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陶也side1
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「おい!いい加減、この縄解けよ!」
イザヤが怒鳴り散らしている。内容からして、どうやら縛られているらしい。
「駄目よ!ここを出るまでは、あんたの自由にはさせないわ。何をするか分かったもんじゃない」
母親の抑止する声が聞こえた。イザヤは母親と一緒にいるようだ。あともう一人の男はどうしているのだろう?
「だから!何でもお前の言う通りにするって言ってるだろ!」
「どうだかぁ~?隙あらば寝首をかく癖に!やっぱり、あの子。陶也くんを捕獲しないとね。あの子、自分から言い出したのよ。あなたと一緒にあたし達の所に来るって。なのに何で一緒に来ないのよ!あの丸い餓鬼と交換だったはずなのに」
「そんなの駄目だ!てめえはいつも関係ない奴を巻き込みやがって!」
「ふーん。なに、その顔つき。随分と必死よね~。あんた、あの子の言った通り、本当に惚れてるの?」
ボカ!っと音と共に、母親が、「痛~い!蹴んないでよ、もう~!」と言う声がする。
「んっな訳あるか!恩があるから、あそこに居ただけだ!それが済んだら、真っ先にてめえを殺しに行く予定だったよ!」
イザヤの罵声を受けて、母親は妙に弾んだ声で喜んだ。
「あら!嬉しい!!10年経っても変わらずに、あたしのこと憎んでてくれたのねぇ」
語尾が妙に甘ったるい。
「アホ!そこ喜ぶ所か!本当にてめえは頭がイカれてるな」
「楽しければ何でもいいのよ。でも、もう殺し合いは終わりにしよ。それよりも、あたしたちの仕事を手伝ってくれない?あんた、どうせ、もう娑婆では、まともに生きられないでしょ。だから、汚れ仕事がたっぷりあるよのね。2人も殺したら、10人だろうが、20人だろうが一緒でしょ」
能天気な声だが、内容はとんでもなく恐ろしい。
「……てめえ……マジでそんな事、思ってるのかよ?嫌だね!他の人間はどんな悪党だって殺す気はない!俺が殺したいのはお前だけだ。お前の血以外で、自分の手を汚す気はもうない!」
イザヤがそう言うと、母親は突然、悲鳴のような声を出して笑い出した。相当、頭がイカれている。
「何、笑ってやがるんだ、てめえは……頭、大丈夫か?」
「あははは、駄目!もう手遅れ!あはは、あたしは、あんたの言う通り、かなり前から頭がおかしいのよ!あははは!」
笑い転げている母親に、イザヤが大きな溜め息を付いているのが聞こえた。
「あははは!本当に困ったわよねー、あはは!」などと笑いながら母親は言うが、当人より困っているのはきっとイザヤの方だろう。
「あたしは、まだ死にたくないし~、始末したい奴らはいっぱいいるし~、でも、あんたは殺りたくないって言うし~、どうするよもう~!」
とまるで他人事のように言った。
「マシュー達を使えよ。いつものように」
「だってあいつら小回り悪いじゃん。暗殺の実行にはあんたが一番向いてるのよ。どう?絶対、儲けさせてやるわよ!いい加減、あんたも諦めて悪に染まりなさい。楽になるわよお~。染まっちゃえば楽しいわよお~」
なんて母親だ。この人は母親であることは勿論、人であることも放棄している。
「んっな、真似するくらいなら、死んだ方がましだ!俺はやらねぇぞ!!」
「あっそう!じゃあ、仕方ないわね。ターナー!」
母親が手を叩き、もう一人の男を呼んだ。
「何だ、サラ?」
「あんた、その辺うろつきに行ったマシュー達を捕まえて、昨日の日本人の餓鬼を探しに行って、やっぱりあの子が必要なようだから、ねえ~、イザヤ。彼が一緒に居たら、言うこと絶対、訊くわよねえ」
「ちょっと待て!それだけは止めろ!おい、分かったから、何でも言う通りにするから!!」
焦るイザヤに、母親は悪餓鬼相手の常套句のように、イザヤの願いをぶった切った。
「もう駄目よ!どうせあんた、目の前に人質の姿をぶら下げないと言うこと利かないんだから!信用できない!!…………ターナー、行って!!」
「オーケー」
「待て!!ターナー!行くな!!止めてくれ!」
イザヤの叫び声と共に、ドアに向かう男の足音が近付いた。
陶也は慌てて廊下の隅にある鉢植えに身を隠した。
男がドアを開けると、丁度、鉢植えはドアの陰になり、男は、陶也に気付かず、玄関へと向かい、そのまま姿を消した。
これで、中にはイザヤと母親だけだ。
これはチャンスだと思った。母親の記憶を覗き、イザヤを奪うチャンス。だがーー。
「10年ぶりにあんたを見て思ったけど、あんた本当に父親とよく似てきたね」
母親の染々とした物言いに、陶也は足を止めた。
イザヤが怒鳴り散らしている。内容からして、どうやら縛られているらしい。
「駄目よ!ここを出るまでは、あんたの自由にはさせないわ。何をするか分かったもんじゃない」
母親の抑止する声が聞こえた。イザヤは母親と一緒にいるようだ。あともう一人の男はどうしているのだろう?
「だから!何でもお前の言う通りにするって言ってるだろ!」
「どうだかぁ~?隙あらば寝首をかく癖に!やっぱり、あの子。陶也くんを捕獲しないとね。あの子、自分から言い出したのよ。あなたと一緒にあたし達の所に来るって。なのに何で一緒に来ないのよ!あの丸い餓鬼と交換だったはずなのに」
「そんなの駄目だ!てめえはいつも関係ない奴を巻き込みやがって!」
「ふーん。なに、その顔つき。随分と必死よね~。あんた、あの子の言った通り、本当に惚れてるの?」
ボカ!っと音と共に、母親が、「痛~い!蹴んないでよ、もう~!」と言う声がする。
「んっな訳あるか!恩があるから、あそこに居ただけだ!それが済んだら、真っ先にてめえを殺しに行く予定だったよ!」
イザヤの罵声を受けて、母親は妙に弾んだ声で喜んだ。
「あら!嬉しい!!10年経っても変わらずに、あたしのこと憎んでてくれたのねぇ」
語尾が妙に甘ったるい。
「アホ!そこ喜ぶ所か!本当にてめえは頭がイカれてるな」
「楽しければ何でもいいのよ。でも、もう殺し合いは終わりにしよ。それよりも、あたしたちの仕事を手伝ってくれない?あんた、どうせ、もう娑婆では、まともに生きられないでしょ。だから、汚れ仕事がたっぷりあるよのね。2人も殺したら、10人だろうが、20人だろうが一緒でしょ」
能天気な声だが、内容はとんでもなく恐ろしい。
「……てめえ……マジでそんな事、思ってるのかよ?嫌だね!他の人間はどんな悪党だって殺す気はない!俺が殺したいのはお前だけだ。お前の血以外で、自分の手を汚す気はもうない!」
イザヤがそう言うと、母親は突然、悲鳴のような声を出して笑い出した。相当、頭がイカれている。
「何、笑ってやがるんだ、てめえは……頭、大丈夫か?」
「あははは、駄目!もう手遅れ!あはは、あたしは、あんたの言う通り、かなり前から頭がおかしいのよ!あははは!」
笑い転げている母親に、イザヤが大きな溜め息を付いているのが聞こえた。
「あははは!本当に困ったわよねー、あはは!」などと笑いながら母親は言うが、当人より困っているのはきっとイザヤの方だろう。
「あたしは、まだ死にたくないし~、始末したい奴らはいっぱいいるし~、でも、あんたは殺りたくないって言うし~、どうするよもう~!」
とまるで他人事のように言った。
「マシュー達を使えよ。いつものように」
「だってあいつら小回り悪いじゃん。暗殺の実行にはあんたが一番向いてるのよ。どう?絶対、儲けさせてやるわよ!いい加減、あんたも諦めて悪に染まりなさい。楽になるわよお~。染まっちゃえば楽しいわよお~」
なんて母親だ。この人は母親であることは勿論、人であることも放棄している。
「んっな、真似するくらいなら、死んだ方がましだ!俺はやらねぇぞ!!」
「あっそう!じゃあ、仕方ないわね。ターナー!」
母親が手を叩き、もう一人の男を呼んだ。
「何だ、サラ?」
「あんた、その辺うろつきに行ったマシュー達を捕まえて、昨日の日本人の餓鬼を探しに行って、やっぱりあの子が必要なようだから、ねえ~、イザヤ。彼が一緒に居たら、言うこと絶対、訊くわよねえ」
「ちょっと待て!それだけは止めろ!おい、分かったから、何でも言う通りにするから!!」
焦るイザヤに、母親は悪餓鬼相手の常套句のように、イザヤの願いをぶった切った。
「もう駄目よ!どうせあんた、目の前に人質の姿をぶら下げないと言うこと利かないんだから!信用できない!!…………ターナー、行って!!」
「オーケー」
「待て!!ターナー!行くな!!止めてくれ!」
イザヤの叫び声と共に、ドアに向かう男の足音が近付いた。
陶也は慌てて廊下の隅にある鉢植えに身を隠した。
男がドアを開けると、丁度、鉢植えはドアの陰になり、男は、陶也に気付かず、玄関へと向かい、そのまま姿を消した。
これで、中にはイザヤと母親だけだ。
これはチャンスだと思った。母親の記憶を覗き、イザヤを奪うチャンス。だがーー。
「10年ぶりにあんたを見て思ったけど、あんた本当に父親とよく似てきたね」
母親の染々とした物言いに、陶也は足を止めた。
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