんだ……」

 今更こんな事を言うなんて、自分でも酷いと思う。

「何で?何でなの?!あたしのどこが悪かったの?!」

「悪いところなんかないよ!ただ……木下に対して、銀狼さんの詩のように、俺が恋をすることはないって、気付いちゃったんだ」

「そんな……」

 絶望的な木下の声。

「どうしても……あたしじゃ駄目なの?」

「ごめん……」

 謝ると木下は目に涙を一杯溜めながら、この場を去ってしまった。

 木下が去ったあと、俺は頭を抱えて溜め息を付いた。そして、何度も心の中で、木下に謝る。

 気が付けば俺はまた『ホワイト・アイリス』を口づさんでいた。


  








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