Broken Arrows

蓮華空

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劣等感って……

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 猛禽類の鋭い爪が獲物に容赦なく向かってくる。彼らのような捕食者からしたら、この時の被食者の気持ちなど考えも及ばないのだろう。

 相手がどうなろうが、仕留める。

 ジョージの身から感じるのはそれだけだ。

 だったら、こちらはひたすら逃げ切れる方法を見つけるしかない。

 逃げられる場所は──上か?!


 ジョージが猛然とタックルをかます。その鷹のような鋭い攻撃を雷亜は寸でのところで宙を一転し、ジョージを飛び越えた。

 フィールドを囲っていた野次馬たちの口がポカーンと開く。

「やったー!!マジかよ雷亜、すげーぞ!!!」

 近くまで走り寄っていた宇辰が歓喜の声を上げた。

 周りで観ていた野次馬たちも、それを聞いて一斉に声を張り上げる。

 地面に転がっていたジョージが起き上がり、悔しそうに「畜生──!!」と叫ぶと、雷亜がエンドラインを抜けた。

 現役アメフト部の3人を抜いてタッチダウンを決めた素人にフィールドは沸き立った。

「すげー!すげー!雷亜、すげ──ぞ!!」

 大興奮でぴょんぴよん跳び跳ね、全身で喜びを表現する宇辰に、ジョージが履いていた靴を飛ばした。

「喜ぶのはまだ早えーぞ!こっちがちょっと油断しただけだろう!」

「どうだかなあ~。マジで悔しがってるって事は結構ムキになってたんじゃないの~」

 相手を小馬鹿にしたような言い方で茶化す宇辰にジョージは顔を真っ赤にして掴みかかった。

「おい!止めとけよ、ジョージ!」

 背後から 、ポケットに手を突っ込んだままの達也が悠然と近付いてきた。

「だから、さっき俺が忠告しただろう。油断してると恥をかくぞって……あいつの体の使い方、体さばきは普通じゃないんだって……」

 達也の呆れた物言いにジョージは唇を噛み締めた。

 宇辰は不思議そうに首を傾げている。

「──あれ?……何でお前がそんな事、知ってるの?雷亜と知り合いだったのか?」

 宇辰が訊ねると、達也は渋い顔をした。

「前にちょっと奴の走りを見て、そう思っただけだ!」

 ちょっと見て思っただけにしては妙な素振りだ。

 宇辰とジョージは互いの顔を見合せた。

「日本人ってちょっと走ってるのを見ただけで、そんな事が解るのかよ?」

「あ、ああ、そうさ!日本人は一目見ただけで、相手の実力が分かるのさ」

「ま、まじかよ!すげーな……」

 ジョージが目を丸くして驚いている。

「おいおい、ジョージ。そんな話、真に受けるなよ。こいつきっと日本人だし、雷亜から何か聞いてるんじゃねーの?なあ、そうだろ?」

 ──バカは直ぐ本気にするから、からかうなよ、と、宇辰は最後に付け加え、──誰がバカだ!とジョージが尽かさず噛み付く。

 また始まった二人の取っ組み合いに達也は呆れた。

「そうそう。あいつとは少し前に話したことがあったんだよ。どうやらあいつは日本のあらゆる武道を身に付けているらしい。それが嘘か本当かは知らないけど、少なくともあいつの親父は日本で有名だった格闘家、藤川檀城だってのは確かだね」

「「なにぃ──!!ダンジョー・フジカワ!!!」」

 ジョージと宇辰の息の合った驚愕ダブルスに、逆に仰天したのは達也だった。

「な、なんだよ。二人とも藤川檀城を知ってるのか?」



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