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劣等感って……
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「何で……二人とも父さんの名を……?」
雷亜は驚き、困惑したが、二人はそれを無視して一気に捲し立ててきた。
「お前、ダンジョー・フジカワの息子なんだろ!日本中渡り歩いて修行してたって本当か?!」
「俺に決めた飛び付き腕十字もダンジョー直伝なのか?!」
「アメリカ留学したのも本当はUFCかMMAに入るつもりだったとか?!」
「寝技と立ち技、どっちが得意なんだ?ダンジョーと同じく寝技か?」
宇辰とジョージ。二人が交互に質問を繰り返すもんだから雷亜は次第に目が回ってしまった。
「あ、あ、あの……だから、どうして二人とも父さんを知ってるの?」
「ばっか野郎そんなの決まってるだろ!」
と宇辰が言い。ジョージとハモりながら、
「「ファンだからだ!」」
と、言った。
(──えっ?!)
まさか……本当に?
父さんのファンがアメリカに居た?
アメリカで行われた試合によって大きな痛手を負ってしまった父は、日本に戻ってから何とか復活したものの黒星がずっと続き、世間から、藤川はもう終わりだ、と除外視され引退を余儀なくされた。だから、父の事を、未だにファンだと目を輝かせてくれる人がこんなところにいるなんて、雷亜は夢にも思わなかった。
「つーことはお前って本当は喧嘩が強かったんだな!腕十字を決められた時、実は俺、超、ビビってたんだ。腕を取られたことも分からないうちに決められてたからさあ。何かの間違いだと思いたかった」
「いや、あの……それは……」
と、弁解しようとしたら後ろからからシャノンに頭をこつかれた。
「おい、謙遜するな!堂々としていろ!強い奴に大したことないです、なんて言われるとこっちが惨めになる。自分は親父の上をいってるんだくらいの事を言え!」
「……え?あ、は、はい。──お、俺は、親父と対戦して勝ったことがある」
と、言ったら二人は益々目を輝かせた。
「──マジで?!じゃあさ、俺とジョージが飛び掛かってもお前はびくともしないんだな!」
宇辰とジョージがにやりとしながら顔を見合せた。なんだが嫌な予感がする。
更にシャノンが後ろから二人の肩を抱いて、「だったら試しに3人で飛び掛かってみようか?」と言った。
「──えええ!!」
と、雷亜が驚いている間に3人は真っ直ぐ向かってきた。
「うわああああ!」と悲鳴を上げながらも、雷亜は飛びかかってくるジョージ、宇辰、シャノンと次々と投げ飛ばしたり、転ばせていった。
「マジか!こいつ、本当に掴まんねえー!」
「ああ、くそ!何がどうなってんだ!」
「ま、ま、待ってよ、みんな!」
「誰が待つか!絶対、捕まえてやるぞ!」
「おうとも!」
そんな事を言いながら、4人でフィールド内を走り回った。今度は勝負というより、みんなでじゃれあっている感じでとても楽しかった。今まで生きてきた中で、体を動かすことがこんなに楽しいなんて思ったことはなかった。少し前まで棘のあった関係のジョージも、時間が経つにつれ変化した。以前のジョージは、目を合わせると、こちらを見下した感じで薄笑いを浮かべていたが、今では180度違った笑顔を返してくる。
さらに驚いたのがシャノンだ。シャノンが声を立て、腹を抱えたり仰け反ったりしながら大笑いをしている。そんな姿が見られるとは思わなくって、雷亜もつい楽しくなってしまう。
遠い遠いアメリカに来て、まさかこんな一時が訪れるとは、雷亜は思ってもみなかった。
青い空に、高く長く放り投げられたボールの軌跡を見つめながら、雷亜は今日の日を心から感謝した。
──だが、じゃれ合う4人の様子を眺めながら、つまらなそうに舌打ちをする者がいた。
ジョージの取り巻きだった金髪と隙っ歯。それと、達也だ。
じっと雷亜を見つめる達也の目には暗い影が落とされ、ただ静かに唇を噛みしめていた。
雷亜は驚き、困惑したが、二人はそれを無視して一気に捲し立ててきた。
「お前、ダンジョー・フジカワの息子なんだろ!日本中渡り歩いて修行してたって本当か?!」
「俺に決めた飛び付き腕十字もダンジョー直伝なのか?!」
「アメリカ留学したのも本当はUFCかMMAに入るつもりだったとか?!」
「寝技と立ち技、どっちが得意なんだ?ダンジョーと同じく寝技か?」
宇辰とジョージ。二人が交互に質問を繰り返すもんだから雷亜は次第に目が回ってしまった。
「あ、あ、あの……だから、どうして二人とも父さんを知ってるの?」
「ばっか野郎そんなの決まってるだろ!」
と宇辰が言い。ジョージとハモりながら、
「「ファンだからだ!」」
と、言った。
(──えっ?!)
まさか……本当に?
父さんのファンがアメリカに居た?
アメリカで行われた試合によって大きな痛手を負ってしまった父は、日本に戻ってから何とか復活したものの黒星がずっと続き、世間から、藤川はもう終わりだ、と除外視され引退を余儀なくされた。だから、父の事を、未だにファンだと目を輝かせてくれる人がこんなところにいるなんて、雷亜は夢にも思わなかった。
「つーことはお前って本当は喧嘩が強かったんだな!腕十字を決められた時、実は俺、超、ビビってたんだ。腕を取られたことも分からないうちに決められてたからさあ。何かの間違いだと思いたかった」
「いや、あの……それは……」
と、弁解しようとしたら後ろからからシャノンに頭をこつかれた。
「おい、謙遜するな!堂々としていろ!強い奴に大したことないです、なんて言われるとこっちが惨めになる。自分は親父の上をいってるんだくらいの事を言え!」
「……え?あ、は、はい。──お、俺は、親父と対戦して勝ったことがある」
と、言ったら二人は益々目を輝かせた。
「──マジで?!じゃあさ、俺とジョージが飛び掛かってもお前はびくともしないんだな!」
宇辰とジョージがにやりとしながら顔を見合せた。なんだが嫌な予感がする。
更にシャノンが後ろから二人の肩を抱いて、「だったら試しに3人で飛び掛かってみようか?」と言った。
「──えええ!!」
と、雷亜が驚いている間に3人は真っ直ぐ向かってきた。
「うわああああ!」と悲鳴を上げながらも、雷亜は飛びかかってくるジョージ、宇辰、シャノンと次々と投げ飛ばしたり、転ばせていった。
「マジか!こいつ、本当に掴まんねえー!」
「ああ、くそ!何がどうなってんだ!」
「ま、ま、待ってよ、みんな!」
「誰が待つか!絶対、捕まえてやるぞ!」
「おうとも!」
そんな事を言いながら、4人でフィールド内を走り回った。今度は勝負というより、みんなでじゃれあっている感じでとても楽しかった。今まで生きてきた中で、体を動かすことがこんなに楽しいなんて思ったことはなかった。少し前まで棘のあった関係のジョージも、時間が経つにつれ変化した。以前のジョージは、目を合わせると、こちらを見下した感じで薄笑いを浮かべていたが、今では180度違った笑顔を返してくる。
さらに驚いたのがシャノンだ。シャノンが声を立て、腹を抱えたり仰け反ったりしながら大笑いをしている。そんな姿が見られるとは思わなくって、雷亜もつい楽しくなってしまう。
遠い遠いアメリカに来て、まさかこんな一時が訪れるとは、雷亜は思ってもみなかった。
青い空に、高く長く放り投げられたボールの軌跡を見つめながら、雷亜は今日の日を心から感謝した。
──だが、じゃれ合う4人の様子を眺めながら、つまらなそうに舌打ちをする者がいた。
ジョージの取り巻きだった金髪と隙っ歯。それと、達也だ。
じっと雷亜を見つめる達也の目には暗い影が落とされ、ただ静かに唇を噛みしめていた。
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