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桜木episode 1
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銀狼さんの詩は、いつも切ない片想いの詩ばかりだった。
身を焦がすほどの恋をして……。
それでも、相手は決して自分に振り向いてはくれない。
諦めようと思っても、諦め切れず、身を引き裂かれるような恋の痛みを、ただその身に背負い、地獄に堕ちていく。
その想いの強さが、やがて嫉妬や憎悪を産み。
鬼と化してもなお、相手を想う気持ちだけは、宝物のように目映い光を放っていた。
その光と闇を余すことなく混在させた銀狼さんの詩は、俺を魅了して止まない。
木下からの告白を、つい受けてしまったのも、銀狼さんの詩が原因だ。
──片想いがそんなに身を焦がすほどの痛みならば……。
──相手を想う気持ちがそんなに目映い光を放つのならば……。
告白を受ければ、自分も相手も、明るく優しい光に包まれるのではないかと、単純に思ってしまっていた。けど、現実は違っていた。
確かに、告白を受けた時は、小春日和のような温かさを感じはしたが、銀狼さんの想いのような、神々しさすら感じる光の中に入った訳ではなかった。
俺が欲しいのは、やっぱり銀狼さんが放つ光のような想いだ。
そう思った途端、自然と秋ちゃんに目が行き、目が合った。
冷たく、暗い、秋ちゃんの黒瞳。
そして、思った。
光を得るには闇が必要だ。
鬼となって地獄に堕ちてもいいと思えるほどの強い想い。
それを自分から放たないことには、自分の欲しいものは手に入らない。
気が付けば俺は、その場で銀狼さんの詩を口ずさんでいた。
『ホワイト・アイリス』と題された詩は、特に俺のお気に入りで、自然とメロディが浮かび上がった。
「え?……ちょっと、なあに、その曲?」
隣に座っていた木下が訊ねた。
「俺が作った曲。歌詞は違うけど」
「え?!それ、桜木くんが作ったの?すごい!!」
今度は向かいに座っていたミキちゃんが叫んだ。
「すごい綺麗な曲……もっと歌って!」
俺は木下らに促されるまま『ホワイト・アイリス』の続きを歌った。
だが、前方3つほどテーブルを挟んだ向かい側で、秋ちゃんがものすごい形相で俺を睨み付けてきた。
……な、な、何で?
訳が分からず、歌いながら一応、手を振ってみせたが、透かさず『馬鹿っ!』って言われたような気がして、身をすくませた。なんとなく、秋ちゃんが怒っているような気がする。
秋ちゃんから立ち込める殺気が余りにもすごいものだから、なんだか歌う気分にもなれず、俺は口を結んだ。
すると、「何で止めちゃうの?」と、ミキちゃんらに言われたが、俺は「また今度な」と、言って木下に向き直った。
「食べ終わったか?なら、ちょっとだけいい?」
「あ、うん」
「じゃあ、俺らはお先に」
俺は木下を連れ、食堂を後にした。
俺と木下はホテルのロビーに向かい、そこのソファーに隣同士で腰をかけた。
何処から話をしていこうかと俺が悩んでいると、木下が「さっきの曲。すごい素敵だった」と言ってきた。
「ああ、あれ。どこが良かった?」
「先ずはメロディ!優しくて切ない感じがギュッと胸にきた」
「そうか」
「あと、歌詞も良かった。『もしも君が望むような人に 僕がなれたなら いつまでも 永遠に その姿でいたい』この辺の気持ちにすごい共感した。この歌詞は誰が書いたの?」
訊かれて俺は少し躊躇した。
身を焦がすほどの恋をして……。
それでも、相手は決して自分に振り向いてはくれない。
諦めようと思っても、諦め切れず、身を引き裂かれるような恋の痛みを、ただその身に背負い、地獄に堕ちていく。
その想いの強さが、やがて嫉妬や憎悪を産み。
鬼と化してもなお、相手を想う気持ちだけは、宝物のように目映い光を放っていた。
その光と闇を余すことなく混在させた銀狼さんの詩は、俺を魅了して止まない。
木下からの告白を、つい受けてしまったのも、銀狼さんの詩が原因だ。
──片想いがそんなに身を焦がすほどの痛みならば……。
──相手を想う気持ちがそんなに目映い光を放つのならば……。
告白を受ければ、自分も相手も、明るく優しい光に包まれるのではないかと、単純に思ってしまっていた。けど、現実は違っていた。
確かに、告白を受けた時は、小春日和のような温かさを感じはしたが、銀狼さんの想いのような、神々しさすら感じる光の中に入った訳ではなかった。
俺が欲しいのは、やっぱり銀狼さんが放つ光のような想いだ。
そう思った途端、自然と秋ちゃんに目が行き、目が合った。
冷たく、暗い、秋ちゃんの黒瞳。
そして、思った。
光を得るには闇が必要だ。
鬼となって地獄に堕ちてもいいと思えるほどの強い想い。
それを自分から放たないことには、自分の欲しいものは手に入らない。
気が付けば俺は、その場で銀狼さんの詩を口ずさんでいた。
『ホワイト・アイリス』と題された詩は、特に俺のお気に入りで、自然とメロディが浮かび上がった。
「え?……ちょっと、なあに、その曲?」
隣に座っていた木下が訊ねた。
「俺が作った曲。歌詞は違うけど」
「え?!それ、桜木くんが作ったの?すごい!!」
今度は向かいに座っていたミキちゃんが叫んだ。
「すごい綺麗な曲……もっと歌って!」
俺は木下らに促されるまま『ホワイト・アイリス』の続きを歌った。
だが、前方3つほどテーブルを挟んだ向かい側で、秋ちゃんがものすごい形相で俺を睨み付けてきた。
……な、な、何で?
訳が分からず、歌いながら一応、手を振ってみせたが、透かさず『馬鹿っ!』って言われたような気がして、身をすくませた。なんとなく、秋ちゃんが怒っているような気がする。
秋ちゃんから立ち込める殺気が余りにもすごいものだから、なんだか歌う気分にもなれず、俺は口を結んだ。
すると、「何で止めちゃうの?」と、ミキちゃんらに言われたが、俺は「また今度な」と、言って木下に向き直った。
「食べ終わったか?なら、ちょっとだけいい?」
「あ、うん」
「じゃあ、俺らはお先に」
俺は木下を連れ、食堂を後にした。
俺と木下はホテルのロビーに向かい、そこのソファーに隣同士で腰をかけた。
何処から話をしていこうかと俺が悩んでいると、木下が「さっきの曲。すごい素敵だった」と言ってきた。
「ああ、あれ。どこが良かった?」
「先ずはメロディ!優しくて切ない感じがギュッと胸にきた」
「そうか」
「あと、歌詞も良かった。『もしも君が望むような人に 僕がなれたなら いつまでも 永遠に その姿でいたい』この辺の気持ちにすごい共感した。この歌詞は誰が書いたの?」
訊かれて俺は少し躊躇した。
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