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劣等感って……
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「勿論だ!UFC総合格闘技無敗のライト級チャンピオン、アントニオ・バッチとの歴史的名勝負を残したダンジョー・フジカワだろ!フジカワは確かに負けちまったけど、あそこまでアントニオを追い込んだのは後にも先にもフジカワだけなんだぜ!!」
「おうとも!俺は餓鬼の頃、あの試合を親父と一緒に見に行ったんだけど、すげー迫力だった!!まあ、日本人なんかにアントニオが負けるとも思っていなかったけどよー、でも、フジカワはすげーと思ったわ!!アントニオの右ストレートを食らってても倒れず、その後、絶対ーダメージがある癖に、強烈なラッシュを繰り返しアントニオが危うくダウンしかかったんだぜ!!あの時の会場の盛り上がりは異常だったぞ!!!」
唾を飛ばし、一気に捲し立てるジョージに宇辰も手を叩いて、
「分かる!!俺も親父とあの瞬間、テレビの前で盛り上がったわ!!母親にえらい呆れられたがな。ありゃ男だったら絶対、興奮するよなあ!!」
と言って、急にジョージと意気投合しだした。
一歩引いて聞いているのは達也だけだ。
「そ、そうなんだ。藤川檀上ってアメリカでもそんなに知られているんだ?」
意外そうに訊く達也に、宇辰とジョージは声を合わせて「「当たり前だ!」」と口にした。
そして、エンドラインからゆっくりとボールを抱えて戻ってくる雷亜に揃って視線を送った。
「なるほど、あいつがなあ……ダンジョー・フジカワの息子だったのかあ……だったら俺が腕十字を瞬時に決められたのも仕方がねえって訳だ」
「──はっ?お前、雷亜に腕十字決められたの?」
首をぐりんとジョージに向けて驚いた宇辰の質問には答えず、ジョージは前方の雷亜を睨んだまま両手を組んで指をボキボキと鳴らした。
「──ってことは、別にアメフトルールに拘らずぶっ殺すつもりでも構わない相手ってことだな……」
どうやら藤川檀城の名を聞いて、無駄にジョージの闘志を燃やしてしまったらしい。それを察した宇辰は青ざめながら、「おい、ジョージ……何を考えてるんだ?」と警戒した。
「いいか、くそ猿!ボールは全てあいつにパスしろ!さもなきゃてめえも含めて容赦なくボコボコにするぞ!」
「──な、何を言ってやがる!ボコボコにってこれは喧嘩じゃねーんだぞ!!」
「いいや、喧嘩だ!──なあ!シャノン!!こうなることを意図して、てめぇはこんな勝負を持ちかけたんだろ?」
急に話を振られたシャノンは、涼しい顔で
「さあ、それはどうかな?」
と小首を傾げて艶やかに微笑んだ。
突然贈られたシャノンの笑顔に一同が陶然となる。
彼がこんな笑顔を人に見せるなんて、今までなかったことなのだ。
「──くっそ……なんだてめぇ……その顔は!!俺はあいつに勝てねーって言うのか?」
「ああ。例え勝ったとしてもお前の負けだろうな」
「なんだそりゃ?」
「あいつは勝つ事を恐れている。だから、仮にお前が気分良く勝ったとしたら、それはあいつを本気にさせてないってことになる。つまり、お前は男としてあいつに認められず、お情けで勝たせて貰えてるってことさ」
「……んだとぉ~!!その言い方だと、俺はどうしたってあいつには勝てねえってことか?!」
「お前だけじゃない。ここにいる人間で今あいつに勝てる奴はいない」
「──は?お前でも勝てないってのかよ?」
皆が小首を傾げたところで、シャノンは補足した。
「ああ、既に俺もあいつに負けてるんだよ。お前の家でパーティーをやったあの日に──」
「おうとも!俺は餓鬼の頃、あの試合を親父と一緒に見に行ったんだけど、すげー迫力だった!!まあ、日本人なんかにアントニオが負けるとも思っていなかったけどよー、でも、フジカワはすげーと思ったわ!!アントニオの右ストレートを食らってても倒れず、その後、絶対ーダメージがある癖に、強烈なラッシュを繰り返しアントニオが危うくダウンしかかったんだぜ!!あの時の会場の盛り上がりは異常だったぞ!!!」
唾を飛ばし、一気に捲し立てるジョージに宇辰も手を叩いて、
「分かる!!俺も親父とあの瞬間、テレビの前で盛り上がったわ!!母親にえらい呆れられたがな。ありゃ男だったら絶対、興奮するよなあ!!」
と言って、急にジョージと意気投合しだした。
一歩引いて聞いているのは達也だけだ。
「そ、そうなんだ。藤川檀上ってアメリカでもそんなに知られているんだ?」
意外そうに訊く達也に、宇辰とジョージは声を合わせて「「当たり前だ!」」と口にした。
そして、エンドラインからゆっくりとボールを抱えて戻ってくる雷亜に揃って視線を送った。
「なるほど、あいつがなあ……ダンジョー・フジカワの息子だったのかあ……だったら俺が腕十字を瞬時に決められたのも仕方がねえって訳だ」
「──はっ?お前、雷亜に腕十字決められたの?」
首をぐりんとジョージに向けて驚いた宇辰の質問には答えず、ジョージは前方の雷亜を睨んだまま両手を組んで指をボキボキと鳴らした。
「──ってことは、別にアメフトルールに拘らずぶっ殺すつもりでも構わない相手ってことだな……」
どうやら藤川檀城の名を聞いて、無駄にジョージの闘志を燃やしてしまったらしい。それを察した宇辰は青ざめながら、「おい、ジョージ……何を考えてるんだ?」と警戒した。
「いいか、くそ猿!ボールは全てあいつにパスしろ!さもなきゃてめえも含めて容赦なくボコボコにするぞ!」
「──な、何を言ってやがる!ボコボコにってこれは喧嘩じゃねーんだぞ!!」
「いいや、喧嘩だ!──なあ!シャノン!!こうなることを意図して、てめぇはこんな勝負を持ちかけたんだろ?」
急に話を振られたシャノンは、涼しい顔で
「さあ、それはどうかな?」
と小首を傾げて艶やかに微笑んだ。
突然贈られたシャノンの笑顔に一同が陶然となる。
彼がこんな笑顔を人に見せるなんて、今までなかったことなのだ。
「──くっそ……なんだてめぇ……その顔は!!俺はあいつに勝てねーって言うのか?」
「ああ。例え勝ったとしてもお前の負けだろうな」
「なんだそりゃ?」
「あいつは勝つ事を恐れている。だから、仮にお前が気分良く勝ったとしたら、それはあいつを本気にさせてないってことになる。つまり、お前は男としてあいつに認められず、お情けで勝たせて貰えてるってことさ」
「……んだとぉ~!!その言い方だと、俺はどうしたってあいつには勝てねえってことか?!」
「お前だけじゃない。ここにいる人間で今あいつに勝てる奴はいない」
「──は?お前でも勝てないってのかよ?」
皆が小首を傾げたところで、シャノンは補足した。
「ああ、既に俺もあいつに負けてるんだよ。お前の家でパーティーをやったあの日に──」
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